ビールとりんご(リンゴ)のおいしい関係!シードルとの違いからおすすめ銘柄、おすすめの飲み方まで紹介

ビールとりんご(リンゴ)のおいしい関係!シードルとの違いからおすすめ銘柄、おすすめの飲み方まで紹介
出典 : Shaiith / Shutterstock.com

ビール独特の苦味が苦手な人にもおすすめしたいのが、りんご(リンゴ/林檎)を副原料に使ったビールです。今回は、りんごのビールの概要やシードルとの違い、酒税法上の扱い、おすすめ銘柄、りんごを使ったビアカクテルのレシピなどを紹介。話題のりんごのビール風ゼリーについても触れていきます。

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ビールの苦味が苦手な人には、りんごのさわやかな酸味や甘味を生かしたフルーツビールやビアカクテルがおすすめです。

りんごのビールってどんなお酒?シードルとの違いも解説

ビールの副原料にも使われるりんご

Yoshitaka / PIXTA(ピクスタ)

りんごのビールとは、副原料にりんごを使ったフルーツビールのこと。りんごのフルーティーな香りとさわやかな酸味や甘味が魅力です。

りんごのお酒というと、シードルなどの果実酒やリキュールを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ここでは麦芽やホップを原料に造られたりんごのビールや発泡酒についてみていきます。

りんごを副原料に使ったフルーツビール

りんごのビールとは、りんごを副原料に使用した、フルーツビールのこと。さわやかな香りや風味、甘酸っぱい味わいが特徴です。

フルーツビールは、ホップの苦味に負けないくらいフルーツの果実感が感じられるものも多いことから、ビールが苦手な人にも親しまれています。日本のクラフトビールにも身近なフルーツを生かしたフルーツビールが続々と登場し、りんごのほかにも、バナナやいちご、ゆず、梅、みかん、ラズベリーなどを使った多彩なフルーツビールが造られています。

フルーツビールの副原料

shimi / PIXTA(ピクスタ)

りんごのビールといえば、ベルギーの「ニュートン」が有名ですが、日本でも地域の特産物としてのりんごを活用したビール造りがさかんで、青森県や長野県、岩手県などのりんごの産地からもおいしいりんごのビールがリリースされています。

なお、りんごのビールは「アップルビール」と表記されることもあります。また、上面発酵で造られるりんごのビールは「りんごエール」や「アップルエール」、下面発酵で造られるものは「りんごのラガー」「アップルラガー」などと呼ばれる場合も。「りんご」の表記が「リンゴ」「林檎」になるケースもあり、呼び方は醸造所によってさまざまです。なかには「アップルIPA」「りんごのホワイトビール」のように、特定のビアスタイルにりんごフレーバーを加えたものも存在します。

グラス注がれるりんごのビール

jazzman / PIXTA(ピクスタ)

日本の酒税法では「発泡酒」になることが多い

「りんごのビール」といっても、酒税法では「ビール」に分類されずに「発泡酒」として扱われる場合が多くあります。

ここでかんたんに、2025年11月現在の「ビール」と「発泡酒」の定義を確認しておきましょう。

「ビール」は酒税法第3条12において、以下のように定義されています。

ビールとは、次に掲げるもので、アルコール分が20度未満のものをいいます。

イ 麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品①及び②を原料として発酵させたもの
ハ イ又はロの酒類にホップ又は政令で定める物品②を加えて発酵させたもの

なお、政令で定める物品とは、
①麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料
②果実又はコリアンダーその他
の財務省令で定める香味料をいいます。ただし、その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の総重量の100分の50以上のものであり、かつ、政令で定める物品②の総重量が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限られます。

出典 国税庁|お酒に関する情報|ビール・発泡酒に関するもの

一方「発泡酒」は、酒税法第3条18において、以下のように定義されています。

発泡酒とは、次に掲げるもので、発泡性を有するアルコール分20度未満のものをいいます。

イ 麦芽又は麦を原料の一部としたもの
ロ イ以外の酒類で、ホップを原料の一部としたもの
ハ イ又はロ以外の酒類で、香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして政令で定める一定のもの

