日本酒の「新酒」とは?フレッシュな味わいがたのしめる時期を紹介!

日本酒の「新酒」とは?フレッシュな味わいがたのしめる時期を紹介!
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日本酒の「新酒」を飲んだことはありますか?文字通り「新しく造られたお酒」のことをいいますが、旬の時期しか味わえないフレッシュ感がたのしめます。今回は、新酒の販売時期や飲みごろ、おいしい飲み方について紹介します。

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日本酒の「新酒」とは?

日本酒の「新酒」とは?

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日本酒の「新酒」の定義は、じつはあいまいで、さまざまな意味合いで使われています。まずは一般的な定義からみていきましょう。

「新酒」の一般的な定義を知ろう

日本酒の「新酒」とは、読んで字のごとく「新しく造られたお酒」のことです。一般的には7月1日から翌年の6月30日までの酒造年度内に造られて出荷された日本酒を意味し、原料米が新米かどうかは問われません。

この定義に従えば、同じ11月に仕込んだお酒でも、
◇翌年の3月に出荷したお酒は「新酒」
◇ひと夏寝かせて翌年の9月に出荷したお酒は「新酒」ではない

ということになります。

日本酒業界では1年の期間のくくりを「酒造年度」と表現しています。通常の1月始まりの暦や、学校や会計などで用いる4月始まりの年度が、冬場に行われることが多い日本酒の製造にはなじまないと考えられたことから定められたもので、「BY(Brewing Yearの略)」とも表記されます。たとえば、令和2年7月1日から令和3年年6月30日までの間に造られたお酒の酒造年度は「令和2酒造年度」や「R2BY(2BY)」または「2020BY」と表記されます。

新米を秋から冬に仕込み、翌年の春くらいまでに出荷したお酒

秋に収穫された新米を使って醸造したお酒のうち、「初めに搾ったもの」や「翌年の春までに出荷したもの」を「新酒」と呼ぶことがあります。

日本酒は、秋に穫れた新米を仕込み、11月くらいから翌年3月くらいまでの間に出荷されるものが多いことから、一般的な定義での「新酒」より、こちらの意味合いの「新酒」のほうが比較的多く使われているようです。

日本酒の「新酒」の特徴を知ろう

日本酒の「新酒」の特徴を知ろう

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日本酒の「新酒」ならではの味わいの特徴や、保存上の注意などをみていきます。

「新酒」ならではの味わい

「新酒」の味わいの特徴は、みずみずしいフレッシュな味わいにあります。

日本酒は熟成させることで甘味や酸味、苦味などが一体となり、丸味やコク、深みが生まれます。「新酒」の味わいはそれとは対照的。甘味、酸味、苦味などがそれぞれに主張する若々しさと勢いのある口当たりは、できたての「新酒」ならではのものといえます。

生酒の「新酒」のなかには、酵母がまだ生きているものもあります。そのようなお酒を口に含むと舌にピチピチとした刺激を感じさせます。また、精米歩合が50%以下のお米と米麹(こめこうじ)、水だけで造る純米大吟醸酒の「新酒」は香りも華やか。新春の祝い酒としてもぴったりです。

なお、日本酒の味わい、とりわけ甘口や辛口の目安となる「日本酒度」や「酸度」については、「新酒」としての傾向があるわけではなく、商品によって異なります。ラベルに表示してある商品もあるので確認してみましょう。

「新酒」の特徴と保存上の注意点

日本酒のなかでも「新酒」は繊細なお酒。味わいが変わりやすいという特徴もあるため、「新酒」ならではのフレッシュ感をたのしみたい場合は早めに飲み切りましょう。

「新酒」を保存・保管をする際には、酒質の劣化につながる紫外線や温度、酸化に気をつける必要があります。

紫外線や高温を避けるには、冷蔵庫で保存・保管するのがおすすめです。「新酒」のなかでも生酒はデリケートなので、5度以下の温度を保てる冷蔵庫を使用しましょう。

また、冷蔵庫内に保存・保管するときには、できる限り瓶を立てて置きます。寝かせて置くと瓶内で空気に触れる面積が広くなり、酸化スピードが少し早くなってしまうのです。一升瓶で冷蔵庫内に立てて入れるのが難しい場合は、清潔な小容量の瓶などに移し替えて保存します。

たくさんの量を飲むのでなければ、購入する時点で720ミリリットル(ml)入りの四合瓶や300ミリリットル瓶などの商品を選んでおくのもよいですね。

日本酒の「新酒」がたのしめる時期とおいしい飲み方

日本酒の「新酒」がたのしめる時期とおいしい飲み方

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日本酒の「新酒」の販売時期や飲みごろはいつなのでしょう。おいしい飲み方とともに紹介します。

「新酒」の販売時期

「新酒」の販売時期の中心は、新米で仕込んだお酒が出荷される11月ごろから翌年3月ごろまでの間。この時期になると、さまざまな銘柄の「新酒」が店頭に並びます。新米で造った新酒は「新米新酒」、厳冬期に仕込んだ新酒は「寒造り新酒」とも呼ばれています。

また、新米を使って造ったお酒のうち、生酒を「しぼりたて」、初めに搾ったものを「初しぼり」と呼ぶこともあります。とはいえ「しぼりたて」「初しぼり」とも火入れをしている商品もあり、「新酒」と同じくいろいろな意味合いで使われているので、商品を購入するときにはラベル表示などを確認しましょう。

