「白龍(はくりゅう)」女性杜氏が率いる米と水の力が活きた酒【福井の日本酒】
「白龍」は、若き女性杜氏が亡き父の想いを受け継いで醸す、新しい時代の日本酒です。原料米の栽培から自分たちで行う一貫した酒造りが、地元の米、水、大地の恵みを凝縮した豊かな味わいを生み出し、飲む人の心に染みわたります。
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「白龍」を育む永平寺町の米と水
出典:吉田酒造サイト
「白龍」を醸すのは、曹洞宗大本山の門前町として知られる福井県永平寺町に蔵を構える吉田酒造。文化3年(1806年)の創業という歴史ある蔵元です。
蔵の後ろには九頭竜川、遠くには霊峰白山を望める田園地帯に囲まれた地で、創業以来、地元の米と水にこだわった酒造りを続けてきました。使用する水は白山の雪解け水の伏流水、米はその水を使って自社栽培した「山田錦」です。
じつは、福井県下で山田錦の栽培に成功したのは、吉田酒造が初めてでした。6代目当主の故・吉田智彦氏は、県内でもっとも出荷量が少ない小さな蔵であることで悔しい想いをしてきたといいます。
そこで「小さくてもよい酒を造る」「よい酒はよい米から」という考えのもと、1989年に山田錦の栽培に着手。さまざまな試行錯誤を経て自社栽培に成功したのだとか。
6代目亡き現在、その妻であった吉田由香里氏が7代目当主を務め、二人の娘も酒造りに参加。次女である吉田真子氏は、24歳の最年少女性杜氏(2018年現在)として父の想いを継ぎ、豊かな自然に恵まれた永平寺だからこそできる、新しい時代の「白龍」を醸しています。
「白龍」の輝かしい受賞歴
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吉田酒造の信条は、あらゆる行程において「目が届く」「手が届く」「心が届く」酒造り。夏場は蔵人たちが自然農法(低農薬無化学肥料)で山田錦を栽培し、冬場は日本酒の仕込みを行います。
ていねいでまじめな姿勢から醸される「白龍」は、一滴一滴まで自然の旨味が凝縮された豊かな味わいに。その品質が評価され、数々の賞に輝いています。
国内はもちろん、フランスで開催されている日本酒のコンクール「KURA MASTER 2018」でも、純米大吟醸酒&純米吟醸部門において「白龍 純米大吟醸吉峯」がプラチナ賞に輝きました。「白龍」は今や世界的な評価を得ているといえるでしょう。
また、女性蔵元や女性杜氏が活躍していることもあってか、最近ではテレビ番組などのメディアの出演も増えており、知る人ぞ知る地酒から、全国的な知名度をもつ日本酒へと成長しつつあります。
「白龍」の定番4種類を飲みくらべ
出典:吉田酒造サイト
「白龍」には、さまざまなラインナップがありますが、なかでもおすすめの4商品を紹介しましょう。
【白龍 純米大吟醸『吉峯』】
先述した「KURA MASTER」でプラチナ賞を獲得した逸品です。自社栽培の山田錦を45パーセントまで磨き上げ、なめらかでやさしい口当たりと上品な香りを実現。口に含むと、やわらかな甘味が膨らみつつも、さわやかで透明感のある余韻を感じることができます。
【白龍 純米大吟醸】
吉田酒造の原点ともいえる、自社栽培の山田錦を用いて造られた最初の商品で、スッキリとした瑞々しい味わいが特徴です。米の旨味を感じられるフレッシュさや酸味のバランスがよく、どんな料理にも合います。「花冷え」と呼ばれる12度前後で飲むのがおすすめです。
【白龍 純米吟醸】
「山田錦」と「五百万石」を原料に用いた、奥深い味わいとフルーティな香りを感じられる個性的な日本酒です。米の旨味と軽やかな酸味が飲みやすく、食中酒としても人気があります。
【白龍 特別純米】
あえて低めに精白することで、上質な米の旨味をしっかりと残し、豊かな酸味とのバランスをたのしめる日本酒です。燗にすることで旨味をさらに感じられます。飲みごたえがありつつも、キレがよく料理にも合う点が魅力です。
「白龍」というと、新潟県の「白龍酒造」の銘柄「白龍」も有名ですが、こちら福井県・吉田酒造の「白龍」も地元に愛され続ける地酒として知られています。この土地だからこそできる日本酒「白龍」を、ぜひ明日への「ちから水」として味わってみてください。
製造元:吉田酒造有限会社
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