三重のおすすめ地酒10選【三重の日本酒】

三重のおすすめ地酒10選【三重の日本酒】
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三重県は山海の食材に恵まれ、古代から「御食国(みけつくに)」と呼ばれてきました。全国有数の美食文化を誇る地域で育まれた三重の酒は、さまざまな料理に合うバラエティ豊かなラインナップがたのしめます。

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三重の寒暖差が大きい気候と良質な水が造る美酒

三重の寒暖差が大きい気候と良質な水が造る美酒

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三重県といえば、伊勢エビや桑名の蛤、松阪牛など、地名を冠した山海の名産品が次々と思い浮かびます。こうした豊かな食材に恵まれたことから、古代には朝廷に食材を納める「御食国(みけつくに)」と呼ばれており、まさに国内有数の美食の地といえます。

三重県が美食の地と発展してきた背景には、その独特な気候風土があります。南北に長く伸び、東は伊勢湾や熊野灘などの海、西は鈴鹿山脈や紀伊山地といった山々に囲まれ、県内でも地域による気候の差が大きいという特徴があります。このため、山、海、平野それぞれの地域で、自然の恵みをふんだんに得ることができます。

夏は太平洋を流れる黒潮の影響で温かく、冬は「鈴鹿おろし」や「布引おろし」が寒気を運んでくるため、年間を通じて寒暖差が激しいのも三重県の風土的な特徴です。こうした環境は、米などの農産物を育てるだけでなく、酒造りにも適しています。

また、国内有数の雨量を誇る紀伊山地から、日本一の清水に選ばれた宮川をはじめ、櫛田川、雲出川、名張川、鈴鹿川、三滝川など、多くの河川を通じて豊かな水が得られます。水質は酒造りに適した軟水が多く、三重の酒の特徴である、きめ細やかでまろやかな味わいのベースとなっています。

三重の酒造りの特徴は若き蔵人たちの台頭

三重県の蔵元は、古くから、さまざまな山海の珍味を引き立てる地酒造りを通じて、三重の食文化の発展に貢献してきました。
近年では、三重県科学技術振興センターにおいて、県独自の酵母開発も進めるなど、官民一体となった酒造りを推進。2016年の伊勢志摩サミットでは、世界各国から集まった要人に県内選りすぐりの銘酒が振る舞われるなど、地酒は三重を代表する名産品となっています。

近年、三重県の酒造りの大きな特徴となっているのが、若い世代の蔵人たちの台頭です。「御食国」と呼ばれた時代からの酒造りの伝統を受け継ぎながら、既存の枠組みにとらわれないチャレンジ精神をもつ若い蔵元や杜氏たちが、競い合うように個性的な酒造りを続けています。
木屋正酒造の「而今(じこん)」や、清水清三郎商店の「作(ざく)」など、話題を集めている三重県の地酒の多くは、歴史ある老舗蔵が、近年になって生み出した“新世代の酒”。伝統と革新の融合が、三重の地酒をより豊かなものにしているのです。

三重の人気銘柄

三重の人気銘柄

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三重県が誇る地酒のなかから、近年、話題となっている人気銘柄を紹介していきましょう。

伝統と革新が融合した“幻の酒”【而今(じこん)】

「而今」の蔵元、木屋正酒造は文政元年(1818年)に創業した200年の歴史をもつ老舗です。その6代目、大西唯克氏が2005年に生み出した“古くて新しい酒”が「而今」です。「而今」とは「過去にも未来にもとらわれず、今をただ精いっぱい生きる」を意味する言葉で、その名のとおり、伝統的な手法と先進的な酒造りの融合によって生まれた日本酒です。
華やかで果実のようなジューシーさは、まさに新しい時代の日本酒。品評会で賞を総なめにしたことで話題となり、入手困難になっていることから“幻の酒”とも呼ばれています。

ガンダムファンからも人気を集める【作(ざく)】

「作」という一風変わった名をもつ日本酒を醸すのは、かつては多くの酒蔵があった鈴鹿市に唯一残る清水清三郎商店です。伊勢杜氏の伝統を受け継ぐこの酒蔵で、新たな創意工夫を重ねて2000年に発表された銘柄が「作」でした。
地酒ファンの間でじわじわと人気を高めるとともに、「機動戦士ガンダム」に登場するジオン軍モビルスーツ(ロボット)と同じ読みなことからアニメファンの注目も集めていましたが、伊勢志摩サミットで乾杯酒として振る舞われたことで全国区となりました。そうした話題性だけでなく、各種の日本酒品評会で非常に高い評価を得ている確かな品質にも注目です。

服部半蔵ゆかりの伊賀の風土が育む【半蔵(はんぞう)】

「半蔵」といえば徳川家康に仕えた伊賀忍者、服部半蔵が有名です。その出身地である伊賀の地で、明治25年(1892年)に創業した大田酒造は、地域に根ざした少量の酒造りを続けてきた蔵元です。
その代表銘柄である「半蔵」は、四方の山々から流れ出る清水や地元産の酒米を用いてていねいに醸された、まさに伊賀の風土が育んだ逸品です。近年では、伝統的な手造りの技術に、若い世代の感性を加えて酒質向上に努めており、さまざまな賞を獲得するとともに、伊勢志摩サミットにおいてワーキングディナー乾杯酒にも選ばれました。

