「マッコリ」とは白くにごった韓国の伝統酒!原料やアルコール度数、日本酒との違い、おいしい飲み方まで
「マッコリ(マッコルリ、マッカリ)」は朝鮮半島の伝統的な醸造酒。白くにごった見た目が特徴で、日本でも甘酸っぱい味わいと口当たりのよさ、豊富な栄養成分に注目が集まっています。今回は、マッコリの特徴や種類、日本酒との違い、おいしい飲み方などについて紹介します。
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マッコリとはどんなお酒なのか、まずは基本情報からみていきます。
マッコリとは?
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マッコリとは、朝鮮半島に伝わる大衆的な醸造酒。最初に、原料やアルコール度数、種類などの基本情報を紹介します。
マッコリは韓国の伝統的なにごり酒
マッコリは朝鮮半島の伝統的な濁酒(だくしゅ)。韓国の代表的な醸造酒のひとつで、麹をおおざっぱ(=マッ)に濾(こ)し(=コルリ(コルダ))て造られることから「マッコリ」と呼ばれるようになりました。ハングルでは「막걸리」と表記し、日本語では「マッコルリ」「マッカリ」と訳されることもあります。
マッコリの特長は、日本酒のにごり酒のように白くにごった見た目と乳酸菌飲料を思わせる甘酸っぱい味わい、やさしい口当たり。その飲みやすさと豊富な栄養成分で注目を集めています。
マッコリは、古くは農作業に従事する人々が自作の米と麹で仕込み、できたもろみを粗ごしして造っていたお酒で、現在のような嗜好品ではなく、疲れを癒やし、空腹を満たすために飲まれたといいます。その後は韓国全土に庶民のお酒として広まりました。
日本統治時代に酒税法が適用される以前の韓国には、お酒を自家醸造してたのしむ文化がありました。一般家庭で造るお酒は「家醸酒(カヤンジュ)」といいますが、マッコリも家醸酒のひとつとして愛されてきました。
当時は日持ちがしないお酒でしたが、酒造メーカーが製造を手がけるようになってからは、長期保存が可能に。2000年後半の韓流ブームとともに日本でも知名度が向上しました。
韓国では現在、700を超える醸造場がさまざまな原料を用いておいしいマッコリを製造・販売。韓国国内はもちろん、日本やアメリカ、中国、オーストラリア、ベトナムなどの国々でも人気が高まっています。
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マッコリの原料は?
マッコリはもともと、穀類と麹を合わせて一度の仕込みで発酵させ、できたもろみ(醪)を粗ごしして造られる速醸酒でした。主原料にはおもに蒸した米や小麦が使われてきましたが、近年はトウモロコシやジャガイモ、栗、蕎麦などさまざまな原料を用いたマッコリが流通しています。また、副原料にリンゴやマンゴー、イチゴなどのフルーツや、ナツメ、高麗人参などのハーブ類を使用するなど、バリエーションの豊富さでも注目を集めています。
マッコリのアルコール度数とカロリーは?
マッコリのアルコール度数は、6〜8度程度が主流。一般的なビールよりも若干高めですが、日本酒やワインよりは低いので、アルコールを飲み慣れていない人もチャレンジしやすいお酒といえそうです。
マッコリのカロリーは、100グラムあたり45キロカロリー前後。アルコール度数が低い分、日本酒よりも低カロリーですが、マッコリは甘さがあって飲みやすく、脂っこい料理との相性も抜群なので、飲みすぎや食べすぎには気をつけたいものです。
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マッコリの種類
さまざまな原料を使った豊富なバリエーションで、日本でも人気上昇中のマッコリ。日本でも昔ながらのプレーンタイプに加えて多彩なフレーバータイプが流通していますが、韓国では2,000種類以上が生産されているというから驚きです。
マッコリを選ぶうえで知っておきたいのが、製法上の種類です。
マッコリは大きく「生マッコリ」と「マッコリ」の2種類に分けられます。韓国で主流となっているのが、加熱処理を行わない「生マッコリ」。一方、日本でおもに飲まれているのは、加熱処理済みの「マッコリ」です。
酵母が生きたままの生マッコリはフレッシュな味わいとシュワッとした微炭酸が特長ですが、容器のなかで発酵が進んでしまうため、賞味期限がやや短め。加熱殺菌を行い酵母の働きを止めたマッコリは、賞味期限も比較的長いことから、輸入向きと考えられてきました。
しかし近年では、密閉キャップの改良や徹底した温度管理によって生マッコリの賞味期限が伸びたことから、日本でも韓国産のおいしい生マッコリが飲めるようになりました。
マッコリと日本酒の違いは?
