【チェリーブランデー】世界で愛されるサクランボのリキュール

【チェリーブランデー】世界で愛されるサクランボのリキュール
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チェリーブランデーとは、スピリッツにサクランボを漬け込んで作られる果実系リキュールです。その名前から蒸溜酒であるブランデーの一種と思われがちですが、実際はその多くがリキュールに分類されます。今回はそんなチェリーブランデーの特徴やたのしみ方を見ていきましょう。

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チェリーブランデーとは?

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サクランボのお酒

チェリーブランデーは、世界で愛されるサクランボのお酒。その名からブランデーの一種と思われがちですが、実際はスピリッツにサクランボを漬け込み、シナモンなどの香料や糖類を加えて造られる果実系リキュールである場合が多いのが実態です。

ベースとなるスピリッツにブランデーが多く使われることから、「チェリーブランデー」と呼ばれるようになったそう。

チェリーブランデーはサクランボの「リキュール」

チェリーブランデーは、その製法から大きく2種類に大別されます。

ひとつは、リキュールの代表的な製法「浸漬法」によって造られる、いわゆる果実系リキュールです。国によってリキュールの定義は異なりますが、一般的には、スピリッツ(=蒸溜酒)に果実や花、薬草、香草、ナッツなどの香味成分を加えて造る混成酒を指します。ブランデーなどの蒸溜酒にサクランボを浸漬して造るチェリーブランデーは、ライチを主原料に造られるリキュールがライチリキュール、レモンを主原料としたリキュールがレモンリキュールと呼ばれるのと同様に、「チェリーリキュール」と呼ばれることもあります。

もうひとつは、サクランボを主原料にブランデーの製法で造り上げた蒸溜酒です。こちらはサクランボの果汁を発酵させて醸造酒を造り、蒸溜するというもの。こちらはブドウ以外の果実(サクランボ)を原料とし、「チェリーブランデー」の言葉どおりの「サクランボ原料のブランデー」で、ブランデーの一種である「フルーツブランデー」に分類されます。

このように、チェリーブランデーといっても種類はさまざま。なかにはベースに中性アルコールを使用するなど、ブランデーがまったく使われていない銘柄もあるため、純粋にブランデーの一種としてたのしみたい場合は、購入前のチェックが不可欠といえそうです。

キルシュワッサーは「フルーツブランデー」

チェリーブランデーの代表的なものに、ドイツ生まれの「キルシュワッサー(Kirschwasser)」があります。「キルシュ」や「キルッシュ」、「キルシュバッサー」とも呼ばれるこのお酒は、ブドウ以外の果実を発酵させて造った醸造酒を蒸溜・熟成したフルーツブランデーの一種で、ケーキなどの風味づけにも使われるポピュラーなお酒です。

ブドウを主原料にしたブランデーは樽熟成を行うのが一般的ですが、熟成に樽を用いないキルシュワッサーは無色透明に仕上がります。

チェリーブランデーの飲み方は?

チェリーブランデーの飲み方は、種類によって若干異なります。

各国のリキュールメーカーが販売する、リキュールタイプのチェリーブランデーの多くは美しいサクランボ色。色鮮やかなカクテルのベースとして、真価を発揮します。チェリーブランデーを使ったおいしいカクテルはたくさんあるので、いろいろ飲み比べてみてください。

いっぽう、フルーツブランデーのキルシュワッサーは、アルコール度数が約40度とやや高めですが、独特の香味と甘味を堪能するならストレートがおすすめ。本場ドイツには、ビールをチェイサーに交互に飲むというたのしみ方もあるので、機会があったらキルシュワッサーとビールの絶妙なハーモニーを味わってみてください。もちろん、オン・ザ・ロックや水割りで、またカクテルのベースに使用してもおいしくいただけます。

個性豊かなチェリーブランデーのブランド

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ボルス チェリーブランデー(オランダ)

1575年に蒸溜酒造りを始めたオランダのリキュールメーカー、ボルスが造るのは、新鮮なサクランボの濃縮果汁とブランデーを原料に、ハーブや香辛料のエキスを加えてバランスのよい風味に仕上げたリキュールタイプのチェリーブランデー。フレッシュながら、リッチな味わいがたのしめます。「シンガポール・スリング」や「チェリー・サワー」のベースに最適。
アルコール度数:24度

販売元:アサヒビール
公式サイトはこちら

マリー・ブリザール ジョリーチェリー(フランス)

マリー・ブリザールは、1755年にフランス・ボルドーで誕生し、「マリブリ」の愛称で世界中のバーテンダーやパティシエに親しまれてきたリキュールメーカー。ジョリーチェリー(ジョリ チェリー)は、厳選されたサクランボをブランデーに浸して造られる、華やかな香りとまろやかな味わいが魅力の1本です。飲用はもちろん、製菓用にも大活躍。(リキュールタイプ)
アルコール度数:24度

ヒーリング チェリー リキュール(デンマーク)

