黒龍酒造は福井、さらには日本を代表する吟醸蔵

黒龍酒造は福井、さらには日本を代表する吟醸蔵
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黒龍酒造は、地元・福井県のみならず、日本を代表する吟醸蔵として、全国の日本酒ファンはもとより、故・石原裕次郎さんなどの芸能人、さらには皇族まで、数々の著名人に支持されてきました。今回は、そんな黒龍酒造の魅力の源泉を、人気銘柄の紹介も交えながら探ってみます。

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黒龍酒造は文化元年(1804年)創業の老舗蔵

黒龍酒造は文化元年(1804年)創業の老舗蔵

出典:黒龍酒造

黒龍酒造の蔵名は名水・九頭竜川にちなんだもの

黒龍酒造が蔵を構えるのは、福井県の北部に位置する吉田郡永平寺町の松岡地区。鎌倉時代に道元禅師が開いた曹洞宗・永平寺からも程近い町です。
この地を流れる九頭竜川は、霊峰・白山山系の雪解け水が集まる、北陸屈指の清流です。やわらかでしなやかな九頭竜川の伏流水は、黒龍酒造の酒造りの源泉であり、蔵名も九頭竜川の古名である「黒龍川(くつれうがわ)」に由来しています。

黒龍酒造は200年以上の歴史を数える屈指の老舗蔵

黒龍酒造の創業者、初代・石田屋二左衛門が、松岡の地で酒造りを始めたのは、江戸時代後期の文化元年(1804年)のこと。
この地は九頭竜川から得られる名水に加え、稲作も盛んで、冬場の寒さも含め、酒造りに適した条件が揃っています。かつてこの地を治めた越前松岡藩が酒造りを奨励したこともあり、最盛期には17軒もの酒蔵が軒を連ねる酒処でした。
今も残っている酒蔵は2軒のみで、そのうち江戸期以来の歴史を持つのは黒龍酒造だけ。黒龍酒造は、まさに“歴史の証人”として、伝統ある松岡の酒造りを今に伝えているのです。

黒龍酒造は全国に先駆けて大吟醸を商品化

黒龍酒造は全国に先駆けて大吟醸を商品化

出典:黒龍酒造

黒龍酒造が開いた吟醸酒の歴史

黒龍酒造の名を全国的に知らしめたのが、昭和50年(1975年)に発売された大吟醸酒「黒龍 大吟醸 龍」。今でこそ「大吟醸酒」と銘打たれた銘柄は少なくありませんが、じつは「黒龍 大吟醸 龍」こそが、その先駆けと言われています。
そもそも「吟醸酒」とは「吟味して醸される酒」という意味で、品評会などに出品するために少量生産されるもので、一般に市販されるためのお酒ではありませんでした。その後、吟醸酒や大吟醸酒が次々と市販されるようになり、平成元年(1989年)になって税法上に「特定名称酒」のひとつとして定義されるに至ります。
こうした歴史を知れば、黒龍酒造の挑戦が、いかに時代を先取りしたものかがわかるでしょう。

黒龍酒造の大吟醸酒「黒龍 大吟醸 龍」はどれほど画期的だったのか

現在、特定名称酒の分類では、精米歩合(原料となる米の外側を削り取った後の比率)が60%以下を「吟醸酒」、50%以下を「大吟醸酒」と定義しています。つまり大吟醸酒とは、雑味を除くために米を半分以上も磨いてから醸した、贅沢な造りの日本酒のこと。
まだそうした定義もなかった時代に発売された「黒龍 大吟醸 龍」は、“日本一高価な酒”として全国的な注目を集め、後の「吟醸酒ブーム」のきっかけのひとつとなりました。

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黒龍酒造の酒造りを支える2つの蔵

黒龍酒造の酒造りを支える2つの蔵

出典:黒龍酒造

黒龍酒造が受け継いできた伝統の技

黒龍酒造では、日本酒造りを“世界に誇るべき伝統文化”と捉え、古きよき酒造りを守り続けています。
その基本は、手造りによる少量ながら高品質の酒造り。かたくななまでに品質を追求する姿勢が、全国の地酒ファンの支持を集めています。
酒造りは、原料とする米も、麹も、酒母も、すべて生き物。自然を相手にする仕事だけに、繊細さと粘り強さが求められます。それゆえ、黒龍酒造の蔵人たちは、自らの五感を頼りに、自然と対話しながら、理想の日本酒を追求し続けるのです。