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日本酒のなかにもマッコリのように白濁したお酒がありますが、マッコリと日本酒の間にはどのような違いがあるのでしょうか。おもな違いをみていきましょう。
◆酒税法上の区分の違い
マッコリと日本酒の最大の違いは、酒税法上の区分にあります。いずれも分類上は「醸造酒類」にあたりますが、日本酒は「清酒」、マッコリは以下の定義を満たす場合は「清酒」に、それ以外の場合は「その他の醸造酒」に分類されます。
酒税法における「清酒」の定義は以下のとおりです。
出典 国税庁|酒税法における「清酒」の定義次に掲げる酒類でアルコール分が22度未満のものをいう。
イ:米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ:米、米こうじ、水及び清酒かす、アルコール、焼酎、ぶどう糖その他ぶどう糖以外の糖類ででん粉質物を分解したもの、有機酸、アミノ酸塩又は清酒を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中アルコール以下の物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の100分の50を超えないものに限る。)
ハ:清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
「清酒」に分類されるマッコリは、製品の表示上は日本酒の「にごり酒」と同じ扱いです。
◆主原料の違い
日本酒の主原料は米ですが、マッコリは、小麦や大麦、トウモロコシ、ジャガイモなど、米以外の主原料が使われることもあります。
◆アルコール度数
前述したとおり、マッコリのアルコール度数は6〜8度程度。日本酒のアルコール度数は一般的に13〜15度前後といわれています。
マッコリは白くにごった見た目から、日本の「どぶろく」にたとえられることがあります。どぶろくの酒税法上の区分は「その他の醸造酒」、主原料は米。アルコール度数は日本酒に近く、マッコリより高めです。
マッコリは美容や健康への効果が期待できる?
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マッコリは豊富な栄養成分を含んだお酒。なかでも生マッコリは、人の体に好影響をもたらす生きた微生物を含んだプロバイオティクス飲料の一種とも考えられています。生マッコリのように生きた酵母と乳酸菌を含んだお酒はめずらしく、美容や健康に気を配る人たちの間でも関心が高まっています。
マッコリには腸活に役立つ乳酸菌だけでなく、ワインに含まれるクエン酸やリンゴ酸、日本酒に含まれる乳酸、そして食物繊維やビタミンB・Cなども含まれていて、お通じの改善や免疫力向上、疲労回復、肌ダメージ改善などの効果も期待されています。
国内で買える! マッコリのおすすめ銘柄
数あるマッコリのなかから、日本国内で購入できるおすすめ銘柄を紹介します。
麹醇堂生マッコリ|本場韓国でも大人気の糖質ゼロ
株式会社うめ海鮮@フォト / PIXTA(ピクスタ)
韓国で伝統的に使われる小麦麹(黒麹)と米で造った、本国でも人気の生マッコリ。生きた乳酸菌が1本(700ml)あたり約80億個も入っているうえ、糖質もゼロ。米由来のまろやかな味わいとシュワッとはじける微炭酸が特長です。
アルコール度数は6%。米と麹で造った「麹醇堂米マッコリ」シリーズには、バナナや桃、マスカット、イチゴなどのフレーバー商品もあり。こちらもおすすめです。
国内販売元:株式会社BSJ(百歳酒ジャパン)
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JINRO ユメマッコ|お米由来のやさしい甘味
画像提供:眞露株式会社
焼酎「JINRO」でおなじみの眞露は、マッコリの製造でも有名な酒造メーカー。「JINROマッコリ」はほのかな甘味と酸味、コクのバランスで親しまれています。
「JINROユメマッコ」は、お米由来のやさしい甘味が魅力。プレーンとピーチフレーバーの2種類があり、どちらもアルコール度数5%とやや低め。マッコリ初心者でも安心してたのしめます。
販売元:眞露株式会社
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サントリー ソウルマッコリ|乳酸菌由来の甘味を微炭酸で
画像出典:サントリーホールディングス株式会社
乳酸由来のやさしい甘味と微炭酸のさわやかな飲み口が特長のマッコリ。お米の旨味が生きているので、韓国料理はもちろん、日本風の食事ともよく合います。アルコール度数は6%。750mlペットボトルと350ml缶からお気に入りを選んで。
製造元:サントリー株式会社
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マッコリのおいしい飲み方
生マッコリも加熱処理済みのマッコリも冷蔵庫で冷やして飲むのがおすすめです。適温は5度程度。まずはストレートで、そのままの個性を味わいましょう。スッキリとしたのどごしをたのしみたいときや、アルコール感を抑えたいときは、大きめの氷を入れたオン・ザ・ロックで飲むのも一興です。また、加熱処理をしたマッコリならホットミルク感覚で温めて飲むのもおすすめです。
フレーバーマッコリならソーダやヨーグルトを、プレーンなマッコリならフルーツジュースなどを加えて、マッコリカクテルにしてもおいしいですね。
マッコリはさまざまな料理と合いますが、なかでもおすすめはチヂミや焼き肉、「ヤンニョムチキン」などの韓国料理。野菜と合わせるなら「キャベツの韓国風海苔ナムル」や「豆苗の韓国海苔和え」なども試してみてください。
マッコリはほのかな甘味と酸味、やさしい口当たりが魅力のお酒。美容や健康にプラスの効果が期待できると聞くと、つい飲みすぎてしまいそうですが、適量を守っておいしくたのしみたいですね。