「ウイスキー投資」って知っていますか?
ウイスキーを投資対象としたマーケットに注目が集まっています。希少な商品や需要の多い商品には、いつの時代も高値がつくものですが、一方で、本当に飲みたい人の手に届かないほど価格が高騰してしまうリスクも。ウイスキー投資の現状を見てみましょう。
- 更新日:
ウイスキー投資が注目を集める背景には、ウイスキー人気の世界的な高まりが
mTaira/Shutterstock.com
ウイスキー投資とはいっても、製造元に直接出向いて「この樽の権利を売ってほしい」とやり取りするわけではありません。投資会社がウイスキーを投資先としたファンドを購入し、配当を受け取る仕組みです。
ウイスキーの製造元としては、一定の製造量を維持するためにある程度の資金がいるため、ウイスキー投資に参加するスポンサーが増えること自体は歓迎すべきことでしょう。
問題なのは、市場が加熱してマネーゲーム化する状況です。実際、近年の世界的なウイスキー人気を背景に、ウイスキー投資市場は順調に成長しているようですが、それが喜ばしいとばかりはいえません。
ウイスキー投資は、ウイスキーの味や香りに対する「好き嫌い」ではなく、ただ「儲け」を得るために売買する場合も。ウイスキー愛好家のなかには、こうした状況が腑に落ちない人も多いのではないでしょうか。
ネットオークションなど個人で転売する機会が増加
create jobs 51/Shutterstock.com
ウイスキー投資には、ファンドによるものだけでなく、個人が転売目的で希少なウイスキーを購入し、高値で販売するというケースもあります。
こうした個人的なウイスキー投資が可能になった背景には、ネットオークションの普及があります。
ファンドが登場する前から、オークションなどを通じた1対1の取引を活用した投資は行われてきました。インターネットの普及によって、こうした取引の裾野は広がり、一般層でも参加できる時代を迎えているのです。
日本人には馴染み深い国内ブランドの年代物も、驚くほどの高値で落札されていくケースがあります。自宅のリビングに飾ったまま埃をかぶっているものがあれば、売買価格を調べてみるのもよいかも。
真の価値を知ったうえで「ここぞ」という日に開封すれば、いつも以上においしく感じるかもしれません。
ウイスキーは「稼いでたのしい」よりも、やっぱり「飲んでたのしい」もの
SeaRick1/Shutterstock.com
ウイスキー投資は、ウイスキー人気が生んだものとはいえ、年季の入ったウイスキー愛好家ほど、「投資のみを目的にウイスキーを購入するのはいかがなものか」という人が多いようです。
年代物のウイスキーには、造り手の想いと歴史が込められていて、飲んでたのしむことを念頭に購入するのが基本です。オークションで希少な品を買うにしても、熟成させた後に自分で飲むことを前提とします。転売目的ではなく、「どうしてもほしい」と思えるウイスキーを購入するのが、やはり本来のあり方といえるのではないでしょうか。
投資の本質に立ち返り、自分が応援する蒸留所を、金銭的に支援するための「樽オーナー」になる制度もあります。
たとえば福島県の酒造会社では、年単位でオーナーを募集し、熟成した後に商品を届ける仕組みをスタートさせています。熟成期間中には、オーナー同士の交流会、瓶詰めへの立ち合いなど、自分が投資したウイスキーへの愛情が深まるイベントも提供されて、本当のお酒好きがたのしめる仕組みになっています。
おいしいウイスキーを飲んだときに感じる幸せは、何物にも勝ります。値上がり益を追求するあまり、本末転倒にならないように気をつけましょう。