「五百万石(ごひゃくまんごく)」は酒米の東の横綱! 新潟県が誇る酒米の魅力に迫る

「五百万石(ごひゃくまんごく)」は酒米の東の横綱! 新潟県が誇る酒米の魅力に迫る
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「五百万石(ごひゃくまんごく)」は、酒米の「東の横綱」と呼ばれる、人気の高い酒造好適米です。新潟県で誕生した「五百万石」で醸すと、淡麗ですっきりとした日本酒に仕上がりやすいといわれています。今回は、「五百万石」の魅力や代表銘柄とともに酒造好適米について解説します。

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「五百万石」は米処・新潟が誇る酒造好適米

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酒造好適米のひとつ「五百万石」の名前の由来や生産量とともに、代表的な酒造好適米の特徴などを見ていきましょう。

「五百万石」をはじめとした酒造好適米とは?

「五百万石」は、米処新潟で生まれた酒造好適米。「酒造好適米」とは、日本酒造りのために作られたお米のことです。

日本酒の原料となるお米は「酒米」とも呼ばれますが、「酒米」は一般米を含む原料米全般を指すのに対し、「酒造好適米」は農林水産省が「醸造用玄米」に分類している品種だけを指します。

「五百万石」以外にも、「山田錦」のほかさまざまな種類の酒造好適米が各地で栽培されています。

「五百万石」の名前の由来と生産量

「五百万石」は、新潟県農業試験場長岡本場で、「菊水」と「新200号」という品種を掛け合わせて作られた酒造好適米です。1944年には「交系290号」という系統名がつけられていましたが、新潟県の米収穫量が約75万トン(昔の単位で五百万石)を達成したことを受けて、昭和32年(1957年)に「五百万石」と名づけられたのだとか。

2001年に「山田錦」に抜かれるまで、「五百万石」は酒造好適米のなかで最大の作付面積を誇っていました。

現在日本で栽培されている「酒造好適米」のうち、約4割を「山田錦」、3割弱を「五百万石」が占めています。前者は「西の横綱」、後者は「東の横綱」と呼ばれ、酒造りで重宝されています。

「五百万石」と並ぶ代表的な酒造好適米の特徴

「五百万石」のように酒造りによく用いられている3品種の特徴を確認しましょう。

【山田錦】
「山田錦」は「酒造好適米の王様」とも呼ばれ、作付面積、人気ともにトップの酒造好適米です。「山田錦」は東北から九州まで全国で栽培されていますが、発祥の地である兵庫県、とりわけ「特A地区」産のものが高い評価を得ています。
「山田錦」は栽培が難しく時間がかかる品種ですが、粒が大きく、米の中心部分の「心白(しんぱく)」が壊れにくい、タンパク質の含有量が少なく雑味が出にくいといったさまざまな特性があり、大吟醸酒などの高級な日本酒の原料に多く使用されています。
「山田錦」で醸された日本酒は香り高く、バランスのよい味わいとまろやかなコクを持つお酒に仕上がる傾向があります。

「山田錦」酒米の王者として君臨する日本酒造りに適したお米


【美山錦】
長野で生まれた「美山錦(みやまにしき)」は、開発時の突然変異で生まれたという品種です。北アルプスの雪のような美しい「心白」を持つことから、「美山錦」と名づけられたのだとか。「美山錦」は稲の成長が早く、寒さに強いため、寒冷地での栽培も可能で、長野県をはじめ東北や北関東で作られています。
「美山錦」で醸した日本酒には、「五百万石」に近い淡麗ですっきりした、キレのある味わいを持つものが多いようです。

【雄町】
江戸時代末期に岡山県で発見された「雄町」は、「山田錦」や「五百万石」など多くの酒造好適米のルーツになった品種として知られています。栽培の難しさゆえ一時は生産量が激減し、「幻の酒米」と呼ばれていた時期もありましたが、岡山県の蔵元などが「雄町」の復活に尽力したことで近年再び注目されています。
「雄町」で醸した日本酒は芳醇でコクのある味わいになるのが魅力で、「オマチスト」と呼ばれる熱心なファンも存在します。

