美山錦、越淡麗、秋田酒こまち、百万石乃白で造られた日本酒を飲んだことはありますか?

美山錦、越淡麗、秋田酒こまち、百万石乃白で造られた日本酒を飲んだことはありますか?
出典 : kitsune05 / Shutterstock.com

日本酒の酒造好適米として有名な山田錦や五百万石は、全国の多くの蔵元で原料米として使用され銘酒を生み出しています。一方、地域特産の酒造好適米も全国には様々あり、それぞれのお米の産地で日本酒造りの原料として使用されています。

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日本酒の原料の酒造好適米とは

酒造好適米を育てる田んぼ

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「酒造好適米」とは、日本酒造りに適した特性を持つお米のことです。
酒造好適米は全国で100品種以上が栽培されています。粒の大きいものがよいとされていることから、時間をかけて育てる必要があり、収穫時期が遅い晩生(おくて)の品種が主流となっています。

日本酒造りに特化している酒造好適米には、普通の食用米とは違った特性があります。
食べるお米とは異なる、酒造好適米ならではの4つのポイントをみてみましょう。

■大粒で割れにくいこと
■ほどよい大きさの「心白(しんぱく)」があること
■タンパク質と脂質が少ないこと
■お米の吸水性がよいこと

少し専門的にまとめると、お米の精米歩合を高めても割れにくく、麹菌が入りやすいデンプン質が粗めの心白があり、雑味の原因となるタンパク質と脂質が少なく、原料米を蒸す際にはほどよく吸水して外が固く中が柔らかいお米に仕上がるお米が、良い酒造好適米のポイントということになります。

全国各地で収穫した酒造好適米で醸される日本酒

太陽と酒造好適米の稲

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酒造好適米の代表格は「山田錦」や「五百万石」ですが、全国それぞれの地域で作られている酒造好適米もあります。
今回は長野県、新潟県、秋田県、石川県で主に生産される、地域の酒造好適米で醸造された日本酒についてご紹介します。

長野県産の「美山錦(みやまにしき)」で醸した長野県・遠藤酒造場の日本酒

酒造好適米で日本酒を醸造する長野県の遠藤酒造場

長野県・遠藤酒造場

長野県須坂市にある遠藤酒造場は、創業元治元年(1864年)に、初代蔵元の遠藤徳三郎が酒造りをはじめた時から、常に「旨い酒を」との一心で酒造りに取り組んでおり、酒造りとは、単に酒を「造る」のではなく、「醸しだし育てる」ものだと考え、今でも妥協することなく本質の日本酒を追求しています。

美山錦は、昭和53年に長野県農事試験場で、酒米の「北陸12号」を母に、「東北25号」を父とした「たかね錦」に放射線処理を行い、突然変異したものの中から米粒が大きく、心白の発現率が高いものを選抜した品種です。

美山錦の主な生産地は長野県で、山田錦、五百万石に次ぐ全国第3位の生産量(※)があります。
(※)農林水産省 米に関するマンスリーレポート(令和3年3月号)より

遠藤酒造場では、長野県産の美山錦を使い「渓流 純米吟醸 黒ラベル」を発売しています。
協会1801号酵母で醸した香り高い純米吟醸酒でありながら、米の旨みを引き出している純米吟醸酒で、2015年のモンドセレクションや2015年のスローフード燗酒コンテストで金賞を受賞している、燗でも冷やでも美味しいお酒です。

酒造好適米で醸造された日本酒 渓流純米吟醸黒ラベル

「渓流 純米吟醸 黒ラベル」

商品名:渓流 純米吟醸 黒ラベル
小売価格:720ml 1,600円(税別)

新潟県産の「越淡麗(こしたんれい)」で醸した新潟県・下越酒造の日本酒

酒造好適米で日本酒を醸造する新潟県の下越酒造

新潟県・下越酒造

新潟県東蒲原郡にある下越(かえつ)酒造は、鎌倉時代の建長四年、新潟県東蒲原郡阿賀町津川に築かれた麒麟城の名前にあやかり、酒名を「麒麟」とした明治13年創業の藏です。

醸造に適した、水、自然の豊かな環境の地で、鑑定官として全国の蔵元への醸造技術指導にあたってきた経歴の当主をはじめ、杜氏、蔵人が一丸となり、和をもって正統な妥協のない品質本位の酒造りを目指しています。

新潟県で育成された酒造好適米の越淡麗は、「山田錦」と「五百万石」をかけ合わせて育成された品種で、大粒なため大吟醸酒を作る高精白にも耐えうる特性をもっており、山田錦に代わる酒米として注目されています。

下越酒造では、越淡麗を使用した「麒麟 純米吟醸蔵出原酒」を発売しています。

酒造好適米で醸造された日本酒 麒麟純米吟醸蔵出原酒

「麒麟 純米吟醸蔵出原酒」

商品名:麒麟 純米吟醸蔵出原酒
小売価格:720ml 1,500円(税別)

秋田県産の「秋田酒こまち」で醸した秋田県・小玉醸造の日本酒

酒造好適米で日本酒を醸造する秋田県の小玉醸造

秋田県・小玉醸造

秋田県潟上市にある小玉醸造は、味噌醤油の醸造元として明治12年(1879年)に創業。日本酒の醸造は大正2年から開始し、地域で親しまれている名峰「太平山(たいへいざん)」に由来する「太平山」ブランドのお酒を世に送り出しています。
小玉醸造では、あえて手間暇のかかる生酛や吟醸を主力としたこだわりの酒造りを続けています。

IWC(インターナショナルワインチャレンジ)でシルバーメダルを獲得した「太平山 純米吟醸 澄月(ちょうげつ)」は、秋田県が開発した酒造好適米「秋田酒こまち」を原料米として使用し、華やぎのある吟醸香と、やわらかな飲み口ながらも旨味も感じる味わいが特徴のお酒になっています。

酒造好適米で醸造された日本酒 太平山純米吟醸澄月

「太平山 純米吟醸 澄月」

商品名:太平山 純米吟醸 澄月
小売価格:2022年9月迄 720ml 1,400円(税別)/10月以降 1,500円(予定・税別)

石川県産の「百万石乃白(ひゃくまんごくのしろ)」で醸した石川県・福光屋の日本酒

酒造好適米で日本酒を醸造する石川県の福光屋

石川県・福光屋

石川県金沢市にある福光屋は、寛永二年(1625年)創業。百年の時をかけて酒蔵に湧き出る清冽な仕込水と良質な酒米に恵まれ、伝統の職人技を受け継ぎながら、390年の歳月にわたって酒を造り続けています。
2001年には全ての日本酒を純米酒造りに切り替え、米と水のみで酒を醸す「純米蔵」となりました。

加賀鳶 純米大吟醸46 百万石乃白は、石川県が開発した新しい酒米「百万石乃白(石川酒68号)」を精米歩合46%に磨き上げ、「金沢酵母」と霊峰白山から辿り着く天然水「百年水」で醸したオール石川の純米大吟醸。フルーティーな吟醸香とすっきりとしたキレのよさが特長です。

酒造好適米で醸造された日本酒 加賀鳶純米大吟醸46百万石乃白

「加賀鳶(かがとび) 純米大吟醸46 百万石乃白」

商品名:加賀鳶(かがとび) 純米大吟醸46 百万石乃白
小売価格:720ml 2,000円(税別)

地域で開発された酒造好適米は、地域の農家で栽培され、地元の酒蔵で地の仕込み水を使い、地域の特色が表れた地酒として醸されています。
「山田錦」「五百万石」などの有名な酒造好適米以外の酒米に注目して日本酒を味わうのも、
新しい発見がありそうですね。

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