日本酒度とは? 日本酒の「辛口」と「甘口」の目安を知ろう
「日本酒度」とは、日本酒の辛口・甘口の目安のひとつで、水に対する日本酒の比重を数値化したものです。今回は、日本酒度の概要、辛口・甘口の目安になる理由、日本酒度以外の味わいの指標である、酸度やアミノ酸度、辛口・甘口のおすすめ日本酒などを紹介します。
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まずは日本酒度からみていきます。
日本酒度は何を表しているの?
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日本酒度は何を表すものなのでしょう。測定方法や日本酒の辛口・甘口との関係にも迫ります。
日本酒度には糖分が関係!? 「辛口」と「甘口」の目安になるわけは?
日本酒のラベルに「日本酒度+3」「日本酒度-1」などと書かれているのを見たことはありませんか?
「日本酒度」とは、水に対する日本酒の比重を数値化したものです。
日本酒の比重は、お酒に含まれる糖分などのエキス分の量に関係するため、エキス分の多い少ないが辛口・甘口の目安のひとつになっています。
なお日本酒度は、摂氏15度の日本酒を容器に入れ、「日本酒度計」と呼ばれる浮き秤(うきばかり)を浮かべて測ります。
摂氏4度の水と比重が同じお酒の場合、日本酒度計の値はプラスマイナスゼロ(±0)に、水に対して比重が軽いお酒の場合は、日本酒度計が沈んでプラス(+)の値に、糖分などが多く含まれている比重が重いお酒の場合は、日本酒度計が浮いてマイナス(-)の値になります。
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日本酒度と実際の辛口・甘口の関係は?
日本酒度は一般に、プラスの値が大きくなるほど辛口、マイナスになればなるほど甘口とされています。比重が水より軽いプラスの値のお酒は甘味のもとである糖分などが少なく、比重が重いマイナスの値のお酒は糖分などがより多く含まれているためです。
とはいえ、実際に日本酒度がマイナスのお酒を飲んだとき、すべての場合で甘口に感じるかというと、必ずしもそうとはいえません。
日本酒には、糖分以外にも多種多様な成分が含まれています。そこに香りや口当たり、後述する酸度やアミノ酸度などの要素が複雑に絡み合い、独自の味わいが紡ぎ出されます。たとえば、糖分が多いはずの「日本酒度-3」の日本酒でも、酸度が高ければ辛口に感じられることもあるのです。
日本酒の味わいは繊細なもの。さらには、飲む人それぞれで味の感じ方や味わいの基準は違ってきます。日本酒度は、あくまでも「辛口・甘口の目安のひとつ」と捉えておくのがよいでしょう。
日本酒度と一緒に日本酒の酸度もチェックしよう
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日本酒における「酸度」とは、酸っぱさの度合いを表すものではなく、コハク酸やクエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸が、どのくらい含まれているかを示すものです。
有機酸は、日本酒の酸味や旨味、さらには香りのもととなるもので、お酒の味を引き締めてキレを生む効果もあります。そのため、日本酒の酸度は酸味・旨味・キレの指標とされています。
また酸度は、日本酒度と同じく辛口・甘口に関係する数値のひとつでもあり、酸度が高いと辛口に感じやすく、低いと甘口に感じやすくなるといった傾向があります。さらに、酸度が高いほど濃醇な味わいに、酸度が低いほど淡麗な味わいになるともいわれています。
国税庁発表の「全国市販酒類調査(令和2年度調査分)」によると、清酒(日本酒)の酸度の平均値は、一般酒が1.17、吟醸酒が1.35、純米酒が1.38、本醸造酒が1.26となっています。飲みたいお酒の酸度がこれより高いか低いかで、味わいの予想をしてみるのもよいかもしれません。
日本酒の酸度については、こちらの記事もおすすめです。
日本酒の味わいのもうひとつの指標、アミノ酸度とは?
