ジンとはどんなお酒? ジンの起源と魅力を知ろう

ジンとはどんなお酒? ジンの起源と魅力を知ろう
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ジンはジン・トニックをはじめ、多くの有名カクテルに用いられるお酒。カクテルとして飲んだことはあっても、ジンというお酒自体については、よく知らないという人も少なくないのでは? ここでは、4大スピリッツ(蒸溜酒)の1つに数えられるジンの定義や歴史、たのしみ方などを詳しく紹介していきます。

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ジンはグレーン・スピリッツに「ボタニカル」を加えたお酒

ジンはグレーン・スピリッツに「ボタニカル」を加えたお酒

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ジンというお酒は、ウォッカ、テキーラ、ラムと並んで、世界4大スピリッツに数えられるお酒です。
「スピリッツ」とは、醸造酒からアルコール分を蒸溜して造られる蒸溜酒のことで、その製法ゆえに醸造酒よりもアルコール度数が高くなります。
なお、ウイスキーや焼酎もスピリッツですが、ウイスキーはその生産量の多さから独立したジャンルと見なされるため、焼酎は日本国内での流通が主流なことから、「〇大スピリッツ」とは数えられないようです。

ジンをはじめとした4大スピリッツは、いずれもクリアで雑味の少ない味わいから、カクテルのベースとして人気ですが、なかでもジンは個性の幅広さが際立っています。
というのも、ジンとは、ベースとなるグレーン・スピリッツ(大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物を原料とした蒸留酒)に、ねずの実(ジュニパー・ベリー)をはじめとした香草・薬草類を加え、再蒸溜して造られるお酒。香草・薬草類は「ボタニカル」と呼ばれますが、その種類は非常に幅広く、世界中のさまざまなメーカーが、それぞれ独自の香りや風味を持ったジンを提供しているのです。

ジンの銘柄として日本でも有名なのが「ビーフィーター」や「タンカレー」「ボンベイサファイア」「ギルビー」など。風味や価格はさまざまですが、いずれもジンならではの華やかな香りと、さわやかな苦味がたのしめます。

ジンというお酒の歴史と種類

ジンというお酒の歴史と種類

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ジンというお酒は、もともとは飲んでたのしむお酒でなく、薬用酒として開発されたと言われています。

ジンの起源とされているのは、1660年頃、オランダの医学教授であるシルヴィウス博士が、アジアなど植民地における熱病対策に利尿剤として開発したもの。その製法は、利尿効果のある薬草として知られていたジュニパー・ベリーをアルコールに浸した後に、蒸溜するというものでした。
ジュニパー・ベリーのフランス語である「ジュニエーブル」の名で広まりますが、そのさわやかな飲み口から、利尿剤などの薬用としてよりも、むしろ新しい味わいのお酒として人気を博したのだとか。

その後、ジュニエーブルはオランダ商人たちによって世界中に広められます。なかでも大流行となったのがイギリスで、ジュニエーブルが短縮されて「ジン」と呼ばれるようになりました。
ジンがイギリスに伝わったのは、1689年の名誉革命に際して、オランダ貴族であったウィリアム三世がイングランド王として迎えられたときとされています。
この当時のジンは、雑味のあるグレーン・スピリッツに砂糖を加えた甘口のものでした。19世紀になって連続式蒸溜機が登場すると、現在のような雑味の少ない、洗練された辛口のジンが造られるようになり、おもな生産地の名をとって「ロンドン・ドライ・ジン」と呼ばれるようになりました。現在、世界で「ジン」と呼ばれているお酒は、そのほとんどが英国風のドライ・ジンです。

一方で、ジンの母国オランダでも独自の発展を遂げ、「ジュネバ」あるいは「オランダ・ジン」と呼ばれています。ドライ・ジンとはまた異なる味わいで親しまれ、ジンの2大潮流となっています。

ジンはカクテルベースにひっぱりだこのお酒

ジンはカクテルベースにひっぱりだこのお酒

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ジンというお酒は、よく「オランダで生まれ、イギリスで洗練され、アメリカが栄光を与えた」と評されます。これは、オランダで誕生した薬用酒、ジュニエーブルが、イギリスに渡って洗練されたドライ・ジンとなり、さらにアメリカに渡ってカクテルベースとして注目を集めたという歴史を物語っています。

