ウォッカとはどんなお酒? 原料や製法、アルコール度数など基本情報をおさらい

ウォッカとはどんなお酒? 原料や製法、アルコール度数など基本情報をおさらい
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ウォッカとは、小麦などの穀類やジャガイモなどの芋類を原料としたスピリッツ(蒸留酒)で、氷点下30度でも凍らないようなアルコール度数40~60度と高いお酒です。なかには「スピリタス」など90度を超えるものも。諸説ありますが14世紀のロシアが起源とされ、とくに寒冷地で親しまれています。

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ウォッカは世界中で愛飲されているスピリッツのひとつ

ウォッカは世界中で愛飲されているスピリッツのひとつ

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ウォッカを含む、スピリッツってどんなお酒?

「スピリッツ」とは、蒸溜酒全般のことを指します。ウォッカもスピリッツの一種で、おもにロシア、アメリカ、東欧、北欧などで造られています。

スピリッツにはウォッカ以外にもさまざまな種類があり、世界中で造られていますが、そのなかでも、ウォッカ、ジン、ラム、テキーラの4種類は「世界4大スピリッツ」と呼ばれています。

なお、広義では、ウイスキーやブランデー、焼酎もウォッカと同じスピリッツにあたりますが、日本の酒税法上はそれぞれ別ものとして分類されています。

ウォッカのカロリー、アルコール度数、糖質は?

ウォッカのカロリーは、100グラムでおよそ240キロカロリーです。アルコール度数は、約40~60度と高めで、なかにはポーランドの「スピリタス」のように90度を超えるものもあります。

また、糖質は、多くの蒸溜酒と同じように0グラム。そのため、「ダイエット中でも安心して飲める」といいたいところですが、カクテルを作るときに用いる割り材によっては、糖質を摂りすぎてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

ウォッカの語源は「命の水」

ウォッカの語源には諸説ありますが、よく語られているのがラテン語の「アクア・ヴィテ(aqua vitae)=命の水」に由来するという説です。

「命の水」とは、中世の人たちがスピリッツ(蒸溜酒)を指して使っていた言葉で、ロシア語では「ズィズネーニャ・ワダ(Zhiznennia Voda)」といいました。やがて、水を表す「ワダ(Voda)」という名称だけが残り、「ウォッカ(vodka)」に転じたといわれています。

ウォッカの原料と製法

ウォッカの原料と製法

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ウォッカのおもな原料と一般的な製法

ウォッカのおもな原料は、小麦や大麦、ライ麦、トウモロコシといった穀類やジャガイモなどの芋類です。

一般的な製法では、まず原料を煮て糖化させたものに酵母を加えて発酵させます。それから、完成したもろみを連続式蒸溜機で蒸溜して、アルコール度数の高いスピリッツを抽出。これに加水し、白樺などの活性炭でろ過を行って瓶詰めされます。

ウォッカは、蒸溜やろ過の工程で、原料由来の成分の多くが取り除かれてしまうため、クセがなく無味無臭に近い仕上がりになるのが特徴です。原料ごとの風味の違いもほとんどありません。

その一方で、香草や柑橘類などのフルーツで香りづけされたウォッカも販売されています。

クリアな味わいのウォッカは19世紀後半に誕生

19世紀後半に連続式蒸溜機が導入される以前は、単式蒸溜機で蒸溜されていたというウォッカ。単式蒸溜で造られたウォッカは、現在よく見られるタイプのようにクリアな味わいではなく、雑味の多いお酒だったといいます。

無味無臭に近く、クリアな味わいがたのしめるようになったのは、連続式蒸溜機と白樺の活性炭によるろ過が取り入れられてからのことです。

「世界4大スピリッツ」の、それぞれの違いを知ろう

ウォッカは、ジンやラム、テキーラと合わせて「世界4大スピリッツ」のひとつに数えられていますが、その違いはどこにあるのでしょうか。ここでは、ウォッカ以外の3つのスピリッツの特徴を確認しましょう。

◇ジン
大麦やトウモロコシ、ジャガイモなどの穀物を原料に、まずベースとなるスピリッツを造り、そこにボタニカル(植物成分)を加えて再蒸溜したもの。アルコール度数は40~50度ほど。イギリス、オランダ、ドイツ産が有名ですが、ここ数年はアメリカや日本でもクラフトジンの生産者が増えています。