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日本酒の「アミノ酸度」とは、日本酒に含まれるアミノ酸の量を示すもので、お酒の旨味やコクの目安となるものです。
「アミノ酸」は有機化合物の一種。生命の維持に欠かせないタンパク質の構成要素でもあり、必須アミノ酸をはじめ、これまでに360種類以上も発見されています。
このうち、日本酒に含まれるアミノ酸は20種類ほどといわれ、昆布などにも含まれる旨味成分のグルタミン酸のほか、アスパラギン酸やアルギニン、アラミンなども含まれています。
アミノ酸は、日本酒の酸味や甘味、苦味などのもとともなるもので、グルタミン酸やアスパラギン酸は酸味や渋味、アルギニンは苦味、アラニンは旨味や甘味などに関係するといわれています。
一方で、日本酒にとってアミノ酸はたくさん入っていればよいというものではありません。多すぎると雑味の要因になったり、品質の低下が早まったりということもあるようです。
なお、国税庁発表の「全国市販酒類調査の結果(令和2年度調査分)」によると、清酒(日本酒)のアミノ酸度の平均値は、一般酒が1.22、吟醸酒が1.17、純米酒が1.36、本醸造酒が1.22となっています。
また、酸度とアミノ酸度がわかっている場合には、次のような傾向もみられます。
◇酸度高・アミノ酸度高:濃醇
◇酸度高・アミノ酸度低:辛口
◇酸度低・アミノ酸度低:淡麗
◇酸度低・アミノ酸度高:旨口(甘口)
日本酒選びの際、確認してみてくださいね。
日本酒度でみる辛口&甘口おすすめ日本酒一覧
辛口と甘口のおすすめ日本酒をそれぞれ2本ずつ、日本酒度の値が大きい順に紹介します。
[日本酒度+20]「ばくれん 超辛口吟醸」(山形県/亀の井酒造)
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「くどき上手」で知られる山形県の吟醸蔵、亀の井酒造が造る「ばくれんシリーズ」の定番「赤ばくれん」。日本酒度+20という超辛口酒でありながら、しなやかでマイルドな口当たりと、シャープなキレ味が堪能できる、品のよさが感じられる逸品です。
製造元:亀の井酒造株式会社
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[日本酒度+12]「春鹿(はるしか) 純米 超辛口」(奈良県/今西清兵衛商店)
出典:春鹿公式通販サイト
奈良県の今西清兵衛商店が手掛ける辛口純米酒。酒造好適米「五百万石」を使用。穏やかな香りとまろやかな口当たりのなかに、凛としたキレ味を感じさせる、魚介類との相性抜群の1本。冷酒はもちろん、キリッとした旨味が広がる燗酒もおすすめです。
製造元:株式会社今西清兵衛商店
公式サイトはこちら
[日本酒度-5.5]「九頭⿓(くずりゅう) 垂れ口」(福井県/黒龍酒造)
出典:黒龍酒造株式会社サイト
うすにごり新酒を生のまま瓶詰めした、福井県・黒龍酒造の冬季限定甘口酒。原料米には地元産の「五百万石」を使用。フレッシュな香りと豊かな甘味が特徴で、冷酒やロックで飲むのがぴったり。あん肝など相性がいい料理とも一緒にたのしめます。
製造元:黒龍酒造株式会社
公式サイトはこちら
[日本酒度-60]「FU.(ふ)」(兵庫県/富久錦)
出典:富久錦株式会社サイト
江戸時代創業の兵庫県の老舗蔵、富久錦が醸す、伝統的な酒造りの技から生まれた甘口酒。「日本酒度-60」ながら、ただ甘いばかりのお酒ではありません。果実を想わせる自然な甘味と酸味がバランスよく調和。後味もさわやかな低アルコール酒です。
製造元:富久錦株式会社
公式サイトはこちら
辛口の日本酒と甘口の日本酒については、以下の詳細記事もぜひチェックしてみてくださいね。
辛口・甘口など、お酒の味わいの目安となる日本酒度や酸度、アミノ酸度の意味を知ると、日本酒選びがいっそうたのしくなるものです。購入時には、それらの数値にも注目してみてくださいね。