ウイスキーの原料は多種多彩! 原料ごとに異なる個性をたのしもう

ウイスキーの原料は多種多彩! 原料ごとに異なる個性をたのしもう
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ウイスキーの原料といえば「モルト(大麦麦芽)」ですが、ほかにもライ麦やトウモロコシほかさまざまな原料が使われています。今回は、ウイスキーの原料の種類や、原料別のウイスキーの種類、変わった原料を用いたウイスキーなどについて紹介します。

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ウイスキーの原料は?

ウイスキーの原料は?

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ウイスキーの原料としてどんなものが使われているのか、確認しましょう。

ウイスキーの主原料は「穀物」

ウイスキーは穀物を主原料に造られるお酒です。穀物とは、小麦、トウモロコシ、稲の三大作物に代表されるイネ科の植物のことで、ほかにも大麦やライ麦、そば、キビ、アワ、ヒエ、ダイズなどの豆類が挙げられます。

なお、穀物は英語で「grain」ですが、「grain」にはイネ科の果実(穀果)や干した果物なども含まれます。

ウイスキーの原料に用いられる穀物

ウイスキーに使われる原料のなかでも、代表的なのは大麦です。基本的に多くのウイスキーに大麦を発芽させた大麦麦芽が用いられています。そのほか、ライ麦やトウモロコシ、小麦、米、キヌア、そばなども使われます。

ウイスキーの定義は国によって異なりますが、一般的にはこれらの穀物を原料に、糖化、発酵、蒸溜を行い、木樽で貯蔵熟成させて造られています。

原料別のウイスキーの種類

原料別のウイスキーの種類

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主原料の異なるウイスキーの種類と、それぞれの特徴を紹介します。

モルト(大麦麦芽)を原料に用いた「モルトウイスキー」

モルトとは、大麦を発芽させた大麦麦芽のことです。一般的にはモルト100%で造られるウイスキーを「モルトウイスキー」といいます。単一蒸溜所で造られたモルトウイスキーだけを瓶詰めしたものは、「シングルモルトウイスキー」と呼ばれます。

「モルトウイスキー」は、おもにスコットランドや日本などで造られていますが、近年は台湾やインドなど、新興のウイスキー生産地で造られる「モルトウイスキー」も注目されています。

スコットランドや日本ではモルトを100%使用した場合のみ「モルトウイスキー」を名乗れますが、アメリカなどでは原料の51%以上に大麦モルトを使用していれば「モルトウイスキー」と名乗ることができます。

「モルトウイスキー」は、蒸溜所や生産地の特徴が色濃く反映されやすく、さまざまな個性を持ったウイスキーが生産されています。

ライ麦を原料に用いた「ライウイスキー」

ライウイスキーは、ライ麦を原料に造られるウイスキーです。おもにアメリカで造られているウイスキーで、歴史の流れのなかで一度は需要が低迷したものの、近年は再び人気が高まっています。

アメリカで「ライウイスキー」は、原料の51%以上がライ麦で、アルコール度数80%以下で蒸溜し、内側を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成させたものと定義されています。なかでも2年以上熟成させたものは「ストレートライウイスキー」と呼ばれます。

ライウイスキーは少し辛口のシャープな味わいが特徴で、スタンダードカクテルなどにも用いられています。

トウモロコシを原料に用いた「コーンウイスキー」

「コーンウイスキー」はトウモロコシを原料としたウイスキーです。同じくトウモロコシなどの穀物を原料に造られるウイスキーに「グレーンウイスキー」がありますが、「コーンウイスキー」とは別物です。

「コーンウイスキー」のおもな生産地もアメリカです。アメリカでは原料の80%がトウモロコシかつアルコール度数80%以下で蒸溜し、内側を焦がしたホワイトオークの新樽で貯蔵熟成したものなどと定義されています。

「ライウイスキー」と同じく、2年以上熟成させたものは「ストレートコーンウイスキー」と呼ばれますが、ほとんどが熟成せずに造られます。そのため、多くはアルコール感が強めですが、コーンのほのかな甘味も感じられるのが特徴です。

小麦を原料に用いた「ホイートウイスキー」

小麦を原料としたウイスキーを「ホイートウイスキー」といいます。「ウィートウイスキー」と表記されることもあります。

「ホイートウイスキー」のおもな産地もアメリカです。アメリカでは、原料の51%以上が小麦で、アルコール度数80%以下で蒸溜し、内側を焦がしたホワイトオークの新樽で貯蔵熟成したものと定義されています。2年以上熟成させたものは、「ストレートホイートウイスキー」と呼ばれます。