◇ラム
サトウキビの糖蜜や絞り汁を原料に蒸溜し、樽などで熟成させたカリブ海原産の蒸溜酒。アルコール度数は40度前後が主流ですが、なかには70度を超えるものもあります。香り豊かなため、よくスイーツなどの風味づけにも使われます。

◇テキーラ
メキシコに自生する、「アガベ(リュウゼツラン)」を原料に用いた、メキシコ原産の蒸溜酒。アルコール度数は35~55度と法律で規定されています。また、熟成年数によって等級が分かれ、呼び名も変わるのが特徴です。

ウォッカのルーツとおもな産地を知ろう

ウォッカのルーツとおもな産地を知ろう

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ウォッカの起源には諸説ある

ウォッカのルーツには諸説あり、20世紀後半までは明確にされていませんでした。しかし、1977年にポーランドが自国発祥説を唱えたことで、ロシアがこれに反論し、名称の使用権などをめぐって法廷論争に発展。最終的には、1982年に国際調停裁判所でロシアを起源とすることで決着がついています。

当時ポーランド側は、15世紀初頭に書かれた文献にウォッカの名が残っていると主張しましたが、ロシア側の、14世紀のロシアにはブドウを原料とした蒸溜酒「ズィズネーニャ・ワダ」があり、15世紀半ばにはライ麦を用いたウォッカの原型「ワダ」が造られていたとする主張のほうが認められたのです。

いずれにしても、アラビアからヨーロッパ各地へと蒸溜酒が伝わり、ロシアやポーランドなどで寒冷地に適した進化を遂げた結果、氷点下30度でも凍らないウォッカが生まれたと考えて間違いないでしょう。

ウォッカのおもな生産地

【北欧・東欧・中欧】

ウォッカが古くから飲まれているのはロシアとポーランドですが、じつは北欧のスウェーデンでも15世紀後半から製造されています。国営の酒類製造業者V&S(ヴィン&スピリト)が手がけるウォッカブランド、「アブソルート」などは日本でも有名です。
ほかにも、東欧のエストニアやリトアニア、ウクライナ、中欧のスロバキアやオーストリア、北欧のフィンランドやノルウェーなどでも生産されています。

【西欧・北米】

比較的気候が温暖なフランスやオランダ、北米大陸のアメリカやカナダでもオリジナルブランドが展開されています。銘柄数の多さではロシアとポーランドがダントツですが、生産量がもっとも多いのはじつはアメリカ。カクテル文化が浸透しているのがその理由なのだとか。

【日本】

日本でも、国産米100%の「ジャパニーズクラフトウオツカHAKU」が2019年4月にサントリーから登場。小規模蔵でも香味成分に国内産果実や植物成分を使用したフレーバードウォッカの製造を手がけるなど、日本ならではの個性が際立つウォッカが発売されています。

ウォッカの原料

幅広い原料から造られるウォッカですが、何をメインに用いるかは製造する国や地域、造り手によって異なります。

たとえば、ロシアやスウェーデンでは小麦が中心。フィンランドでは大麦を使うケースが多く、ポーランドではおもにライ麦が用いられます。

また、銘柄によっては、ジャガイモや果実、ミルクから抽出した乳糖や、サトウキビなどから砂糖を取り出したあとの廃糖蜜(はいとうみつ)などが使われることもあります。

ウォッカの種類と人気銘柄

ウォッカの種類と人気銘柄

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ウォッカの種類

ウォッカの種類は、おもに以下の3タイプに分類されます。

【レギュラータイプ】

レギュラータイプの場合、原料の違いによる味の差はほとんどありません。ただし、ろ過に用いる白樺の活性炭の質や、ろ過にかける時間によって、多少なりとも個性が左右されるといわれています。

【フレーバードウォッカ】

フレーバードウォッカとは、ベースとなるウォッカに風味づけをしたもののこと。柑橘系のさわやかなフレーバーから、香り高いハーブ系、香辛料で辛味を利かせたものまで、さまざまな種類があります。

【プレミアムウォッカ】

近年は、ろ過だけでなく、原料や水の質、蒸溜の回数やブレンド技術などにとことんこだわり、独特な風味や口当たり、キレを引き出した、「プレミアムウォッカ」にも注目が集まっています。

