芋焼酎の芋の種類を知って「美味しい」を広げよう!

芋焼酎の芋の種類を知って「美味しい」を広げよう!

日本酒の主原料はお米。その種類も山田錦、五百万石、亀の尾などさまざまで、個性がそのまま日本酒の味と香りに大きく影響しています。芋焼酎の主原料となるサツマイモも同様に、いろいろな品種で仕込まれています。中でもよく使われる3大品種を使った代表銘柄を紹介します。

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芋焼酎の芋の種類

芋焼酎の芋の種類

Paii VeGa/ Shutterstock.com

焼酎造りに使われるサツマイモの品種は40種以上あるといわれています。その中でもとくに使われているのが焼酎用に開発された3つの品種「コガネセンガン」「シロユタカ」「ジョイホワイト」です。

「コガネセンガン」は「黄金千貫」とも書きますが、その字の如く、黄金色のような美しい皮の色、1株から千貫(4トン弱)、とまではいいませんが大量に収穫できること、さらに多くのデンプン質を含むため、大量のアルコールを生み出すのが特徴。また、火を入れると栗のようなホクホクさと甘さ、滑らかな舌触りもあり、食用としても十分美味しいサツマイモです。このコガネセンガンからはふんわりとした甘い香り、そして口当たりのまろやかな焼酎が生まれます。 

「シロユタカ」は「豊かな収穫を生む白い芋」という意味を込めて命名された品種です。現在、南九州を中心に作られていますが、蒸すとミルクのような甘い香りがするのが特徴で、出来上がる焼酎もすっきりとした甘さを持ちながら、淡麗な味わいになります。

「ジョイホワイト」は、1994年に、宮崎県で開発された焼酎用のサツマイモ品種です。デンプン質の高さや病害虫に強いなど、焼酎造りには欠かせない力を持つ品種で、出来上った焼酎からは淡麗かつフルーティー、さらに爽快な味わいがたのしめます。近年、宮崎の蔵元が中心となって造っている、すっきり軽やか系の芋焼酎は、この「ジョイホワイト」仕込みのものが多いようです。

コガネセンガンで造る芋焼酎

コガネセンガンで造る芋焼酎

KPG_Payless / Shutterstock.com

◆森伊蔵/
なかなか手に入れることが難しいプレミアム焼酎の代表格。上質のコガネセンガンと福井産のコシヒカリを使い、1885年の創業以来使い続ける和甕を用いて、1次、2次仕込みの後、常圧蒸留。その滴にはコガネセンガンが持つふくよかな香り、優しい甘さにフルーティーな味わいが凝縮されています。

また「幻の焼酎」とも呼ばれる「森伊蔵」ですが、1.8Lサイズに関しては蔵元が毎月一定の期間、抽選形式にて電話注文も行っているそうです。森伊蔵を低下で入手したい方はぜひ、チャレンジを。
森伊蔵酒造の詳細はこちら

◆佐藤/
鹿児島県霧島市にある佐藤酒造が作る「佐藤」も、「森伊蔵」「魔王」「村尾」など、いわゆる3Mに続く、プレミアム焼酎のひとつです。コガネセンガンを1つずつタワシで擦って下処理をするなど、芋に対する実直、丁寧な姿勢が、そのまま焼酎のクオリティに反映。

白麹で仕込まれる「佐藤」は、コガネセンガンの甘さと香りをそのまま素直に引き出しながら、やわらかな口当たりとしっかりとしたコクもたのしませてくれます。さらに黒麹で仕込んだ「黒麹仕込佐藤」もあります。一般的に「佐藤 黒」と呼ばれるこちらは、白麹仕込と同様にコガネセンガンのしっかりとした甘さと香りを持ちながら、黒麹が生み出す香ばしさ、そしてキレが特徴。黒地に白文字で 太く“佐藤”と書かれたラベルの如く、力強い味わいがたのしめます。
佐藤酒造の詳細はこちら

シロユタカで造る芋焼酎

シロユタカで造る芋焼酎

写真/公益社団法人 鹿児島県観光連盟

◆宝山蒸撰白豊(ほうざんじょうせんしろゆたか)/
鹿児島県日置市にある創業160年以上の西酒造。主力商品である「富乃宝山」はコガネセンガン仕込みですが、「原料芋の種類による味わいの違いを表現してたのしんでもらいたい」という思いから生まれたのが「宝山蒸撰白豊」。シロユタカの個性をそのまま表現するために、常圧単式で蒸留した原酒を無濾過・無調整のまま、瓶に直詰め。シロユタカが持つ独特の甘い香りと軽快な飲み口を感じさせながら、重厚で深みを感じる余韻もたのしむことができます。
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◆水ノ森/
数々の銘酒を作る本坊酒造が、世界遺産の島「屋久島」に置く「屋久島伝統蔵」で仕込むこだわりの芋焼酎。屋久島育ちのシロユタカを主原料に手造りの黒麹、そして島の大自然林から生まれる「超軟水」を、100年以上前から受け継がれる甕つぼで仕込みます。そこから生まれる屋久島の恵みの結晶からは、シロユタカが持つ甘みやコク、旨みのほか、長年蔵に住み着いた酵母による豊かな香りもたのしめます。この「水の森」は島内だけの限定販売。しかも1年のうちに2回だけしか瓶詰めされず、その生産量も1800ミリリットル瓶に換算した場合、年間約5000本という、とてもレアな芋焼酎でもあります。
本坊酒造 水の森の詳細はこちら

芋焼酎人気を押し上げたジョイホワイト

芋焼酎人気を押し上げたジョイホワイト

写真/公益社団法人 鹿児島県観光連盟

◆海王/
芋焼酎「海」でお馴染みの大海酒造が製造。鹿児島県大隅半島で契約栽培されたジョイホワイトのほか、食用サツマイモ、ベニオトメも加え、国産コシヒカリでの黒麹、仕込み水には垂水温泉水「寿鶴」を用いて丁寧に低温発酵。蒸留の仕方も減圧蒸留で行い、芋独特の香りやクセを抑えつつ、穏やかな香りと甘みも引出しています。さらに軽快な喉ごし、すっきりした辛口な味わいをより満喫するなら、水割り、またはロックがおすすめです。
大海酒造の詳細はこちら

◆利八/
砂むし温泉で有名な鹿児島県指宿市にある吉永酒造。1905年の創業より、焼酎造りから瓶のラベル貼りまで、1つ1つ丁寧に家族だけで行っているそうです。

代表銘柄である「利八」は、コガネセンガンと白麹で仕込まれていますが、さらにジョイホワイトと黒麹で造られているのが「利八 ジョイホワイト」。仕込み水には醸造所内の井戸からくみ上げる豊富なミネラルと微量の塩分が含まれた地下水を使用。創業以来使用している甕壺での一時仕込み、タンクで二次仕込みを経た後、常圧蒸留。

出来上がった焼酎の特徴は、柑橘系のフレーティーな香り、黒麹によるコクとキレ、そしてすっきりとした後味です。その爽快さ、溌剌さを満喫するなら、「海王」同様、こちらも水割り、またはロックでどうぞ。
吉永酒造有限会社の詳細はこちら

サツマイモの品種によって異なる味わいがたのしめる芋焼酎。好みの味を探してみましょう。

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