初心者におすすめ! ウイスキーの水割りをたのしもう
近年のハイボールブームが到来する前は、「ウイスキーを飲むなら水割り」という考えが定着していたことを知っていますか? 聞いたことはあるけれど、たのしみ方がわからないという人もいるはず。今回は日本人好みのウイスキーの水割りについて、深掘りします。
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ウイスキーの水割りってどんな飲み方?
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ウイスキーの水割りは日本独自のたのしみ方?
ウイスキーの水割りとは、氷を入れたグラスにウイスキーと水を注いでたのしむ飲み方のことです。じつは海外では水割りで飲まれることはほとんどありませんが、日本国内では定番の飲み方のひとつとして親しまれています。
これはおそらく、お酒を水で割る「水割り」という飲み方が、日本ではすでに「焼酎の水割り」という飲み方で定着していたからだと考えられます。つまり、「水割り」自体が日本人になじみ深い飲み方だったので、ウイスキーの水割りが自然と根づいていったのでしょう。
ウイスキーのモダンなイメージが、水割りを広めた?
近年のハイボールブームの始まりは、2008年からといわれていますが、このハイボールやウイスキーブームが起こるまでは「ウイスキーの飲み方といえば水割り」という考えが定着していました。
水割りがよく飲まれるようになったのは、1970年代から90年代にかけてのことです。このころに日本独自のスナック文化が盛り上がり、ボトルキープとともに水割りが広まっていったといわれています。
それから、当時の「日本酒=トラディショナルな酒」「ウイスキー=モダンな酒」というイメージも、ウイスキーの水割りの人気を高めるのに一役買ったといわれています。
ウイスキーの水割りは食事と一緒に飲むのにおすすめ
ウイスキーは、アルコール度数の高いお酒です。一般的なビールが約4~5度、ワインが約12~14度に対して、ウイスキーは約40~43度とその違いは一目瞭然。
しかし、そんなウイスキーも水割りにすることでぐんと飲みやすくなります。独特の香りが和らいで、口当たりがマイルドになるため、食事に合わせやすくなるのもメリットです。
とくに、ジャパニーズウイスキーは、和食との相性が抜群です。日本には昔から、食事と一緒にお酒をたのしむ文化があるので、食事に合わせやすい水割りという飲み方が広まっていったのは、当然のことなのかもしれませんね。
ウイスキーの水割りをおいしく作るコツ
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ウイスキーの水割りの作り方
水割りの基本的な作り方を見ていきましょう。
<用意するもの>
◇ウイスキー
◇天然水(ミネラルウォーター)
◇氷
◇グラス
グラスに氷を入れ、マドラーなどでかき混ぜてグラスを冷やします。ウイスキーを適量注いでよくかき混ぜたら、天然水を注ぎ入れ、さらにかき混ぜてなじませたら完成です。
一般的に、ウイスキー1に対して天然水2~2.5の比率で作ると、バランスのよい味わいになるといわれていますが、これはあくまで目安。好みの濃度で自由にたのしめるのが、水割りの醍醐味です。
しっかり味わいたいときはウイスキーの割合を多めに、軽くすっきりと味わいたいときは天然水の割合を増やすなど、そのときの気分によって調節しましょう。
ウイスキーの水割りをおいしく作るポイント
ウイスキーの水割りは、シンプルな飲み方です。それゆえに、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、おいしく作ることができます。作り方のポイントを見ていきましょう。
【天然水はよく冷やす】
水は、水道水ではなく、天然水(ミネラルウォーター)を用意。水割りはキリッと冷たいほうがおいしいので、前もってよく冷やしておきましょう。
【ウイスキーと水の硬度を合わせる】
おいしさを追求するなら、ウイスキーの生産地(蒸溜所)付近で採水された天然水を使うのがおすすめ。ウイスキーの製造の際に使われる仕込み水の硬度に近い水を使うことで、ウイスキーと水がよくなじんでおいしくなるといわれています。なお、スコットランドや日本は軟水が主流です。
【大きめの氷を使う】
氷は、市販されている大きめの氷がベター。自宅の冷蔵庫で作った氷と比べると、不純物が少ないため溶けにくく、ウイスキーが必要以上に薄まるのを防げます。
【グラスは口が広く薄いものを】
大きめの氷を入れやすい、口が広いタイプを用意しましょう。また、薄手のグラスは全体が冷えやすく、水割りの冷たさを長くキープできます。また口当たりがよいのもおすすめポイント。
ただし、「水割りには必ずこのグラス!」といった明確な決まりはありません。
【初心者は基本の割合で作る】
ビギナーは、水割りの基本の味を知ることも大事。最初は「1:2~2.5」の比率を守り、しっかり計量して作ってみましょう。このとき、カクテル用の「メジャーカップ」を使うと便利です。慣れてきたら濃度を変えて、好みの比率を探すのもよいですね。
ウイスキーの水割りとトワイスアップの違いとは?
