ビールの製造工程を徹底解説! 大麦がビールに変わるまで

ビールの製造工程を徹底解説! 大麦がビールに変わるまで
出典 : Vaclav Mach / Shutterstock.com

ビールの製造工程を知っていますか? ふだんビールをたのしんでいても、ビールが具体的にどのような工程を経て造られていて、なにが味に影響しているのかを知ればよりおいしく味わえるかもしれません。今回は、ビールの製造工程について詳しく解説します。

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原料からビールの素を造る[製麦・仕込]

原料からビールの素を造る[製麦・仕込]

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大麦を発芽させる「製麦工程」

ビール造りは「製麦(せいばく)」と呼ばれる作業からスタートします。かんたんにいえば、収穫した大麦を発芽させて「麦芽」を造る工程が製麦です。流れを順番に見ていきましょう。

【浸麦(しんばく)】

大麦を15度前後の水に2日間ほど浸します。大麦は水分を吸収し、発芽の準備をはじめます。

【発芽(はつが)】

十分に水を吸収した大麦を発芽室へ移します。大麦は発芽すると熱を持つので、風を送ったりかき混ぜたりして、15度前後の気温に保たれるようにします。この工程は4〜7日間ほど行います。

【焙燥(ばいそう)】

麦芽は、発芽したらどんどん成長してしまいます。その成長を止めるために、熱風で乾燥させます。このとき、大麦の中にビールの色や香りの成分が作られていきます。

【除根(じょこん)】

根は不快な苦味のもとになるので、麦芽同士をすり合わせて、麦芽から出た根を取り除きます。

【焙煎(ばいせん)】

濃色ビールを造る際に使用するカラメル麦芽や黒麦芽を造るために、それぞれの用途に合わせた温度で焙煎し、麦芽に色をつけていきます。

麦汁を造りホップを投入する「仕込工程」

「仕込工程」では「麦汁」を造ります。ビールの個性が決まる工程です。

【糖化】

麦芽を粉砕し、お湯を加えて、糊状のドロドロとした「もろみ(マイシェ)」を造ります。麦芽にはいくつかの酵素が含まれていて、それぞれ活性しやすい温度が異なるため、段階的に温度を上げていきます。

【麦汁のろ過】

もろみをろ過して麦汁を造ります。粉砕された麦芽の穀皮がフィルターとなって麦汁をろ過します。この麦汁を再びろ過槽に戻して、澄んだ麦汁を取り出します。

【煮沸】

麦汁を煮沸釜に入れて煮込みます。煮沸は、もっとも重要なホップを加える作業のほかに、殺菌や濃度調整なども目的としています。ホップは、煮沸している麦汁に2〜3回に分けて投入されます。ホップを投入するタイミングと量をどうデザインするかで、ビールの個性が決まります。

【冷却】

次の発酵工程に移行するために、麦汁を煮沸した温度から、酵母が活動できる温度まで冷やします。

ビールの味と風味を育てる[発酵・貯酒]

ビールの味と風味を育てる[発酵・貯酒]

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酵母が二酸化炭素とアルコールを作る「発酵工程」

冷やした麦汁は「発酵工程」へと進みます。ビールの風味を特徴づける重要な工程です。

麦汁に酵母を加えるとすぐに発酵が始まります。発酵によって、酵母が麦汁に含まれる糖から、二酸化炭素とアルコールを作り出します。このとき、酵母を加える量が少ないと、発酵が遅れて香りのバランスが崩れ、多すぎるとビールの味が損なわれるため、絶妙な調整が必要となります。

発酵期間は、ラガー(下面発酵)で10日間ほど、エール(上面発酵)で5日間程度。この期間を「主発酵」といい、ここで出来たものを「若ビール」と呼びます。

ビールの味が調っていく「貯酒(熟成)工程」

「若ビール」の段階では、味が粗く、香りも好ましくない状態です。そこで、「若ビール」を冷却し熟成させて、ビールとしての味を調えます。これを「貯酒(熟成)工程」、または「後発酵」といいます。

「若ビール」は冷却されると、タンパク質などが凝固して液体の下部に沈殿するため、ビールが徐々に澄んでいきます。

また「若ビール」には、わずかに酵母が残っているため、ゆるやかに発酵も進みます。ここで造られた二酸化炭素は、液体に溶け込んでいきます。溶け込まなかった二酸化炭素は放出されますが、その際に好ましくない香りも一緒に取り除かれるので、ビールの風味が調うことになるのです。

ビールを容器に詰める[ろ過・パッケージング]

ビールを容器に詰める[ろ過・パッケージング]

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ビールのおいしさを保つための「ろ過工程」

「貯酒工程」を経ることでビールはいったん完成しますが、品質を維持するためにビールをろ過する作業を行います。ろ過する前に、熱処理が行われるビールもあります。

【熱処理】

酵母が残っていると、容器に詰めたあとも発酵が進んで品質が変わってしまいます。そこで酵母を死滅させるために行うのが熱処理です。これは、とくにろ過技術が未熟だった時代に行われていた工程ですが、現在でも熱処理をほどこしたビールが、少ないながら造られています。
ちなみに、「生ビール」とは熱処理をしていないビールを指します。日本のビールは、ほとんどが生ビールです。

【ろ過】

酵母やビールの濁りの原因となる物質を取り除く工程です。なるべく酸素に触れない状態で、ビールが泡立たないようにゆっくりと流し込んでろ過していきます。こうすることで、きれいな色のビールができあがります。ただし、あえて酵母を残して容器の中で二次発酵させるビールもあります。

なお、大手メーカーが生産するビールは、マイクロフィルターを使って酵母などを取り除くことで、熱処理をしなくても常温保存できるようになっているのが一般的です。一方で、クラフトビールのほとんどは、マイクロフィルターが使われていないため、熱処理されていないものは冷蔵庫に保存する必要があります。

できあがったビールを容器に入れる「パッケージング工程」

ビールを出荷するために容器に詰めます。これを「パッケージング」と呼びます。瓶や缶、樽に入れることで、わたしたちの手元に届くまでビールのおいしさを守ります。

【瓶詰め】

瓶詰めは、瓶の中の空気を炭酸ガスに置き換え、圧力を加えた状態で行います。これは、ビールを入れる際に泡だらけにならないようにすることと、ビールの劣化の原因となる酸素を追い出すのが目的です。
ビールが温度変化によって膨張し、瓶の中の圧力が高くならないよう、一定の空きを残して充填(じゅうてん)されます。

【缶詰め】

缶は胴とフタの部分に分かれていて、ビールを充填する際にはビールとフタの間に炭酸ガスを吹き込み、一瞬でフタを装着します。
缶の内側は合成樹脂によってコーティングされています。これにより、缶の中のビールと缶のアルミ金属とが完全に遮断され、風味が変化しないようになっています。

【樽詰め】

瓶や缶と同様に、炭酸ガスや窒素ガスで樽の中を満たし、圧力を加えてビールを充填します。ビールを入れた樽は、重量を測定し、口金部分に漏れがないかなどを検査します。問題がなければ、口金をキャップシールで包装します。

各工場では、瓶、缶、樽のいずれの場合も、おいしさが損なわれないよう、大量のビールを素早く詰め込むためのさまざまな工夫がなされています。

ビールの製造工程を知れば知るほど、いっそうビールへの興味が深まりますよね。大麦からどんな工程を経て造られたのか、想いを馳せながら飲むと、ビールがさらにおいしく感じられるかもしれませんよ。

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