栃木に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【関東編】

栃木に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【関東編】
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栃木は、日光東照宮に那須高原と、由緒ある観光名所も多い県。高度があるため、四季を通じて都心より気温は低く、名水に恵まれた米処です。栃木で造られる日本酒の特徴と、おすすめの銘柄を紹介します。

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栃木の酒造りを支える「水」と「米」

栃木の酒造りを支える「水」と「米」

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栃木県は、酒造りに欠かせない名水に恵まれた地域。県内には、日本名水百選で全国第一位となった尚仁沢(しょうじんさわ)湧水群をはじめとする湧水・名水が数多くあります。

一方、日本酒のもうひとつの重要な原料である米については、かつては県外産に頼る傾向が強かったものの、近年では地元産米にこだわる蔵元も増加。栃木県オリジナルの酒造好適米の開発にも取り組んでおり、2007年には「とちぎ酒14」が品種登録されました。

「とちぎ酒14」は、収量性が高いうえに、米の天敵である「いもち病」への抵抗性もあるなど、栽培性に優れているのが魅力。日本酒の原料米としても、雑味のもととなる玄米タンパク質の含有量が低いという特徴があり、このため「とちぎ酒14」で造ったお酒は、淡麗で雑味が少ないといわれています。

栃木は日本酒だけでなく、酒造組合にも注目

栃木は日本酒だけでなく、酒造組合にも注目

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栃木県内には、現在、約30を数える蔵元が、それぞれの歴史とこだわりのもとに、個性ある酒造りを行っています。これら蔵元を取りまとめる組織が「栃木県酒蔵組合」です。

栃木県酒蔵組合では、他県の酒造組合にはない独創的な取り組みを行っています。それが宇都宮市内に常設館として運営している「きき酒処酒々楽(ささら)」です。組合に属する蔵元のお酒が、常に120種類以上たのしめるこの施設は、県内の人はもちろん、観光客にも大人気なのだとか。

近年では、地酒ファンのニーズに応えるため、酒蔵を一般に公開している蔵元も増えてきましたが、必ずしも試飲できるわけではありませんし、規模が小さな蔵元ではそもそも一般見学ができないところもあります。この「酒々楽」では、栃木県酒造組合に参加するすべての蔵元の酒がそろっているという点が、何よりの魅力。宇都宮市に足を運んだ際には忘れずに、「きき酒処酒々楽」にも寄ってみましょう。

栃木の人気銘柄

栃木の人気銘柄

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栃木県産の日本酒は、米と製法にこだわった歴史ある蔵元の銘酒ばかり。その味の特徴は「芳醇甘口」といわれています。まずはそんな「栃木らしいお酒」を紹介します。

山田錦を使った無ろ過生原酒の味が生きている【姿(すがた)】

栃木でも米どころとして知られる栃木市西方町に蔵を構える飯沼銘醸は、文化8年(1811年)創業の老舗蔵。主力銘柄は日光の杉並に由来する「杉並木」ですが、近年、注目を集めているのが、年間わずか60石だけ造っている希少な銘柄「姿」です。地元産の「山田錦」を使用した、無ろ過の生原酒を出荷するもので、そのフレッシュな味わいが、地酒ファンの評判を呼んでいます。
果実のような芳醇な香りと、旨味と酸味の絶妙なバランスの味わいが口のなかに脹らみ、それでいてあと味はすっと切れるのが特徴です。絞ったそのままの「姿」を味わうことができる、貴重なお酒といえるでしょう。

製造元:飯沼銘醸株式会社
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その名のとおりのゴージャスな味わい【鳳凰美田(ほうおうびでん)】

明治5年(1872年)創業の小林酒造は、小規模ながらも栃木県を代表する蔵元のひとつ。和釜で米を蒸し、搾りには熟成したもろみを布製の袋に入れ、「槽(ふね)」と呼ばれる木枠に入れてゆっくりと圧をかけるという、昔ながらのていねいな酒造りを行っています。
その代表銘柄である「鳳凰美田」は、フルーティな香りとフレッシュな味わいが特徴。そして豊かな風味をほのかな酸味がすっきりとまとめてくれます。酒米には希少な「愛山」を使い、イタリア製のシャンパンボトルをパッケージに採用した限定品「鳳凰美田 純米大吟醸 Gold Phoenix」は贈答品としても人気です。