製造元:株式会社大田酒造
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親子二代の杜氏の技の融合【田光(たびか)】

「田光」の蔵元である早川酒造は、三重県菰野において、家族三人だけで営む小さな蔵元。熟練の杜氏である父と、「上喜元」で知られる山形の酒田酒造で学んだ息子がタッグを組んで、2009年に開発したのが「田光」です。
もともとの主要銘柄「早春」は地元のみの販売でしたが、特約店限定ブランド「田光」の登場によって、一躍全国区の存在となりました。酒米「備前雄町」の旨味を、鈴鹿山脈からの伏流水で引き出した「田光」は、やわらかな味わいのお酒として、全国の地酒ファンを魅了しています。

製造元:合名会社早川酒造
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「而今」の蔵元が造り続けてきた酒がリニューアル【高砂(たかさご)】

「而今」の蔵元として知られる木屋正酒造が、長きにわたり造り続けてきた主力銘柄が「高砂」です。2018年に創業200周年という節目を迎えるにあたって、この歴史ある銘柄をリニューアル。「而今」を生み出した水と環境、技術、そして精神を駆使して、新たに生まれ変わった「高砂」は、派手な香りや濃厚な味で勝負するのでなく、しみじみとしみわたるような仕上がりが魅力の日本酒です。そのラベルには延命長寿の縁起物である「松喰い鶴」をあしらい、「花半開酒微酔(花は咲きかけがうつくしく、お酒もほろ酔いがよい)」との落款がほどこされています。

製造元:木屋正酒造合資会社
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三重のそのほか注目銘柄

三重のそのほか注目銘柄

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三重県には、ほかにもバラティ豊かな味わいがたのしめる地酒が揃っています。注目すべき銘柄を紹介しましょう。

酒造好適米「山田錦」の魅力を引き出す【寒紅梅(かんこうばい)】

寒紅梅酒造は幕末の動乱期にあたる安政元年(1854年)の創業以来、七代を数える歴史ある酒蔵です。
古来、米どころとして知られてきた伊勢の酒造りを受け継ぐだけに、米に対するこだわりは強く、酒造好適米の代表格「山田錦」に焦点を絞った酒造りを展開。原料米は一種類ながら、精米歩合を35%、40%、50%、55%、60%、65%と小刻みに使い分けることで、品揃えに幅をもたせています。
ほとんどの工程が手仕事のため、生産量は限られていますが、それだけに、造り手の気持ちがこもった味わいが地酒ファンの支持を集めています。

製造元:寒紅梅酒造株式会社
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伊勢神宮と鈴鹿連峰に積もる雪を見立てた【宮の雪(みやのゆき)】

「宮の雪」の造り手は、弘化3年(1846年)の創業以来、「品質本位」を掲げて、「酒米から引き出す本来の酒の味」を追求してきた宮崎本店。関東で人気のホッピーに合う焼酎として有名な「キンミヤ焼酎」の蔵元でもあります。
蔵のある四日市楠町は、三重県の北西に位置する、鈴鹿山系の伏流水に恵まれた土地。宮崎本店は、かつてこの町にあった30以上の酒蔵を一手に引き受け、8,000坪に及ぶ大規模蔵を運営しています。
「宮の雪」という銘柄は、神々が鎮座する伊勢神「宮」と、鈴鹿連峰に積もる「雪」に由来するのだとか。その名に恥じない気高く美しい味わいは、純粋酵母と手造りの麹を使用して、低温でじっくり発酵させることで生み出されたもの。三重県北部を代表する銘柄として、地酒ファンの注目を集めています。

製造元:株式会社宮崎本店
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伝統と自然に育まれた地酒【神楽(かぐら)】

神楽酒造は、現在の四日市市室山町において、幕末の安政5年(1858年)に創業した酒蔵。100年以上にわたって受け継がれてきた手造りの醸造技能と、近代的な発酵工学とを融合させ、日本酒ならではの芳醇な風味を活かした酒造りを続けています。
代表銘柄は蔵元の名を冠した「神楽」で、三重県産の酒造用加工米と、三重県オリジナルの酵母「MK-3」を使用して、芳醇な香りとまろやかな甘味を引き出しています。火入れ、ろ過した純米酒以外に、フルーティでふくよかな香りがたのしめる生酒もラインアップしており、両者の飲み分けをたのしむ地酒ファンも多いのだとか。

製造元:神楽酒造株式会社
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「作」の蔵元が醸す、鈴鹿ならではの酒【鈴鹿川(すずかがわ)】

現在、鈴鹿市に残った唯一の蔵元、清水清三郎商店は、2000年に開発した「作」で全国的な知名度を獲得しました。それから4年後、地元・鈴鹿の魅力を前面に打ち出した日本酒として、新たに開発した銘柄が「鈴鹿川」です。
伊勢杜氏の伝統や地元産の原料にこだわったその味わいは、芳醇かつ豊かなもので、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で数度にわたり「金賞」を獲得しています。さらに、地元の伊勢型紙や地元の書家による筆文字を用いるなど、ラベルデザインも鈴鹿ならではの魅力にあふれています。

製造元:清水清三郎商店株式会社
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恵まれた気候風土を活かした三重の酒は、伝統技術と新世代の情熱が融合した酒造りによって、これからも進化を続けていくことでしょう。三重の地酒にはこれからも要注目です!

三重県酒造組合
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