新潟ワインコースト探訪その① 新潟ワインコーストの歩み&カーブドッチワイナリー

新潟ワインコースト探訪その①        新潟ワインコーストの歩み&カーブドッチワイナリー

日本のワイン産地と聞けばどんなエリアが思い浮かびますか? 山梨、長野、山形、北海道あたりが有名どころですが、最近注目され始めているのが新潟。とくに新潟砂丘の一角にあたる角田浜(かくたはま)周辺は、生産者によって“新潟ワインコースト”と名付けられ、ワイン愛好家たちが足繁く通う産地となりつつあるのです。

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“新潟ワインコースト”をけん引してきたワイナリー

“新潟ワインコースト”をけん引してきたワイナリー

新潟ワインコーストの入口にあたる看板には、カーブドッチワイナリーを含む主要な5つのワイナリー名が。

新潟市中心部から南西へ、海岸沿いに車を走らせること30分あまり。角田浜海水浴場近くの丘に広がるのが、新潟ワインコースト。海と砂に囲まれた地区に個性的なワイナリーが5軒。まるで家族のように集まり、新しく革新的なワイン産地を形成しています。

この地で初めてワイン造りに着手し、一帯が新進のワイン産地となるためのけん引役を果たしてきたのがカーブドッチワイナリー。醸造責任者の掛川史人(かけがわ・ふみと)さんが初めてブドウをこの地に植えて、ワイナリーを創設したのが約四半世紀前、1992年のことです。

「“国産生ブドウ100%、かつ欧州系のワイン専用種100%のワインを造る”と、当時の日本ワインの状況では考えられなかった壮大な目標を掲げてスタートしました」。同時にワイン未開のこの地を、世界に誇れるような産地にしたいと考えていたとか。「その実現に向けて大きな転機となったのが、2005年。現在この地の適正品種と断言してよい『アルバリーニョ』を植えた年なんです」と、掛川さん。

代表である母・千恵子さんとともにワイン造りに取り組む掛川さん。

代表である母・千恵子さんとともにワイン造りに取り組む掛川さん。

現在の新潟ワインコーストの主要品種であるアルバリーニョ。

現在の新潟ワインコーストの主要品種であるアルバリーニョ。

適正品種を見つけた次のステージは、仲間を増やすこと

カーブドッチワイナリーの敷地には、仲間となったワイナリーへの案内が掲示されています。

カーブドッチワイナリーの敷地には、仲間となったワイナリーへの案内が掲示されています。

アルバリーニョとは、スペイン原産とされる白ブドウ品種。角田浜と同じく、スペイン西部のガルシア地方の海沿いを中心に育まれています。「ワイン産地を創っていくステップは、まずブドウを植えられるように開墾すること。そして次は適正なブドウ品種を見つけること。新興のワイナリーにとって、土地にあったブドウ品種は、『容易に』『質の高いワインが』『安定的に』造れる環境をもたらしてくれますので」。

創業以来、40種類以上ものブドウを植樹し、現在も20種類以上のブドウを育てているカーブドッチワイナリー。そのなかでもアルバリーニョは、ずば抜けて栽培が容易で病気になりにくいことから探し続けてきた適正品種だと期待しているそう。「創業して13年ぐらいで見つかったのはとても幸運なことなんですよ」と笑顔を隠しません。

ワイナリーの営みを支える適正な品種が発見できたら、「次に必要なのは仲間です。ひとりではダメ。志を同じくする造り手が複数存在してこそ、初めてワイン産地になれるんです」。そこで「ワイナリー経営塾」を自ら主宰、業界の経験がなくても生業にしたいという熱意のある人と、1年間マンツーマンで、ブドウの栽培からワイン醸造をともにしてきました。

その結果、この制度を通じて2006年に2軒目のワイナリーである「フェルミエ」、2009年には「ドメーヌ・ショオ」といったように、志を同じくにするワイナリーが続々とオープン。現在はカーブドッチワイナリーを含む5軒のワイナリーがまるで家族のように寄り添い合い、新潟ワインコーストの発展に尽力しているのです。

「ひとつのワイナリーでは産地は創れません。仲間ができたことはとても心強いですね」。

「ひとつのワイナリーでは産地は創れません。仲間ができたことはとても心強いですね」。

パイオニアであるカーブドッチワイナリーのワイン造り

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