出典 国税庁|お酒に関する情報|ビール・発泡酒に関するもの

(参考)
e-GOV法令検索|酒税法
国税庁|ビール・発泡酒に関するもの

りんごとりんごピューレ

photocrew1 / Shutterstock.com

りんごのビールと分類するにあたってネックとなるのは多くの場合、副原料に使用するりんごの量。りんご果汁やりんごピューレなどを含む副原料の合計が原料の5パーセントを超える場合は、「発泡酒」に分類されます。つまり、りんごの果実感にこだわるほど、酒税法上は「発泡酒」扱いになる可能性が高くなるのです。

ビール独特の苦味が苦手な人は、りんごの使用量が多い発泡酒から選ぶのもひとつの手といえそうですね。

なお、上の定義に登場した「法令で定める物品」については、以下の記事で詳しく紹介しています。

りんごのビールとシードルの違い

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【意外と知らない】りんごのビールとシードルの違いは「原料」

りんごのビール以外にも、りんごのお酒は数多く流通しています。なかでも世界的な認知度を誇っているのが「シードル(英語:Cider/フランス語:Cidre)」です。

シードルとは、リンゴを搾って果汁にし、酵母を加えて発酵させたお酒のこと。日本ではスパークリングタイプが主流で、酒税法では「果実酒」または「果実酒(発泡性)(※)」に分類されます。
※発泡性を有するもので、アルコール分10度から11度未満の場合

りんごのビールとシードルのおもな違いは、この酒税法上の品目と原材料、味わいにあります。

【酒税法の品目の違い】
◇りんごのビール:「ビール」または「発泡酒」
◇シードル:「果実酒」または「果実酒(発泡性)」

【原材料の違い】
◇りんごのビール:麦芽、ホップ、水、りんご(副原料)
◇シードル:りんご果汁

【味わいの違い】
◇りんごのビール:さわやかなりんごの香りや風味、甘味や酸味が感じられるが、ベースには麦芽の風味やホップの苦味もある。使われるりんごの品種や産地、ビールのスタイルによって個性は変化。
◇シードル:りんご100%で造られるだけあり、りんご由来の香味や甘味、果実感が強い。

【厳選】おすすめのりんごビール(フルーツビール)3選

りんごのビールのおすすめ銘柄を3つ紹介します。

今回紹介する3商品以外にも、特産品のりんごや、形がふぞろいだったり、表皮に傷がついてしまったり、色ムラがあるなど「訳あり」のりんごをふんだんに使った銘柄がいくつも流通しています。機会があったら、「りんごのビール」「アップルビール」などのキーワードで検索してお気に入りを探してみてください。

【定番】ニュートン|青りんごがさわやかなベルギーの傑作

白ビールに青リンゴ果汁を加えたビール

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ベルギー発祥の小麦のビール「ベルジャンホワイト」に青りんご果汁を加えたビール。スッキリとした味わいで苦味も少ないので、ビールが苦手な人でもおいしくたのしめます。
アルコール度数は3.5%。

国内販売元:日本ビール株式会社
公式サイトはこちら

【国産】飛騨りんご|やさしい甘味とジューシーさ

地ビール飛騨「飛騨りんご」

出典:飛騨高山の小さなビール工房 地ビール飛騨サイト

飛騨高山の小さな地ビール工房が、香り豊かなりんご果汁と大麦を使用した無ろ過のりんごエール(発泡酒)。りんご特有のやさしい香りと酸味、甘味が魅力です。「インターナショナル・ビアカップ2020」フルーツビールスタイル ボトル部門 金賞受賞。
アルコール度数は4.5%。

製造元:株式会社地ビール飛騨
公式サイトはこちら

【国産】サンクトガーレン アップルシナモンエール|まるでアップルパイ

サンクトガーレン「アップルシナモンエール」

出典:サンクトガーレン有限会社サイト

長野県伊那市産の訳ありりんごを焼きりんごにしてふんだんに使用した秋冬限定フルーツビール。カラメルモルトのコク深いビールに、焼きりんごとシナモン、メープルシュガーを加えて、琥珀色に仕上げています。焼きたてのアップルパイのような香りにほのかな酸味とスパイシーさ、甘く香ばしい余韻が重なる、りんご好きにはたまらない逸品です。
アルコール度数は5%。