【ジン・トニック】

現在でも、ジンはカクテルの世界でなくてはならないお酒。なかでもジン・ベースのカクテルの代表格と言えるのが「ジン・トニック」です。
ジン・トニックのレシピは、ジンとトニックウォーターを混ぜ合わせて、ライムやレモンを添えるだけ。その単純さが、逆に難しさでもあり、酒好きの間では、「ジン・トニックを頼めばバーテンダーの腕がわかる」とまで言われているのだとか。

【マティーニ】

ジン・ベースのカクテルで、一度は味わってみたいのが「マティーニ」。ジンとドライ・ベルモットを4:1の比率で混ぜ合わせ、オリーブを添えたカクテルです。香り高くキレのある味わいは、“カクテルの帝王”と呼ばれるにふさわしいものがあります。

【ギムレット】

マティーニと同様、格調の高さで知られるジン・ベースのカクテルが「ギムレット」です。ハードボイルド小説「長いお別れ」で有名になったこのカクテルは、ジンとライムジュースを3:1で合わせてシェイクしたもの。ちなみに、シェイクしないで造ると「ジン・ライム」になります。
このカクテルについてのエピソードは、以下の詳細記事で紹介しています。

「ギムレット」はジンベースの有名なカクテル

ジン・ベースのカクテルには、このほかにも「ネグローニ」や「ホワイトレディ」「ブルー・ムーン」など、有名カクテルがずらりと揃っています。どれも飲みやすさが人気ですが、ジン・ベースだけにアルコール度数は高めなので、くれぐれも飲みすぎには注意しましょう。

ジンの新時代到来を告げる「クラフトジン」というお酒

ジンの新時代到来を告げる「クラフトジン」というお酒

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ジンが近年、大きな注目を集めている背景には「クラフトジン」と呼ばれる小規模なジン造りの世界的な流行があります。

ジンはもともとレシピの幅が広く、元祖であるジュニパー・ベリーが必須とされる以外は、どんなボタニカル(香草・薬草類)を加えても構いません。このため、大手メーカーだけでなく、世界各地の造り手たちが、それぞれのアイディアを活かし、工夫を凝らした個性豊かなクラフトジンを造っていて、それぞれの味わいを競い合うことで発展を続けています。

なかでも人気が高いのが、それぞれの地域に特有のボタニカルを使った、地域色豊かなクラフトジンです。こうした動きは日本にも波及し、2016年8月には日本初のジン専門蒸溜所・京都蒸溜所が誕生。米を原料としたライススピリッツをベースに、玉露やゆずなど京都ならではのボタニカルを用いた「季の美」は、和のテイストあふれるジンとして、海外からも大きな注目を集めています。

製造元:京都蒸溜所
公式サイトはこちら

ジンの人気を支える近年のボタニカルブーム

ジンの人気を支える近年のボタニカルブーム

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ジンの味わいを特徴づけるボタニカル(香草・薬草類)とは、もともと「植物の」という意味ですが、近年では、女性を中心としたファッションやライフスタイルの分野で人気のキーワードとなっています。
たとえば、植物をモチーフにしたファッションが「ボタニカル柄」、部屋に観葉植物を飾ったりする暮らしが「ボタニカルライフ」と呼ばれていて、これらを積極的に取り入れる「ボタニカル女子」がちょっとしたブームなのだとか。

ジンには欠かせないボタニカルがこれほど人気を集めているのは、慌ただしい日々のなかで、植物が持つ癒やしの力が求められているからでしょう。こうしたボタニカルブームの一環なのか、お酒の席でもボタニカルの風味を活かしたジンをたのしもうという若者が増えているようです。
ジンの魅力が広まるのは喜ばしいことですが、せっかくのジンのおいしさを「ボタニカル女子」に独占させてしまうのはもったいない(笑)。ぜひ、自分の舌で、その魅力を味わってみてください。

ジンはクリアな味わいのグレーン・スピリッツをベースに、多種多様なボタニカルの風味と香りを加えて造られるお酒。近年のクラフトジンブームを背景に、その人気は広がりを増し、カクテルベースとしてはもちろん、ストレートやロックでもたのしんでほしいお酒です。

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