「ホイートウイスキー」は、マイルドで、バーボンのように甘味が感じられるものが多いようです。

変わった原料を使ったウイスキー

変わった原料を使ったウイスキー

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ウイスキーのなかには、変わった原料を使ったものもあります。ユニークなウイスキーをいくつか紹介します。

米を原料に用いた「ライスウイスキー」

日本では、米を原料とした「ライスウイスキー」が造られています。

かつてキリンの富士御殿場蒸溜所で、米とモルトを原料にした「ライスウイスキー」が造られていましたが、残念ながら生産終了となっています。

近年国内外で注目されている「ライスウイスキー」は、沖縄の久米仙酒造が造る「沖縄 BLUE」。米を原料に10%の「モルトウイスキー」を加えて造られています。

久米仙酒造は泡盛の蔵元ですが、古酒を利用して、お米由来の甘味や酸味、バーボン樽由来のウッディな香りが特徴の、日本ならではの味わいが評価されています。

このほかに、熊本県・山都酒造が造る「シングル ライスウイスキー 保之助」もあります。

キヌアを原料に用いた「キヌアウイスキー」

南米原産のキヌアを用いた「キヌアウイスキー」という珍しいウイスキーも存在します。こちらは、アメリカのクラフトディスティラリー(小規模蒸溜所)、コルセア蒸溜所で生産されています。

「キヌアウイスキー」は、キヌア約2割+モルト約8割で造られているそう。味わいはライトで、フルーティーな甘さやナッツの風味などが感じられるのが特徴です。

なお、コルセア蒸溜所を立ち上げたダレク・ベル氏は、「オルト・ウイスキー(新発想のウイスキー)」の第一人者として知られ、キヌアのほかにも、オートミールやジュズダマを原料としたウイスキーも手掛けています。

そばを原料に用いた「そばウイスキー」

フランスのブルターニュでは、そばを使った「そばウイスキー」が造られています。製造しているのは、もともとはコニャックの蒸溜所であった、ラ・ディスティラリー・デ・メンヒル(メニール)蒸溜所。銘柄名は、そばを意味する「EDDU(エデュー)」です。

そば100%を原料に、コニャック用の蒸溜機で2度蒸溜し、コニャック樽で5年間熟成した「EDDU」は、バラのような香りと、ハチミツのような甘さやスパイシーさ、なめらかな口当たりが魅力となっています。

また、アメリカ・シカゴのコーヴァル蒸溜所でもそばの実を使った「そばウイスキー」が造られています。蒸溜所名を冠した「KOVAL」では、香ばしさと、ほのかなそば由来の風味がたのしめるそう。

ブレンデットウイスキーは国によって定義が異なる

ブレンデットウイスキーは国によって定義が異なる

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「ブレンデッドウイスキー」は、国によって定義・製法が異なります。おもな生産国の特徴は以下のとおりです。

◇スコットランド
スコットランドで誕生した「ブレンデッドウイスキー」は、スコットランドのほか日本でも多く造られています。大麦のみを原料としたモルト原酒と、大麦以外の穀物を原料としたグレーン原酒をブレンドして造られ、「シングルモルトウイスキー」に比べるとマイルドで飲みやすいのが特徴です。
「シングルモルトは風土が造る、ブレンデッドは人が造る」といわれるように、「ブレンデッドウイスキー」の仕上がりはブレンダーの腕にかかっています。何種類もの風味の異なるウイスキーを絶妙に組み合わせ、洗練された味わいを生み出すには、卓越した技とセンスが必要です。完成された極上の「ブレンデッドウイスキー」は、芸術品といっても過言ではありません。

◇アメリカ
アメリカの「ブレンデッドウイスキー」は、内側を焦がしたホワイトオークの新樽で2年以上熟成させたバーボンやライ、コーンなどのストレートウイスキーを、アルコール度数50度に換算して20%以上使用し、さらにほかのウイスキーやニュートラル・スピリッツをブレンドしたものと定義されています。

◇カナダ
カナダでは一般的に、トウモロコシを主原料とした「ベースウイスキー」と、ライ麦を主原料とした「フレーバリングウイスキー」をブレンドしたものを、「ブレンデッドウイスキー」と呼びます。

ウイスキーは、大麦ほかトウモロコシやライ麦などさまざまな穀物を原料として造られています。主原料の穀物が異なればウイスキーの風味も変わってきます。それぞれの味わいの違いを飲み比べてみるのもたのしそうですね。

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