サワーとは? ハイボールやチューハイ(酎ハイ)との違い、ベースに使うお酒の種類、作り方なども確認
サワーとはカクテルの一種で、日本では焼酎などの蒸溜酒に柑橘類の果汁と甘味料などを加え、炭酸水で割った飲み物を指すのが一般的です。今回はサワーの意味や特徴、ハイボールやチューハイとの違い、おいしい飲み方、サワーの王道「レモンサワー」の作り方などを紹介します。
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サワーとはどんなお酒なのか、基本情報から確認していきましょう。
サワーとはどんなお酒?
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サワーという名称の由来や特徴をみていきます。
サワー(Sour)とは英語で「酸味のある」「酸っぱい」の意味で、カクテルの一種
サワーは、「酸味のある」「酸っぱい」を意味する「Sour」を語源に持つ言葉。サワーという飲み物に明確な定義はありませんが、一般的には、広義のスピリッツ(蒸溜酒)をベースに、レモンやライムといった酸味のある果汁と甘味のある成分を加えたカクテルの一種とされています。
日本では炭酸(ソーダ)を加えて飲まれることが多く、居酒屋さんなどでは、使用する果汁や混ぜる飲み物の名前を組み合わせた「◯◯サワー」の名で親しまれています。
日本の居酒屋さんで飲まれるサワーの魅力は、なんといってもほどよい酸味とのどごしのよさ。果汁の種類や混ぜる飲み物を変えると異なるフレーバーになるため、種類の豊富さも人気の理由といえるでしょう。
サワーに明確な定義がないといっても、世界的にみると炭酸で割る飲み方は少数派。国内でもバーと居酒屋さんとでは、サワーに対する解釈が違います。一般的に、バーで提供しているサワーにソーダは入りません。バーで居酒屋さん風のサワーを注文するときは、炭酸を加えてもらうようバーテンダーさんに頼んでみるとよいでしょう。
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サワーのベースは焼酎とはかぎらない
日本の居酒屋さんでおなじみのシュワッとしたのどごしが特長のサワーは、ベースに焼酎を使うケースが多いかもしれませんが、サワーのベースは焼酎とはかぎりません。
サワーのベースには焼酎やウォッカ(ウオッカ/ウオツカ)といった無色透明のスピリッツ(蒸溜酒)を使うのが一般的。なかには、2種類以上のスピリッツが使われる場合もあります。
サワーとハイボール、チューハイの違いは?
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ここから先は、日本の居酒屋さんで親しまれている炭酸入りのサワーに特化して、豆知識やおいしい飲み方などを紹介していきます。
まずは、サワーに似た飲み物「ハイボール」や「チューハイ」との違いについてみていきましょう。
ハイボールとは?
ハイボールとは、ウイスキーなどのスピリッツをソーダで割った飲み物で、カクテルの一種。好みに応じてレモンを浮かべます。
日本ではウイスキーにソーダを加えたものを「ハイボール」と呼ぶことが多く、焼酎をベースとしたものは「焼酎ハイボール」と区別される場合もありますが、こちらも明確な定義はありません。
ハイボールというと、ウイスキーなどアルコール度数の高いお酒を甘味のないソーダ水で割った糖質ゼロのアルコール飲料として人気を集めていますが、じつはソーダの代わりにジンジャーエールなど甘味のある炭酸飲料が使われることもあります。糖質を控えている人は、割り材の種類にこだわったほうがいいかもしれません。
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チューハイ(酎ハイ)とは?
