山形の日本酒【十四代】日本酒の流れを変えたフルーティな吟醸酒《SAKE DIPLOMA監修》

山形の日本酒【十四代】日本酒の流れを変えたフルーティな吟醸酒《SAKE DIPLOMA監修》
出典 : Shinari/shutterstock.com

「十四代(じゅうよんだい)」が発売された当時、25歳の若い杜氏{山形県村山市・高木酒造(朝日鷹)の十五代目、高木顕統(あきつな)氏}が醸したとは思えない完成度の高さに、誰もが驚いたそうです。日本酒の新時代を切り開いたといわれる、十四代の魅力の一部を紹介します。

  • 更新日:

十四代が入手困難の酒といわれるワケ

十四代が入手困難の酒といわれるワケ

Tooykrub/shutterstock.com

「十四代」は、「入手困難な」「幻の」「次世代の」など、さまざまな枕言葉で語られる知名度の高い日本酒です。入手困難といわれる大きな理由は、全国的な人気になっても蔵元が生産量を増やさないため、市場に出回る絶対数が少ないことが挙げられます。

また、十四代の蔵元である高木酒造では、公式のWebサイトを開設せず、宣伝も一切していないため、お酒に関する情報が非常に少ないことも「手に入りにくい」というイメージが強くなっている要因でしょう。
その評価の高さで飲みたい人が非常に多いのに対して生産量が限られているため、十四代は一部の販売店やネット通販、オークションで、かなり高額で販売(転売)されており、プレミア感、「幻の酒感」がさらに強くなっています。

とはいえ、蔵元は意図的に「入手困難」の状況を作り出しているわけではないよう。ブレイクのきっかけとなった「十四代 本丸 本醸造 秘伝返し」は、市場での価格高騰をよそに、現在でも定価は一升瓶で約2,000円という非常に良心的なもの。蔵元の思いに応えるためにも、転売行為には加担したくないものです。

十四代の名前は偶然から生まれた!?

十四代の名前は偶然から生まれた!?

Kenstockphoto /shutterstock.com

「十四代」を醸す高木酒造は、江戸時代初期の1615年に創業した歴史ある蔵元です。十四代を醸造する前は「朝日鷹」と呼ばれる銘柄をメインにしていました。
現在でも、地元である山形県村山市に行けば、酒屋の店頭には朝日鷹が並んでいますが、十四代の知名度の高まりにつれて、最近ではこちらも売り切れとなるケースが増えているそうです。

「十四代があるということは「十二代」や「十三代」という銘柄もあるのでは? 」と思うかもしれません。残念ながら、高木酒造では、数字のついた銘柄は十四代だけです。
じつは、通常、商品登録では数字を含む名称は認められていないのだとか。そうとは知らなかった蔵元が「十三代」「十四代」「十五代」「十六代」などの銘柄名で商標登録を出願したところ、なぜか「十四代」だけが登録されたそうです。
「トシヨ」など名前と間違われたのではないかという説もありますが、真相はわかりません。

奇跡的ともいえる偶然から生まれた十四代。誕生の経緯からしても、伝説となる運命だったのではないかと思わせる酒です。

十四代の魅力は日本酒の流れを変えたフルーティな味わい

十四代の魅力は日本酒の流れを変えたフルーティな味わい

Payless Images/ Shutterstock.com

「十四代」が世に出たのは1990年代前半。当時の日本酒業界で流行していたのは、すっきりとした大吟醸でした。十四代は、そうした流行とは一線を画す、果物がはじけたような芳醇な味わいの日本酒です。

十四代を生み出した高木酒造の当主は、百貨店などの日本酒売場で、大吟醸の酒がよく売れるのを目の当たりにしながらも、「これからは、米の旨味が感じられる日本酒の時代が来る」と、時代の一歩先を見据えていたそうです。

そうした考えのもとに生み出された十四代は、米の旨味と甘味を最大限に引き出した心地よい味わいで、またたく間に人気となりました。
十四代の人気をきっかけとして、日本酒のトレンドは、それまで主流であった「淡麗辛口」から「芳醇旨口」へと転換。以来、十四代は新時代を切り開いた酒として、語り継がれる存在となったのです。

衝撃的なデビューで日本酒の流れを変えた十四代は、25年以上たった今も進化し続けています。飲食店で見かけることがあり、法外なお値段でなければ、ぜひ十四代の、料理に負けない深いコクと味わいを試してみてください。

製造元:高木酒造株式会社
公式サイトはありません

関連記事:秋田の日本酒【花邑(はなむら)】一度は飲んでみたい! 希少な純米酒

監修者

工藤貴祥

工藤貴祥

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。

おすすめ情報

関連情報

日本酒の基礎知識