日本酒文化を支えてきた有名県!

日本酒文化を支えてきた有名県!
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「日本酒で有名な都道府県は?」と聞かれて、まず思い浮かべるのはどの都道府県でしょう。ここでは、日本酒の出荷量で何年にもわたりトップ3を守り続けるなど、名実ともに日本酒文化を支え続ける兵庫、京都、新潟の3県について、酒造りの歴史やその背景に迫ります。

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日本酒有名都道府県その1 兵庫県

日本酒有名県その1 兵庫県

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日本酒の生産量で全国トップを誇る

日本酒の有名県の筆頭にあがる兵庫県は、日本酒の生産量で全国トップ。3割近くのシェアを占め、圧倒的な強さを誇ります(国税庁の統計より)。
兵庫の酒処と言えば、「白鶴(はくつる)」「大関(おおぜき)」「剣菱(けんびし)」「菊正宗(きくまさむね)」など、多くの有名銘柄を醸す「灘(なだ)」が有名ですが、ほかにも県内各地で酒造りが盛んです。
灘五郷をはじめ、明石、伊丹、姫路、丹波篠山(たんばささやま)、加古川、社(やしろ)、北兵庫、淡路と、兵庫県内だけで9つもの酒造組合があり、それぞれ異なる風土や気候のもと、さまざまな味わいの日本酒が造られています。

兵庫に日本酒の歴史あり

かつて播磨国(はりまのくに)と呼ばれていた兵庫県南部は、「日本酒のふるさと」とも呼ばれる地。奈良時代に編纂された『播磨国風土記』に「神様にお供えしたご飯にカビが生えたので、それでお酒を造って神様に献上した」との記述があり、これが麹を用いた日本酒造りの起源と言われています。
その後、室町時代には灘五郷で酒造りが盛んになり、戦国時代末期には伊丹で洗練された清酒造りの技術が確立されたと伝えられています。
いわば“日本酒の先進地域”であったこの地から江戸に運ばれた日本酒は「下り酒」としてもてはやされ、そこから高級品を「下(くだ)りもの」、質の劣る品を「下(くだ)らないもの」と呼ぶようになったのだとか。

日本酒有名都道府県その2 京都府

日本酒有名県その2 京都府

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京都を日本酒の有名県たらしめる伏見

日本酒の生産量で全国2位の京都府は、各地に多くの蔵元が点在していて、伏見、洛中、京都丹後、福知山、宮津、京丹後と、6つの酒造組合が存在しています。
これらのなかでも、歴史や知名度から京都を代表する酒処と言えるのが、「月桂冠(げっけいかん)」「松竹梅(しょうちくばい)」「黄桜(きざくら)」など多くの全国ブランドを擁する伏見でしょう。
伏見の酒造りの歴史は古く、日本に稲作が伝わった弥生時代には、すでに米を原料とした酒造りが始まったとされています。その後、安土桃山時代に豊臣秀吉が伏見城を築城したことで大きく栄え、伏見の酒造りも脚光を浴びるようになりました。

京都の日本酒、伝統と革新

長い歴史に支えられた京都の日本酒造りは、伝統を大切にしながら、新しいことへのチャレンジも忘れません。
例えば、伏見の老舗蔵、玉乃光酒造では、戦後にいち早く純米酒を復活させたことで知られていますが、近年も科学的なデータを駆使して焼き鳥に合う日本酒「94(きゅうじゅうよん)」を開発するなど、常に話題を集めています。
また、同じく伏見に本拠を置く総合酒類メーカー・宝酒造では、ニーズを敏感に感じ取るマーケティング力を活かし、女性をコアターゲットとしたスパークリング清酒「澪(みお)」の提案や、新パッケージ・パウチパックの開発など、日本酒の可能性を広げています。

日本酒有名都道府県その3 新潟県

日本酒有名県その3 新潟県

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新潟県の日本酒愛は全国トップクラス

日本酒の有名県3つめは、新潟県です。酒造りに適した風土、米、水が揃っている新潟県は、国内出荷量で全国3位をキープ。蔵元の数は90近くを数え、全国1位の座を確保しています。
また兵庫や京都と異なるのは、日本酒を造るだけでなく、飲むのも大好きな地域だということ。1人あたりの日本酒の消費量では全国トップで、まさに“日本酒王国”と言えるでしょう。

県全体で取り組む日本酒への熱意

新潟を日本酒の有名県に押し上げたのは、淡麗辛口の日本酒でしょう。
もともと新潟県では、良質な雪解け水を活かした、さっぱりした酒造りが特徴でした。1957年に酒造好適米「五百万石」が新潟で誕生したことをきっかけに、雑味の少ないきれいな日本酒が造られ、地酒ブームを牽引しました。
近年では、日本酒ニーズの多様化に対応するため、従来の“新潟淡麗”のイメージを覆す個性的な蔵元も増えています。また、次世代の酒造り人材を育てるため、1984年には世界で唯一、酒造技術を専門的に学ぶ清酒学校が設立されるなど、新潟の酒造りはこれからさらなる進化が期待されています。

日本酒の有名県は、紹介した3府県以外にも、「全国新酒鑑評会」で7年連続最多受賞数を記録した福島県や、“吟醸王国”と呼ばれる山形県など、注目すべき県がまだまだあります。どこで造られたお酒かをチェックしながら飲めば、日本酒のたのしさがさらに広がるでしょう。

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