チューハイとは、焼酎の「酎」と「ハイボール」の「ハイ」を組み合わせたもので、「焼酎ハイボール」の略ともいわれています。
一般的には、焼酎をベースに、果汁やシロップなどで風味をつけ、ソーダで割ったものをチューハイと呼びますが、サワーと同様に明確な定義はなく、焼酎の代わりにウォッカなどの無色透明なスピリッツを使ったり、ソーダではなくウーロン茶などのお茶類で割ることもあります。
サワーとチューハイの間にはっきりとした違いはありません。同じレシピで作ったアルコール飲料を「サワー」と呼ぶ居酒屋さんと、「チューハイ」と呼ぶ居酒屋さんがあり、飲食業界でもほぼ同義で使われているのが現状です。
サワーの起源は東京都内のもつ焼き屋さん
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サワー発祥のお店は、東京・中目黒にあった伝説の居酒屋「もつ焼きばん」。昭和33年のオープン当初は、お酒は庶民が日常的に飲むには高いもので、比較的リーズナブルだった甲類焼酎は現在のように洗練されたものではなかったそう。
当時は、「タンチュー」と呼ばれる焼酎の炭酸割りに梅や果汁(エキスやシロップ)を加えて飲むのが一般的でしたが、フレーバーごとの名前はありませんでした。
このタンチューのなかでもレモンを加えたさわやかな飲み口のお酒に「レモンサワー」と名づけたのが、「もつ焼きばん」の創業者、小杉正さん。レモンサワーの誕生には諸説ありますが、1960年代前半のことだといわれています。
なお、関西圏では「レモンサワー」ではなく「レモンハイ」「レモンチューハイ」と呼ぶことが多いようです。関西の居酒屋さんでオーダーするときのために覚えておくとよいでしょう。
サワーにおすすめの焼酎と割り材
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サワーに使用するベースのお酒や割り材についてみていきましょう。
ベースに焼酎を使うなら、甲類焼酎をチョイス
サワーのベースにはさまざまな蒸溜酒が使われますが、自宅でたのしむ場合は焼酎がおすすめ。なかでも一押しは、クセが少なくスッキリとして飲みやすい甲類焼酎です。割り材を選ばないのも魅力ですが、価格もリーズナブル。また、アルコール度数20〜35度程度と蒸溜酒のなかでは比較的低めで、アルコール度数の高いお酒と比べると割り材の使用量が少なくて済むので、コスパのよさも群を抜いています。
甲類焼酎はクセがないといっても、銘柄ごとに個性は異なるので、以下の記事を参考にお気に入りを探してみてくださいね。
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人気のフレーバーはこれ! 割り材もチェック
割り材の数だけ種類があるのがサワーの魅力ですが、居酒屋さんで注文する際などは、目移りしてしまう人も多いのではないでしょうか。
数あるフレーバーのなかでもとりわけ人気が高いのが、以下の6種類です。
◇レモンサワー
◇グレープフルーツサワー
◇青リンゴサワー
◇梅(うめ)サワー
◇ライムサワー
◇カルピスサワー
※「カルピス」はアサヒ飲料株式会社の登録商標です。
なお、居酒屋さんでおなじみの割り材に「ハイサワー」がありますが、これを使えば果汁を加えずにおいしいサワーがたのしめます。一般向けの商品も流通しているのでぜひ試してみてください。
お酒をわるなら!ハイサワー(博水社)
公式サイトはこちら
サワーの王道といえばレモンサワー
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サワーの王道といえばレモンサワー。発祥から60年ほど経った今も大衆酒場では定番商品として親しまれています。また、市販のレモンサワーブームも拡大し、元祖の味わいを継承したもの、本格派を極めたもの、さらなる進化を遂げたものなど、さまざまな商品が市場を賑わしています。
ベースと割り材があれば自宅で手軽に作れるのもレモンサワーの魅力です。さっそく特徴と作り方をみていきましょう。
レモンサワーの味わいの特徴
レモンサワーの魅力はなんといってもさわやかな飲み心地。レモン果汁の酸味と炭酸ののどごしがおいしさを際立たせています。また、おつまみの味を邪魔しないので、さまざまな料理に合わせられます。
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おいしいレモンサワーの作り方
進化を続けるレモンサワーは、その作り方も多様化していますが、ここではスタンダードなレモンサワーと、冷凍レモンを使ったレモンサワーの作り方を紹介します。
スタンダードなレモンサワー
氷を入れたグラスに甲類焼酎を注ぎ、炭酸(強炭酸水)を加えます。マドラーで軽くかき混ぜたら、レモンをギュッと搾って完成です。
焼酎の量はグラスの3分の1程度が目安ですが、適宜増減してください。レモンの量もお好みですが、半分にカットしたレモンを、レモン絞り器などを使って搾り入れると居酒屋さん風の味わいに。
冷凍レモンで作るレモンサワー
グラスに焼酎を注ぎ、あらかじめ輪切りやくし切りにして凍らせておいたレモンを投入。さらに炭酸水(強炭酸水)を注いで完成。凍ったレモンを氷の代わりにサワーを冷やしてくれるので、最後まで薄まることなくさわやかな飲み口をたのしめます。
いずれも、砂糖などの甘味成分は加えていません。甘いお酒が好きな人は、お好みではちみつを加えたり、レモンの代わりに漬け込みレモンや自家製レモネードを使用してもよいでしょう。
ほかにもさまざまな作り方が存在するので、とっておきのレシピを探してみてくださいね。
なお、自宅で手軽に居酒屋さんの味わいをたのしみたい人には、炭酸水を加えるだけで本格レモンサワーに仕上がるレモンサワーの素もおすすめです。
サワーは果汁の酸味と炭酸のスッキリとしたのどごしをたのしめるカクテルの一種。甲類焼酎があれば、無限のバリエーションをたのしめるので、好みの果汁や割り材と合わせて、とっておきのレシピを探してみてください。