ビールが苦いのはなぜ?「苦味」をおいしく感じる理由も解説!

ビールが苦いのはなぜ?「苦味」をおいしく感じる理由も解説!
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ビールが苦いのはどうしてなのでしょうか? 「ビールは苦いのが当たり前」と思っていて、ビール独特の苦味がどこからくるのか、知らない人もいるかもしれません。今回はビールと苦味の関係について、さまざまな角度から調べてみました。

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ビールが苦いのは「ホップ」のせい

ビールが苦いのは「ホップ」のせい

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ビールが苦い原因となる「ホップ」とはどんな植物?

ビールが苦い一番の原因は、ビールの主原料のひとつであるホップにあります。ホップは、アサ科カラハナソウ属のつる性の多年生植物で、冷涼で乾燥した地域によく育ち、現在では、全世界で100種類以上のホップが生産されています。
日本では、おもに岩手県、秋田県、山形県、北海道などで栽培され、収穫期となる8~9月には高さ7メートルほどにまで成長します。ビール醸造に使われるのは未授精の雌株の花で、緑色の松ぼっくりのような形になることから、「球花(きゅうか)」や「毬花(まりはな)」などと呼ばれます。

ビールの苦味を生み出すのは、ホップの「ルプリン」に含まれる成分

ホップの球花には、「ルプリン」と呼ばれる黄色い粒のような部位があり、そこからビールの味や香りを決定づける樹脂や精油が生まれます。このうち「アルファ酸」と呼ばれる成分が、醸造中に煮沸されて「イソアルファ酸」という物質に変わります。この「イソアルファ酸」こそ、ビールの苦味の正体です。
ホップは、ビール独特の苦味を生み出す以外にも、雑菌の繁殖を抑える効果やビールの泡持ちをよくする効果があるとされ、12世紀ごろからビール造りに使われ始め、15世紀頃には欠かせない主原料として普及しました。

苦いビールをおいしく感じる理由とは

苦いビールをおいしく感じる理由とは

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人は成長につれて「苦味」をおいしく感じるようになる

「ビールは苦い」と敬遠していた人が、年を重ねるにつれてビールの苦味が好きになったという話をよく聞きますが、それには理由があります。
人間が持つ味覚は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つで、これらを総称して「五味(ごみ)」と呼びます。生まれたばかりの赤ちゃんが「おいしい」と感じるのは、このうち甘味と旨味だけで、とくに苦味や酸味は苦手なのだとか。これは、酸味や苦味が本能的に腐敗や毒を連想させるためと言われています。
しかし、その後、成長するにつれて味覚も成長し、さまざまな味を経験するなかで、苦味なども「おいしい」と感じるようになるのだそうです。

ストレスが溜まると「苦味」がさらにおいしくなる

人はストレスが溜まると味覚が鈍化し、苦味をあまり感じなくなると言われています。また、苦味成分にはストレスを軽減するはたらきがあるとも言われています。
仕事などで疲れたときに、いつもよりもビールをおいしく感じるのは、ストレスが溜まっているからかもしれませんね。

ビールの苦味を左右するさまざまな要素

ビールの苦味を左右するさまざまな要素

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ビールの苦味の違いを生み出すポイント

ビールの苦味は一様ではなく、造り手や銘柄によって、苦味の強弱やテイストが異なります。
こうした苦味の違いを生むのが、ホップの種類や仕込み方です。異なる種類のホップを組み合わせたり、使用量や煮沸時間、煮沸釜に入れるタイミングなどを変えてみたり、ビールの造り手たちはさまざまな工夫を凝らして、“理想の苦味”を追求しているのです。

ビールの苦味のもとはホップ以外にも

ビールの苦味を生み出す要因は、じつはホップだけではありません。「シュバルツ」や「スタウト」などの黒ビールでは、原料の一部に焙煎したロースト麦芽を用いますが、そこからビターチョコレートのようなほろ苦さが生まれます。
また、さまざまなハーブや香辛料などの副原料を加えることで、ホップやロースト麦芽とは異なる独特な苦味を生み出すビールもあります。

ビールの苦味の世界基準「IBU」とは

ビールの苦さの程度を表す国際的な指標に、「IBU(International Bitterness Units(国際苦味単位)」があります。
IBUでは、「ホップの使用量」「煮込み時間の長さ」「アルファ酸の含有量」などをもとに苦味の程度を決めています。しかし、味覚には個人差があり、体調の変化などによっても感じ方は異なります。IBUが高くても、それほど苦く感じないケースもあるので、あくまでビール(とくにクラフトビール)を注文する際の参考程度にするのがよいかもしれません。

ビールの苦味は、使用するホップの種類や仕込み方によってさまざまに異なります。これからは、そんな「苦味の違い」にこだわってビールを飲み比べてみるのもたのしいかもしれませんね。

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