製造元:小林酒造株式会社
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贅沢な製法が生み出す芳醇な味わいと軽さ【若駒(わかこま)】

若駒酒造は万延元年(1860年)創業という歴史ある蔵元ですが、蔵の名を冠した「若駒」は現当主が立ち上げた新ブランドです。その特徴は、「雄町」「五百万石」などの酒米のほかに「あさひの夢」という一般米を使っていることに加え、「無加圧搾り」を行っていること。もろみを入れた袋を槽(ふね)に入れたあと、袋の自重で落ちてくる成分だけを使うという贅沢な手法で造られた酒は、わずかに濁りがあり、微発泡を感じさせます。
味わいはフルーティな香りとソフトな口当たりで、重さはあまり感じません。さっぱりした上品な酸味であと味もさわやかです。メディアで紹介されて以降、品薄状態が続いているため、巡り会えたらラッキーかもしれません。

製造元:若駒酒造株式会社
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八溝山の清水から生まれた辛口の酒【旭興(きょくこう)】

渡邊酒造は八溝山の山間にある、明治25年(1892年)創業の蔵元。製造する酒の9割が地元である栃木県北部で消費されてしまうため、県外はもちろん同県南部でも見かけることは珍しい、地元に愛されている蔵元です。
小さな蔵元ですが、八溝山の清水である武茂川伏流水を仕込み水とし、「とちぎ酒14」など県産の酒造好適米を使用して、代々受け継がれた設備と現蔵元の研鑽によって、評価の高い日本酒を生み出しています。代表銘柄である「旭興」は、「朝日(旭)が昇る東の地で興した」との意味で命名されたもの。口当たりのよい辛口の味わいで雑味もなく、冷やでも燗でも飲み方を問わないお酒です。

製造元:渡邉酒造株式会社
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栃木県さくら市の水・土・米を究めた逸品【仙禽(せんきん)】

「せんきん」というひらがな表記が印象的な蔵元は、栃木県さくら市にある、文化3年(1806年)創業という歴史があります。蔵と代表銘柄の名前は、仙境に舞う禽鳥・鶴を意味する「仙禽」に由来するもので、代々にわたって受け継がれてきたもの。現在も、伝統を大切にした「クラシック仙禽」や、江戸時代の酒造りを忠実に再現した「ナチュール」を提供する一方で、「モダン仙禽」や「仙禽一聲」など、新たな挑戦も行っています。
どの銘柄も、水は敷地内から汲み上げる地下水を、米は地元、さくら市産の酒造好適米を使うなど、徹底して地元の水や風土にこだわっています。とくに特徴的なのが、「山田錦」「雄町」などの代表的な酒米に加えて、古代米「亀の尾」を積極的に使用していること。野生種の荒々しさを残した味わいが、独特の魅力となっています。

製造元:株式会社せんきん
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栃木のそのほかの注目銘柄

栃木のそのほかの注目銘柄

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栃木の蔵元の酒造りへのこだわりは、個性的な銘柄の数々にも見ることができます。こちらでは、多種多様な栃木の酒を紹介しましょう。

先進的で挑戦的な新進気鋭の酒【望(ぼう)】

外池(とのいけ)酒蔵店は、「益子焼」で有名な益子市において昭和12年(1937年)に創業。代表銘柄である「燦爛(さんらん)」は、全国新酒鑑評会で何度も金賞に輝くなど、全国的な知名度をもつ地酒です。そんな蔵元が、2012年から新たに立ち上げた銘柄が「望」。そのコンセプトは、「未来の日本酒への挑戦」です。原料米には「とちぎ酒14」や「とちぎの星」など栃木産の酒造好適米だけでなく、秋田産「酒こまち」や福井産「越の雫」など多様な品種を使用するなど多くの挑戦が積み重ねられています。
その味わいは、芳醇な香りとやさしい甘さの口当たりの奧からさわやかな酸味が訪れる、凜とした透明感が特徴。国内外の品評会で高評価を得ているという実績も納得の逸品です。蔵元での販売は行わず、流通限定販売なので注意してください。