水割りに似た飲み方に、「トワイスアップ(トゥワイスアップ)」があります。トワイスアップは、アルコールの刺激を抑えつつ、ウイスキー特有の香りをたのしみたいときに選ばれる飲み方です。
水割りとトワイスアップは、ウイスキーに水を加えて作るという部分では共通していますが、ウイスキーと水の比率や、氷を使うかどうかという点で異なります。以下で、改めて違いを確認しましょう。
【水割り】
◇材料:ウイスキー、水(冷水)、氷
◇黄金比:ウイスキー1:水2~2.5
◇グラス:口が広く、薄めのグラス
◇濃度は自由に調節してOK。
◇食中酒としてもおすすめの飲み方です。
【トワイスアップ】
◇材料:ウイスキー、水(常温) ※氷は使用しません。
◇黄金比:ウイスキー1:水1
◇グラス:テイスティンググラス
◇ウイスキーの香りをたのしむ飲み方。
◇1:1の割合は、テイスティングにも用いられます。
ウイスキーの水割りに使う水の選び方とおすすめ銘柄
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ウイスキーの水割りに使う水の硬度を確認してみよう
水割りは、前述のとおり、ウイスキーの仕込み水の硬度となるべく近い硬度の天然水で作るとおいしくなります。この点にこだわるなら、蒸溜所の近くを流れる川の水の硬度や、日本各地の採水地の硬度を調べてみてはいかがでしょう。
日本の水は軟水が中心で、平均的な硬度は50~60くらいですが、地域によってばらつきがあります。たとえば、北海道の有名な採水地の水は18~20の超軟水ですが、東北地方(岩手県)のある人気採水地の水の硬度は90~100の中硬水です。
水割り用のウイスキーと水の合わせ方の例
ウイスキーと水の合わせ方をもう少し詳しく見ていきます。
北海道・余市と宮城県・宮城峡に蒸溜所を構えるニッカウヰスキーを例に挙げると、両者の近くを流れる川の水の硬度は20くらいです。そのため、ニッカウヰスキーの銘柄「余市」で水割りを作る場合は、先ほど紹介したような北海道産の超軟水と合わせるのがベストな組み合わせとなりそうです。
しかし、「宮城峡」で水割りを作る場合に、同じ東北地方だからと岩手県の中硬水を選ぶと、少しギャップが生じてしまいます。なお、宮城県内で有数の採水地の水は硬度37の軟水なので、こちらを選べば差異は少なくなるでしょう。
近隣の地域でも硬度が異なることがあるので、徹底してこだわりたい場合は、この点にも着目するとよいかもしれませんね。
ウイスキーの水割りにおすすめの銘柄
水割りは、クセのあるタイプよりも、まろやかで飲みやすいものがおすすめです。コスパがよくて水割りにするとおいしいウイスキーには、以下のようなものがあります。
◇「サントリー 角瓶」
サントリー2大蒸溜所の山崎と白州で造った原酒を、バランスよく配合したブレンデッドウイスキー。山崎の水の硬度は94、白州の水の硬度は30程度なので、水割りを作る場合は、間を取って硬度60くらいの中硬水を選ぶとよさそうです。
◇「カナディアンクラブ」
ほのかに甘い香りと、上品で軽やかな味わいをたのしめるカナディアンウイスキー。ライ麦などの穀物を原料としたウイスキーは、硬水で割ると、さらに飲みやすくなるといわれています。
◇「ジェムソン」
アイリッシュウイスキーの代名詞とも呼ばれる銘柄。クセが少なく、なめらかな舌触りが特徴で、水割りにも合います。軟水で割ると、香り豊かでまろやかな味わいになるのが特徴。
◇「ザ・マッカラン」
上品で華やかなスコッチウイスキー。芳醇な味わいで、どんな飲み方にも合いますが、水割りにすると、アルコールによる刺激が穏やかになって甘さが引き立ちます。軟水で割るのがおすすめですが、独特のスモーキーフレーバーをたのしむなら、水の量を少なめにするとよいでしょう。
◇「グレンフィディック」
スコッチウイスキーのなかでも、クセが少なくバランスのよいウイスキー。軟水で水割りにすると、まろやかな飲み心地と、ほのかに甘くフローラルな香りを感じられます。
自宅でも手軽にたのしめるのが水割りの魅力ですが、かんたんに見えて、じつは奥が深い飲み方でもあります。よりおいしく作るなら、水の硬度にこだわるのもおすすめです。ただし、おいしいからといって、飲み過ぎないように気をつけましょうね。