製造元:サンクトガーレン有限会社
公式サイトはこちら

おうちでかんたん!りんごを使ったビアカクテルのたのしみ方

りんごのビアカクテル

NatalyaBond / Shutterstock.com

「りんご」と「ビール」は、クラフトビールの世界では一般的な組み合わせ。フルーツビールとしても高い人気を誇っていますが、りんごやりんご果汁を使ったビアカクテルもおすすめです。

ビールをりんごジュースで割るだけのかんたんビアカクテル

アルコールに強くない人には、ビールのりんごジュース割りがイチオシです。

冷やしたグラスにりんごジュースを注ぎ、その上からビールを注ぐだけと作り方はいたってシンプル。泡立ちをよくするために、ビールをあとから注ぐのがポイントです。また、氷を入れると薄まってしまうので、グラスや材料を冷やしておくのもおいしく作るコツといえるでしょう。

りんごジュースは果汁100%のものがおすすめですが、ビールの銘柄は問いません。りんごジュースとビールの比率もお好みで。りんごのフルーティーな香りとビールの苦味がほどよく補完し合って、飲みやすくなります。

ビールのなかでもフルーティーな味わいのビールとの相性は絶妙。レモン果汁やシナモンパウダーを加えてもおいしいので、いろいろ試して好みの味わいを探してみてください。

りんごを使ったビアカクテル

NatalyaBond / Shutterstock.com

ブランデーを加えると本格派カクテルに

ビールのりんごジュース割りにブランデーを加えると、アルコール度数がやや高めのカクテルに仕上がります。ビアグラスにブランデーとアップルジュースを注いで軽くかき混ぜ、最後にビールを加えて完成。お好みでガムシロップを加えて甘味を調整してください。

分量はお好みですが、ブランデー、リンゴジュース、ビールの比率を1:2:3くらいで作り、適宜増減するとよいでしょう。

りんご酢とビールのカクテル

ElenaHramova / PIXTA(ピクスタ)

りんご酢×ビールのさわやかな酸味

りんごの代わりにりんご酢シロップを使うと、さわやかな酸味が際立つりんごのビールに仕上がります。

りんご酢シロップは自宅でもかんたんに作れます。密封できるビンを用意し、芯を取り除いて薄切りにした皮つきのりんごと氷砂糖、りんご酢または穀物酢を1:2:2ほどの比率で用意し、りんご、氷砂糖、酢の順にビンに投入。密閉して約1週間冷暗所で漬ければ完成です。

ビールと合わせるときは、りんご酢シロップとビールの比率を1:5程度にすると、さわやかな味わいのビアカクテルに仕上がります。

子どもも飲める!りんごのビール風ゼリーが話題

子どもも飲めるビール風ゼリー

karandaev / PIXTA(ピクスタ)

子育て中のファミリーの間で密かな人気を呼んでいるのが、見た目がビールにそっくりな、りんごのビール風ゼリー。ノンアルコールなので、お子さんでも安心して食べられます。

<材料>※4個分
100%りんごジュース…800ミリリットル
粉ゼラチン…15グラム
水…100ミリリットル
砂糖…大さじ3
レモン果汁…お好みで

<作り方>
1. 水にゼラチンを入れてよくかき混ぜ、火にかけてゼラチンを溶かします(電子レンジでもOK)。
2. りんごジュースを鍋で火にかけ、1と砂糖(+レモン果汁)を加えてよく混ぜる。
3. 4つのグラスに180ミリリットルずつ注いで、冷蔵庫でよく冷やす。
4. 残った液をビールの泡のようになるまで泡立て器で泡立てる。
5. 3の上に4を乗せて、冷蔵庫で約1時間冷やし、固まったら完成。

ジョッキやビールグラスで作ると、お子さんと一緒にビール気分を満喫できますよ。

りんごとビールはお互いの特徴を補完し引き立て合える相性抜群の組み合わせ。ビールの苦味が苦手な人でも安心してたのしめます。イチオシはりんごのフルーツビールですが、ビールのりんごジュース割りやりんごを使ったビアカクテルなど、さまざまな飲み方を試してみてください。

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