黒龍酒造の今を支える新技術

黒龍酒造では、伝統を大切にする一方で、酒造りに必要とあれば、新しい技術も積極的に取り入れています。
1994年に建設された「龍翔蔵」では、効率的な酒造りが行える設備を導入。さらに、2017年には「正龍蔵」を新設。黒龍酒造が培ってきた独自の技術を活かした先端設備の導入により、美酒造りの理想的な環境を実現しています。

黒龍酒造の故郷・福井の和紙をあしらった意匠

黒龍酒造の故郷・福井の和紙をあしらった意匠

出典:黒龍酒造

黒龍酒造がラベルに込めた“親心”

「黒龍」をはじめとした黒龍酒造の日本酒は、瓶の形状やラベル、化粧箱などの意匠にも独自のこだわりを感じさせます。その背景には「自分が手掛けた日本酒は娘のようなもの。きれいな着物を着せて嫁入りさせたい」という造り手の“親心”があるのだとか。
たとえば「黒龍 しずく」など蔵を代表する商品は、越前和紙を用いたラベルで彩られています。
あまり知られていないかもしれませんが、福井県は生産量・品質ともに全国一を誇る越前和紙の産地。和紙独特の温かみのある手触りは、見た目だけでなく、瓶を手にしたときの感触でもたのしませてくれます。

黒龍酒造を象徴する「龍」のラベルは布製

黒龍酒造にとって記念碑的な存在である、大吟醸酒「黒龍 大吟醸 龍」のラベルは布製。ただの布ではなく、発売当初は醪(もろみ)を搾る際に使用していた「酒袋」を切って使用していたのだとか。
殺菌目的に用いられていた柿渋を塗ることによって、茶褐色の味のある風合いに仕上がり、そこに「龍」の文字を金箔押しで印字することで、「日本一高価な酒」にふさわしい高級感を演出していました。
現在では、酒袋自体が骨董化してしまったため、これも地元・福井の名産品である越前織の布が用いられています。

黒龍酒造が届ける日本酒ラインナップ

黒龍酒造が届ける日本酒ラインナップ

出典:黒龍酒造

黒龍酒造の幅広い日本酒造りを堪能しよう!

黒龍酒造では、「黒龍」ブランドのもと、原料米や製造法を使い分け、多様なコンセプトの銘柄を造っています。それぞれの魅力を理解しつつ、飲み比べをたのしんでみたいものです。

【黒龍 石田屋】

“酒造好適米の王様”と呼ばれる兵庫県東条産の厳選された「山田錦」を精米歩合35%まで磨き上げ、低温で醸したあと、さらに氷温で長期熟成した純米大吟醸酒。黒龍酒造のフラッグシップ的な銘柄です。

【黒龍 しずく】

醪(もろみ)から得られるしずく一滴一滴を集めて瓶詰めしたことが名前の由来となった大吟醸酒。1980年の発売以来、改良を重ね、ライチや苺を思わせる洗練された香りと、純度の高い透きとおるような味わいがたのしめる極上の1本に進化しています。

【黒龍 大吟醸 龍】

紹介したとおり、大吟醸酒の先駆けとなった商品。ワインの熟成を応用することで生み出された上品な果実香と上質な味わいは、蔵人の情熱の賜物です。

【黒龍 いっちょらい】

福井県産の酒造好適米「五百万石」で仕込んだ定番の吟醸酒。「いっちょらい」とは、「持っているなかで一番の着物」を意味する「一張羅(いっちょうら)」の福井地方の方言。心地よい吟醸香とクセのない旨さは、5~10度に冷やすといっそう引き立ちます。

黒龍酒造が考えるよい酒の条件のひとつが、料理の邪魔をしないこと。そのため、どの銘柄も程よい旨味があり、味わいのバランスが取れた「食中酒」に最適な日本酒です。黒龍酒造の公式サイトには、各銘柄に合う料理も紹介されているので、ぜひ、チェックしてみてください。

製造元:黒龍酒造株式会社
公式サイトはこちら

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