「雄町(おまち)」って知ってる? 読めば日本酒通への第一歩【日本酒用語集】

「五百万石」と並ぶ代表的な酒造好適米の特徴

「五百万石」のように酒造りによく用いられている3品種の特徴を確認しましょう。

【山田錦】
「山田錦」は「酒造好適米の王様」とも呼ばれ、作付面積、人気ともにトップの酒造好適米です。「山田錦」は東北から九州まで全国で栽培されていますが、発祥の地である兵庫県、とりわけ「特A地区」産のものが高い評価を得ています。
「山田錦」は栽培が難しく時間がかかる品種ですが、粒が大きく、米の中心部分の「心白(しんぱく)」が壊れにくい、タンパク質の含有量が少なく雑味が出にくいといったさまざまな特性があり、大吟醸酒などの高級な日本酒の原料に多く使用されています。
「山田錦」で醸された日本酒は香り高く、バランスのよい味わいとまろやかなコクを持つお酒に仕上がる傾向があります。

「山田錦」酒米の王者として君臨する日本酒造りに適したお米


【美山錦】
長野で生まれた「美山錦(みやまにしき)」は、開発時の突然変異で生まれたという品種です。北アルプスの雪のような美しい「心白」を持つことから、「美山錦」と名づけられたのだとか。「美山錦」は稲の成長が早く、寒さに強いため、寒冷地での栽培も可能で、長野県をはじめ東北や北関東で作られています。
「美山錦」で醸した日本酒には、「五百万石」に近い淡麗ですっきりした、キレのある味わいを持つものが多いようです。

【雄町】
江戸時代末期に岡山県で発見された「雄町」は、「山田錦」や「五百万石」など多くの酒造好適米のルーツになった品種として知られています。栽培の難しさゆえ一時は生産量が激減し、「幻の酒米」と呼ばれていた時期もありましたが、岡山県の蔵元などが「雄町」の復活に尽力したことで近年再び注目されています。
「雄町」で醸した日本酒は芳醇でコクのある味わいになるのが魅力で、「オマチスト」と呼ばれる熱心なファンも存在します。

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酒造好適米の特質とは?

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日本酒造りに欠かせない酒造好適米の特質などをおさらいしましょう。

酒造好適米には2種類ある

酒造好適米には、米粒を大きくするために時間をかけて成熟させる「晩生(おくて)」の品種と、早く収穫するために品種改良された「早生(わせ)」の品種の2種類があります。前者は気候が温暖な西日本、後者は寒冷な北陸地方などで多く栽培されています。

前述の「山田錦」「雄町」は晩生品種、「美山錦」は早生品種です。「五百万石」も早生品種で、おもに新潟県をはじめ福井県、富山県などの北陸地方で作られていますが、東北や九州北部などでも栽培されています。

「五百万石」などの酒造好適米は醸造に適した特質を持つ

日本酒造りを目的に品種改良を重ねて生み出された酒造好適米は、日本酒造りに適したさまざまな特質を持っています。一般米ととくに異なる利点として、以下のような点が挙げられます。

【米粒が大きく、精米中に割れにくい】
日本酒造りの原料となるお米は、「精米」によって表面を磨く必要があります。どのくらい磨くかはお酒の種類などによって異なりますが、精米歩合(精米後に残った部分の割合)が50%以下と定められている大吟醸酒のように、お米の半分以上を磨いて使う場合もあります。そのため、酒造好適米は一般米よりも米粒が大きく、精米中に割れにくいものが多いのが特徴です。

【心白が大きく、吸水性が高い】
「心白」とは、米粒の中心にある白濁した部分のこと。組織の隙間が大きいので、心白が大きいほど吸水性が早く、醪(もろみ)の中に溶けやすくなります。米麹を作る際にも、麹菌が入り込んで根を張りやすいため、心白の大きい酒造好適米を使うとよい麹が造れるといわれています。

【タンパク質や脂質が少ない】
お米の表面にはタンパク質や脂質を多く含む層がありますが、これらは日本酒造りにおいては雑味のもととなります。また、タンパク質が多いお米は醪のなかで溶けにくいこともあり、一般的にはタンパク質などが少ない酒造好適米が好まれています。


