バーボンウイスキーとの違いって?コーンウイスキーの定義や歴史をご紹介します
コーンウイスキーとバーボンウイスキーの違いを詳しくご紹介! 原料の比率や味わいの違い、アメリカの歴史的背景とともに、コーンウイスキーの定義や代表的な銘柄をご紹介します。ウイスキーに興味のある方必見の情報満載です。
- 更新日:
「コーンウイスキー」はコーンで造るウイスキー
Jake Hukee/ Shutterstock.com
「コーンウイスキー」にはアメリカ独自の定義がある
「コーンウイスキー」は、読んで字のごとく、コーン、すなわちトウモロコシを主原料としたウイスキーのこと。
ただし、コーンウイスキーの本場・アメリカでは、より明確な定義があります。アメリカで「コーンウイスキー」として販売するには、原料の80%以上がトウモロコシで、アルコール度数80パーセント以下で蒸溜したものであることが条件となります。
なお、熟成期間については決まりがなく、一切樽熟成しなくても出荷できます。
コーンウイスキーとバーボンウイスキーの違いは原料の比率
アメリカンウイスキーの代名詞とも言われる「バーボンウイスキー」は、トウモロコシを主原料としているため、広義ではコーンウイスキーの1種と言えます。ただし、アメリカの法律では両者を明確に区別しています。
バーボンウイスキーの定義は、おもに以下の3点です。
1.ウイスキーの原料の51%以上がトウモロコシ
2.アルコール度数80%以下で蒸溜
3.内側を焦がしたオークの新樽で熟成
コーンウイスキーとバーボンウイスキーの味わいの違い
コーンウイスキーは、樽熟成による奥深さが特徴のバーボンウイスキーとは異なり、ほとんど熟成しないのが一般的。このため、荒々しいアルコール感の後に、甘いコーンの味わいが残るのが特徴です。
ただし、最近では樽でじっくり熟成した、やさしいコーンウイスキーも登場しています。
「コーンウイスキー」のアメリカにおける歴史を紐とく
Greg Welch/ Shutterstock.com
「コーンウイスキー」生みの親は、スコティッシュ・アイリッシュ
コーンウイスキーをはじめとしたアメリカンウイスキー造りが本格的に行われるようになったのは、アメリカがイギリスから独立する以前の18世紀前半ごろからと言われています。
アメリカにおける初期のウイスキー造りの担い手は、スコットランドから移住してきたアイルランド人「スコティッシュ・アイリッシュ」だとか。コーンウイスキーなどのアメリカンウイスキーにも、じつはスコッチウイスキーの血が流れているのですね。
コーンウイスキーがアメリカンウイスキーの主流に
コーンウイスキーが主流なアメリカンウイスキーに対し、スコッチウイスキーなどでは、モルト(大麦麦芽)を主原料とした「モルトウイスキー」が主流です。
もとはスコッチウイスキーの造り手だった人々が、アメリカではモルトでなくトウモロコシを主原料に選んだのは、大麦よりも入手しやすかったからと考えられます。
初めてコーンウイスキーが造られたのは、“バーボンの聖地”ケンタッキー州と言われています。同州では「バーボンウイスキー」として独自の進化を遂げる一方で、トウモロコシによるウイスキー造りがアメリカ各地に広がっていったのでしょう。
コーンウイスキーは禁酒法時代の密造酒?
コーンウイスキーは、1920年から始まった禁酒法時代には密造酒として人気を集めたそうです。豊富なトウモロコシを原料に、熟成することなく効率的に出荷できるコーンウイスキーは、安価な密造酒には最適だったのでしょう。
現在、流通しているコーンウイスキーは、もちろん密造酒時代とは品質が異なりますが、安価で購入できる商品が多いのは、当時の名残かもしれません。
「コーンウイスキー」の代表的銘柄
Reece with a C/ Shutterstock.com
コーンウイスキーにも多種多彩な味わいが
「コーンウイスキー」と一口に言っても、近年では蒸溜所ごとに工夫を凝らし、かつての荒々しさを重視したものから、樽熟成させた口当たりのやわらかいものまで、さまざまな銘柄が登場しています。バーボンとは一味違ったコーンウイスキーの魅力をたのしむために、いくつか代表的な銘柄を紹介しましょう。
【ジョージア・ムーン コーンウイスキー】
密造酒時代そのままの荒々しさをたのしめるコーンウイスキー。熟成わずか30日で瓶詰めされた、無色透明のウイスキーは「アルコールそのもの」と言っても過言ではありませんが、その荒々しさがクセになってしまうのだとか。
【メロウコーン 50度】
「ジョージア・ムーン」とは正反対に、しっかりと熟成させた琥珀色のウイスキー。トウモロコシの甘さとやわらかさを前面に押し出しているので、女性にもおすすめです。
【バルコネズ トゥルーブルー 100】
テキサス産のトウモロコシ100パーセントで造られたコーンウイスキーで「メロウコーン」と同様の樽熟成タイプ。青トウモロコシを使ったことからその名がついていて、コーンの甘味と一緒に口に広がるベリーのような後味が特徴です。
コーンウイスキーは、同じトウモロコシを原料としているにもかかわらず、バーボンウイスキーとは異なる魅力があります。両者を飲み比べてみるのも、たのしいかもしれませんね。