製造元:株式会社外池酒造店
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穏やかで口当たりよい力強くもやさしい味【東力士(あずまりきし)】

「東力士」を造る島崎酒造は、嘉永2年(1849年)創業という長い歴史をもつ蔵元。印象的な銘柄の由来は、2代目当主が大の相撲好きだったことからつけられたものだとか。
その酒造りの特徴は、那須岳を源流とする那珂川の伏流水を仕込み水として、原材料の米にもこだわりながら、旨味と甘味を存分に引き出していること。穏やかな果実香にふくよかな味わいが特徴で、口当たりよくさっぱりと飲めます。
もうひとつの特徴が、第二次世界大戦時に作られた地下工場跡地の洞窟を利用した「洞窟熟成」。「東力士」の熟成酒もあり、こちらは蔵元限定で販売しています。キレのよさを残しながら、熟成によってまろやかさと軽やかさが加わったその風味を、ぜひ一度お試しください。

製造元:株式会社島崎酒造
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那須の清流が育んだすっきりとした味わいの銘酒【大那(だいな)】

菊の里酒造は、慶応2年(1866年)に創業した、栃木県内でも小規模な蔵元のひとつです。看板ブランドである「大那」は、現当主が試行錯誤の末に生み出したもので、雑誌に紹介され、海外でも高い評価を受けるなど、極めて高い人気を集めています。
地元・那須産の酒造好適米「五百万石」や、那須高原から得られる豊かな仕込み水など、「大いなる那須の恵み」を活かして造る「大那」は、やさしい酸味ですっきりとした飲みやすさが特徴。“芳醇甘口”が主流とされる栃木の日本酒のなかでは珍しいその味わいは、どんな料理にも合わせやすい点も大きなポイントです。

製造元:菊の里酒造株式会社
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羽のように軽く水のように繊細な味わい【羽水(うすい)】

「羽水」は、先に紹介した「仙禽」の蔵元、せんきんが新たに開発した銘柄。2017年に全国の蔵元と酒屋さんによるネットワーク「日本名門酒会」のプライベートブランド(PB)として誕生しました。
そのコンセプトは、「羽のように軽やか、水のように緻密な、究極の食中酒」。きめ細かくなめらかで、やわらかい口当たりと味わいに、すっと消えるようなあと味が特徴です。
せんきん伝統の技が活かされていながら、「仙禽」とはまったく違った魅力を引き出しています。羽毛のような軽やかさが特徴の「純米酒」、酸味がありながらも重さは控えめな「生酛(きもと)」の2種のほか、限定で「ひやおろし」と「おりがらみ」が販売されています。

製造元:株式会社せんきん
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酒本来の香味と旨味を究めた伝統の逸品【開華(かいか)】

延宝元年(1673年)創業という、伝統ある蔵元が多い栃木でも最古の歴史をもつ蔵元が第一酒造です。創業当初から農家を兼業しており、米作りと一体となった酒造りが特徴です。
代表銘柄である「開華」は、自社水田から収穫した「雄町」「五百万石」に加え、兵庫産の「山田錦」などを使用。水は日本名水百選にも選ばれた佐野市の良質な名水を使用しています。
軽くほんのりと甘く、口当たりのよさと洗練された味わいで、長く地元の人にも愛飲されてきました。香り高い大吟醸、軽快でなめらかな純米吟醸、コクのある味わいが特徴の特別純米酒。そのいずれも「開華」らしい、華やかで繊細な香りとやわらかな旨味がたのしめます。

製造元:第一酒造株式会社
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栃木の個性豊かな地酒の数々を紹介してきました。華やかさと繊細さが織りなす栃木の地酒の魅力は、やはり地元でなければ味わえないものも数多くあります。栃木観光の行き先には、ぜひ宇都宮のきき酒処「酒々楽」を加えてみてはいかがでしょうか。

栃木県酒造組合
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