このように、「五百万石」をはじめとした酒造好適米には日本酒造りに適した多くのメリットがありますが、稲穂の背が高く強風に弱いなどの特性を持つ品種が多いため、栽培が難しく、生産には高い技術を要します。


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「五百万石」を使用した日本酒は淡麗辛口なものが多い

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「五百万石」が使われる日本酒のタイプと、「五百万石」で醸したおすすめ銘柄を紹介します。

淡麗辛口の酒質を生む「五百万石」が使われる日本酒のタイプ

淡麗ですっきりとした酒質を生む「五百万石」は、新潟県の淡麗辛口の日本酒造りに欠かせません。「五百万石」を使用した日本酒は料理との相性もよく、食中酒に適しているのも魅力です。

「五百万石」はさまざまなタイプの日本酒に使われていますが、米粒が大きい「山田錦」と比べ、「五百万石」は粒が小さくて割れやすいため高度な精米には向いていません。そのため、一般的には、大吟醸酒や吟醸酒よりも、あまり米を磨く必要のない純米酒や普通酒などに広く使用されています。

なお、大吟醸酒を醸す際は米を50%以上に精米する必要がありますが、粒の小さい「五百万石」を使う場合は、通常よりも多くの量が必要になります。そのため「五百万石」で醸した大吟醸酒は高値になる傾向があります。裏を返せば、「五百万石」の大吟醸酒は贅沢なお酒といえるでしょう。

「五百万石」を使用した淡麗辛口の銘柄

「五百万石」を用いた日本酒は数多くありますが、どれを選べばよいかわからないという人は、有名な銘柄から挑戦するのも一案です。ここでは、全国的に人気の高い淡麗辛口の銘柄を紹介します。

【朝日酒造「久保田 純米大吟醸」】
天保元年(1830年)創業の朝日酒造は、新潟県を代表する蔵元のひとつです。「五百万石」を使用した「久保田」は、全国的に高い人気を誇る銘柄となっています。精米歩合50%の「五百万石」を使用した「久保田 純米大吟醸」は、フルーティーで華やかな香りと甘味と酸味のバランスのよい味わいが魅力です。

製造元:朝日酒造株式会社
公式サイトはこちら

久保田 純米大吟醸



【宮尾酒造「〆張鶴(しめはりつる) 純 純米吟醸」】
文政2年(1819年)創業の宮尾酒造が醸す「〆張鶴」は、新潟県の酒処、村上を代表する銘酒として知られています。
精米歩合50%の地元村上産「五百万石」を使用した「〆張鶴 純 純米吟醸」は、淡麗辛口ですっきりしていながらお米の旨味をしっかり感じられ、飲み飽きしない味わいが魅力です。
「〆張鶴 純 純米吟醸」はこれまでに「地酒人気銘柄ランキング」で高い評価を獲得しているほか、複数の民間企業で構成される「OMOTENASHI NIPPON」が魅力的な商品を認定する「OMOTENASHI Selection」で2019年度に金賞を受賞しています。

製造元:宮尾酒造株式会社
公式サイトはこちら

〆張鶴 純 純米吟醸

【八海醸造「清酒 八海山」「特別本醸造 八海山」】
新潟県魚沼市に蔵元を構える八海醸造が醸す「八海山」も、全国的に知名度の高い銘柄です。「五百万石」は八海山のさまざまな日本酒に用いられています。
「いい酒をより多くの人に」をコンセプトに造られた「清酒 八海山」は、普通酒でありながら精米歩合60%の「五百万石」が使われていて、淡麗でクリアな飲み口が特徴です。どんな料理にも合わせやすく、価格も手ごろなため、毎日の晩酌にぴったりのお酒といえるでしょう。また、精米歩合55%の「五百万石」を使用した「特別本醸造 八海山」は、淡麗な味わいとやわらかな口当たりが魅力です。

製造元:八海醸造株式会社
公式サイトはこちら

清酒 八海山

特別本醸造 八海山





新潟が誇る「五百万石」は、淡麗ですっきりとした味わいの日本酒を醸せることで人気の酒造好適米です。日本酒選びの際には原料となるお米の品種や産地にも注目し、飲み比べてみるのもたのしそうですね。

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