ウォッカの代表的な銘柄1

日本でも手に入る代表的な銘柄のうち、レギュラータイプとフレーバードウォッカを紹介します。

【スミノフ(Smirnoff)】

モスコミュールやスクリュードライバーなどの定番カクテルを生み出し、アメリカでカクテル革命の火つけ役となったウォッカブランド。ロシア皇帝御用達で知られていますが、ロシア革命時にフランス、アメリカへと渡り、現在はイギリスのディアジオ社がライセンスを持っています。

【アブソルート(Absolut)】

スウェーデンの国営企業V&Sが手がけるウォッカ。寒さに強いスウェーデン産の冬小麦と良質の水を使い、なめらかな口当たりに仕上げられています。レモンやマンダリン、ピーチ、ブラックカラント(カシス)、ペッパー、マンゴー、ベリーなど、フレーバードウォッカも人気。

【ズブロッカ(Żubrówka)】

ポーランドを代表するフレーバードウォッカ。ポーランドの世界自然遺産、「ビアウォヴィエジャ」の森で育まれたバイソングラス(通称ズブロッカ草)を漬け込み、独特の香りを加えた、クセになる1本です。

ウォッカの代表的な銘柄2

近年人気のプレミアムウォッカの銘柄には、以下のようなものがあります。

【スカイウォッカ(SKYY vodka)】

アメリカ・サンフランシスコ生まれのプレミアムウォッカ。4回の蒸溜と3回のろ過で仕上げたクリアな味わいは、カクテルベースにも最適。深海を思わせる鮮やかなブルーのボトルデザインも人気の秘密です。

【ベルヴェデール(BELVEDERE)】

モエ ヘネシー ディアジオが販売を手がけるポーランド生まれのラグジュアリーウォッカ。厳選されたダンゴウスキー・ゴールド・ライ麦と超軟水から造られた至高の1本です。なめらかな口当たりとほんのり香るバニラの香りが特徴です。

【グレイグース(GREY GOOSE)】

フランス産の上質な冬小麦とグランシャンパーニュの湧水で造り上げた、スーパープレミアムウォッカ。ほんのり甘い香りとすっきりとしたあと味がたのしめるスタンダードなタイプのほか、オレンジや洋梨、レモンなどの香りがたのしめるフレーバーつきタイプもおすすめです。

ウォッカのおいしい飲み方

ウォッカのおいしい飲み方

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本場ロシアやポーランドの定番の飲み方

本場ロシアやポーランドでは、キンキンに冷やしたウォッカをショットグラスに注いで一気飲みするのが一般的。

ウォッカは、アルコール度数にもよりますが、約40度のものでもマイナス31度くらいまで凍らないといわれています。家庭用冷凍庫の温度はマイナス18度前後なので、ウォッカをボトルごと入れても凍ることはないそう。

なにより、冷凍庫で冷やしたウォッカは、とろっとまろやかな飲み口になると評判。のどごしをたのしみながら一気にあおれば、寒冷地にいても体はぽかぽかに温まるのかもしれませんね。

なお、ストレートで飲む場合は、ミネラルウォーターなどのチェイサーを用意するほか、アルコール度数が高いので飲みすぎないように注意しましょう。

一度は味わいたいウォッカベースのカクテル

ウォッカはロックや水割り、炭酸割りでもおいしくいただけますが、おすすめはやっぱり日本人にも馴染み深いカクテル。ここではウォッカをベースにした代表的なカクテルを紹介します。

【ブルドッグ/ソルティドッグ】

「ブルドッグ」はウォッカをグレープフルーツジュースで割った定番カクテル。レモン果汁で縁を湿らせ、塩をつけたグラスを使うと「ソルティドッグ」になります。

【モスコミュール】

ウォッカをジンジャーエールで割ってライムジュースまたはライム果汁を加えた人気のカクテルです。

【スクリュードライバー】

ウォッカをオレンジジュースで割ったシンプルなカクテル。油田の作業員が工具で混ぜて飲んでいたことから、この名前がついたといいます。

【ブラッディメアリー】

トマトジュースでウォッカを割ったもの。お好みでカットレモンやレモン果汁を加えたり、塩やこしょう、タバスコ、ウスターソースなどをプラスして味をととのえたりすることもあります。

【コスモポリタン】

ウォッカとホワイトキュラソー、クランベリージュース、ライムジュースをシェークし、カクテルグラスでいただくショートタイプのカクテル。甘酸っぱさが人気の秘密です。

ウォッカにはさまざまな銘柄があり、日本でもカクテルベースとして人気です。家飲みでも重宝するウォッカを、ぜひ試してみてはいかがでしょう。

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