デンマークのピーター・ヒーリング氏が1818年に考案したチェリーブランデーの代表銘柄。「チェリーヒーリング」の別称でも知られています。サクランボを種ごと潰して中性スピリッツに浸し、蒸溜・熟成して仕上げるその味わいは、ライトでナチュラル。「シンガポール・スリング」や「キス・イン・ザ・ダーク」、「チェリーブロッサム」など、多くのカクテルに使われています。(リキュールタイプ)
アルコール度数:24%

ジンジャ・デ・オビドス(ポルトガル)

「ジンジャ・デ・オビドス」は、サクランボの果実が入ったポルトガルで人気のリキュールです。一つひとつていねいに摘んだサクランボを原料に、添加物を使わず、秘伝のレシピでじっくり仕上げた、食前酒に最適な逸品です。おすすめの飲み方はストレートですが、ロックや水割り、ソーダ割りなどでもおいしくいただけます。また、アイスクリームにかけたり、チョコレートと合わせたりしてもたのしめます。
アルコール度数:19度

輸入元:株式会社メルカード・ポルトガル
商品情報はこちら

チェリーブランデーの定番カクテル

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シンガポール・スリング

チェリーブランデーが欠かせない、世界的に有名なクラシカルカクテルといえば「シンガポール スリング」。1915年にシンガポールのラッフルズホテルで考案された、ドライ・ジンベースのトロピカルカクテルです。

「シンガポール スリング」で表現されているイメージは、イギリスの小説家サマセット・モームが、「エキゾチックな東洋の神秘」と称えたシンガポールの夕暮れだということは、よく知られるところ。その夕景の色合いを表すために活用されているのが、赤い色が魅力のチェリーブランデーなのです。

そのレシピはさまざまですが、かんたんな作り方は、ドライジン45ミリリットル、レモンジュースとチェリーブランデー各20ミリリットルをシェイカーでシェークし、氷を入れたグラスに注いだ後、ソーダを適量加えて、軽くかき混ぜます。仕上げに、カットしたオレンジやスライスしたレモンなど、好みのフルーツを飾ると、トロピカルな雰囲気をたのしめます。

コンカドロ

チェリーブランデーを使用したカクテルのなかでも、アルコール度数がやや高めなのが、「コンカドロ」です。イタリア語で「黄金の谷」を意味するこのカクテルは、1955年にオランダ・アムステルダムで開催された国際カクテルコンペティションの優勝作品。その名のとおり、黄金色がカクテルグラスによく映えます。

作り方は、シェイカーにドライジン45ミリリットルと、チェリーブランデー、ホワイトキュラソー、マラスキーノリキュールを5~8ミリリットルずつ加えて氷と一緒にシェーク。カクテルグラスに注いだら完成です。

キス・イン・ザ・ダーク

チェリーブランデーを使ったスタンダードなカクテルに、「キス・イン・ザ・ダーク」があります。「暗闇のなかでキス」とはなんともロマンティックな名称ですが、その起源は明らかになっていません。

作り方は、ドライジンとドライベルモット、チェリーブランデーを等量ずつ、氷とともにミキシンググラスに入れてステアするだけ。カクテルグラスに注がれた真紅のカクテルは、ほんのり甘い大人の味です。ただし、アルコール度数はやや高めなので、飲みすぎないよう気をつけたいものです。

ハンター

チェリーブランデーとウイスキーで作る「ハンター」は、古くから伝わるスタンダードなカクテル。「狩人」を意味するカクテル名は、野山で狩りをするハンターではなく、「都会の夜のハンター」をイメージしてつけられたそう。

基本レシピでは、ウイスキーとチェリーブランデーを3:1の比率で使用しますが、甘口派向けの2:1のレシピも存在します。これらを氷入りのシェイカーでシェークして、カクテルグラスに注げば完成。ウイスキーの濃厚な風味とチェリーブランデーの甘味のハーモニーをたのしんで。

日本発の名作カクテル「チェリーブロッサム」

チェリーブランデーを使った日本発の有名なカクテルに、「チェリーブロッサム」があります。

チェリーブロッサムは、大正12年(1923年)にオープンした、横浜で最古といわれる伝説的なバー「パリ」のオーナー、田尾多三郎氏が考案し、その後、世界に広まったカクテルの名作です。

桜の花をモチーフとしたカクテルですが、その色合いは、日本でよく目にするソメイヨシノのような淡いピンク色というより、アメリカンチェリーの色味に近いシックな赤い色です。

作り方は、チェリーブランデーとブランデー各30ミリリットルと、オレンジキュラソー、レモンジュース、グレナデンシロップ各4、5滴をシェイカーでシェークして、カクテルグラスに注げばできあがり。なおレシピによって氷を使う場合と使わない場合があります。

サクランボが原料のチェリーブランデーと、同じく果物を原料にしたブランデーとの組み合わせは相性バツグン。一度、試してみてはいかがでしょう。

チェリーブランデーは、豊かな果実味とほのかな甘さが特徴のリキュールやサクランボのブランデー。それぞれのタイプの特性に合わせてその魅力を堪能してくださいね。

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