「新酒」の販売時期がわかる伝統的な目印といえば「杉玉」です。「酒林(さかばやし)」とも呼ばれる杉玉は、杉の葉を束ねて球状にまとめたもの。青々とした真新しい杉玉は、「新酒」ができた合図として酒蔵などの軒先に吊るされます。蔵元を訪ねたときなどに注目してみてくださいね。

「新酒」の飲みごろ

「新酒」は味わいが変化しやすいお酒であるため、飲みごろは千差万別ともいえます。味わいに好みがある場合は、購入の際、酒販店に相談して飲みごろを教えていただくと安心ですね。

「新酒」らしいフレッシュな味わいを堪能したいときには、出荷されて間もない商品を、時間を置かずに飲むのがよいでしょう。

一方で「新酒」は、味わいの変化そのものをたのしめるお酒でもあります。前述のとおり冷蔵庫で上手に保存しながら、少しずつ時間を置いて飲めば、勢いのある若々しい飲み口がだんだんと落ち着き、やがて丸味を帯びてくるという、酒質が変わっていく様子をたどれます。1本を短期間で飲み切れる人は、同じ銘柄を同時に複数入手して、しっかり冷蔵庫で保管しながら、1本ずつ時期をずらして飲んでみるのもおすすめです。

「新酒」のおいしい飲み方

「新酒」ならではのみずみずしい味わいは、キリリと冷やして飲むことで際立ちます。

冷酒で「新酒」を飲むときにおすすめなのが、口当たりのよい薄手のガラス製グラス。「新酒」の繊細な味わいと香りがより堪能できます。

また「新酒」には、ブリの刺身やワカサギの天ぷら、豚しゃぶなど素材の味を活かした料理や、販売時期が重なる春が旬の野菜を使った料理がよく合います。春野菜のうち、ほのかな苦味がある菜の花や、すがすがしい香りのタケノコは、「新酒」と味わいを引き立て合う好相性の食材です。菜の花ならおひたし、タケノコなら土佐煮など、シンプルな味つけでたのしみましょう。

「新酒」のおすすめ銘柄

「新酒」のおすすめ銘柄を紹介します。

菊水(きくすい)酒造|吟醸 生原酒「新米新酒 ふなぐち菊水一番しぼり」

菊水(きくすい)酒造|吟醸 生原酒「新米新酒 ふなぐち菊水一番しぼり」

出典:菊水酒造株式会社サイト

新潟県の菊水酒造のロングセラー商品、生原酒 「ふなぐち菊水一番しぼり」の新米新酒バージョン。精米歩合55パーセントの新米だけを使用した、火入れも割り水もしていない吟醸仕込みの生原酒です。さわやかな香りと、旨味とコク、キレのあるみずみずしい味わいは、刺身や生牡蠣などとよく合います。
※季節限定商品です。

製造元:菊水酒造株式会社
公式サイトはこちら

通潤(つうじゅん)酒造「純米大吟醸酒無濾過(むろか)生原酒 新酒」

通潤(つうじゅん)酒造「純米大吟醸酒無濾過(むろか)生原酒 新酒」

通潤酒造株式会社サイト

熊本県の通潤酒造が手掛ける販売本数限定の純米大吟醸酒。「山田錦」と熊本酵母を使用。ろ過も火入れも行わない無ろ過生原酒の「新酒」です。品のよい吟醸香(ぎんじょうか)と、やわらかな口当たり、長く残る余韻が心地よい極上の1本。

製造元:通潤酒造株式会社
公式サイトはこちら

土佐鶴(とさつる)酒造「しぼりたて 純米新酒」

土佐鶴(とさつる)酒造「しぼりたて 純米新酒」

土佐鶴オンラインショップ

高知県の老舗蔵、土佐鶴酒造が造った純米酒。「しぼりたて」の華やかな新酒の香りに加え、純米酒ならではともいえるしっかりとしたコクのある味わいも堪能できる一挙両得の1本。5度前後に冷やした冷酒はもちろん、50度程度に温めた熱燗でもおいしく飲める燗酒好きの人にもおすすめの「新酒」です。

製造元:土佐鶴酒造株式会社
公式サイトはこちら

出羽鶴(でわつる)酒造「出羽鶴 純米新酒生 新米初しぼり」

出羽鶴(でわつる)酒造「出羽鶴 純米新酒生 新米初しぼり」

秋田清酒株式会社サイト

秋田清酒傘下の出羽鶴酒造が、地元の秋田県で生まれた「きんざん」という米を使って醸した「初しぼり」の特別純米酒。搾りたての「新酒」をそのまま瓶に詰めた商品で、「新酒」らしいフレッシュさを感じさせる炭酸ガスと、味を引き締める酸味が特徴。食中酒にもぴったりなキレのある味わいがたのしめます。
※11月から翌1月の冬季期間限定商品です。

製造元:出羽鶴酒造株式会社
販売元:秋田清酒株式会社
公式サイトはこちら

日本酒の「新酒」は期間限定で販売されるものがほとんど。気になる銘柄の「新酒」を見つけたら、売り切れる前にぜひ試してみてくださいね。

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