「リモンチェッロ」はイタリア南部発祥のレモンリキュール!味わいや作り方、おいしい飲み方まで紹介

「リモンチェッロ」は、南イタリアで生まれた伝統的なレモンリキュール。濃厚なレモンの香りが特徴で、食後酒として親しまれています。今回はリモンチェッロの歴史をはじめ自家製リモンチェッロの作り方やおすすめ銘柄、おいしい飲み方まで詳しく紹介します。
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「リモンチェッロ」は、レモンの皮を使った甘いリキュール。まずは基本情報からみていきます。
リモンチェッロとは?

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ここではリモンチェッロの歴史や味わい、アルコール度数を紹介します。
リモンチェッロは南イタリア生まれのレモンリキュール
リモンチェッロとは、レモンの表皮だけを高濃度のアルコールに浸してエッセンスを抽出し、シロップで加糖して造る南イタリア生まれのレモンリキュールです。
リモンチェッロの起源については諸説あり結論は出ていませんが、もっとも伝統があり、今もリモンチェッロの名産地として名高いのは南イタリアのカンパニア州。とくにソレント、カプリ島、アマルフィ海岸沿いで、この地域は最高のレモンを育てるのに最適な土壌と気候を備えています。
FEDERVINI(フィデルヴィーニ/イタリアのワイン・スピリッツ・リキュール業界団体)の公式見解によれば、1988年に「リモンチェッロ」というブランドを最初に登録したのは、カプリ島の小さな宿でゲストにおいしい自家製レモンリキュールをふるまっていたオーナーの子孫マッシモ・カナーレ氏ですが、ソレントやアマルフィにもリモンチェッロの発祥にまつわる伝説や物語が数多く存在しているそうです。
リモンチェッロはもともと家族のなかで何世代にもわたって受け継がれるレシピがあり、農民や漁師が朝の寒さ対策に飲んでいた、あるいは修道士が祈りの合間にたのしむために修道院で作られ始めたなどさまざまな逸話があり、興味は尽きません。

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リモンチェッロの味わいの特徴はさわやかな甘味とほのかな苦味にあり
リモンチェッロの味の特徴は、濃縮されたレモンの風味とさわやかな甘味。後味にはほんのり心地よいレモンピールのビター感が残り、清涼感のある余韻を残して消えていきます。
すっきりとしたシトラスらしい香りと絶妙な酸味とのバランスもよく、ストレートでもじつに飲みやすいリキュール。なかにはレモンの酸味が感じられるものもありますが、その度合いは銘柄により異なります。
ソフトドリンクやスイーツにフルーティーで清冽な柑橘の風味を加える甘味料のような使い方がされているのも納得のおいしさです。

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リモンチェッロのアルコール度数は30度前後とやや高め
リモンチェッロのアルコール度数は25〜32度程度。ボリュームゾーンは30度で、アルコール度数はやや高めといえます。
リモンチェッロの約30度というアルコール度数はウイスキーやジン、ウォッカ、テキーラ(約40度)にはおよびませんが、ビール(約5度)や日本酒(約13〜15度)、ワイン(約12〜15度)と比べるとかなり強く、焼酎(約20〜25度)と同程度か少し高い度数になります。
ストレートで飲むとアルコールの刺激をしっかり感じる強さがあるものの口当たりがよく、ついつい飲み進めてしまいそうになるので、くれぐれも飲み過ぎには注意しましょう。
リモンチェッロは食後酒として親しまれてきたお酒

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リモンチェッロは、グラッパやアマーロなどと並ぶイタリアの代表的な食後酒のひとつです。
イタリアには、食後酒(Digestivo/ディジェスティーヴォ)をたのしむ習慣があり、食事の締めくくりに強めの蒸溜酒やリキュールを小さめのグラスで少量、ストレートでたしなむのがイタリア流なのだとか。
「Digestivo」という言葉には「消化を助ける」といった意味があるそうで、お肉やパスタをたっぷりおなかにおさめた後にリモンチェッロのさわやかな香味で締めくくれば、口の中もすっきり。心地よい余韻をたのしむことができます。
南イタリアで生まれ、イタリアのにぎやかな食事風景を彩ってきたリモンチェッロ。いまやイタリアの名産品としてたくさんの銘柄が生まれているリモンチェッロですが、家庭で作られるホームリカーといった側面もあります。日本でいえば梅酒のような存在、といえばわかりやすいでしょうか。各家庭に独自のレシピがあり、それぞれの「マンマ(母)の味」があるそうです。
そこで次の章では、自家製リモンチェッロの作り方を紹介します。
自宅でもかんたん!リモンチェッロの作り方

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リモンチェッロは自宅でもかんたんに作ることができます。日本でなじみ深い梅酒やゆず酒、レモン酒などの作り方とリモンチェッロの作り方の違いは、以下のとおりです。
(1)果実ごと使う梅酒やゆず酒、レモン酒に対し、リモンチェッロはレモンの皮の黄色いところだけを使います。
(2)ホワイトリカーと氷砂糖に果実を漬けるレシピの多い梅酒やゆず酒、レモン酒に対し、リモンチェッロはホワイトリカーよりもアルコール度数が高いスピリッツにまず皮だけを漬け、エキスを抽出したあとにシロップと混ぜます。

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自家製リモンチェッロの材料と選び方のポイント
自家製リモンチェッロの材料は意外にもシンプル。レモンとスピリッツ、砂糖と水だけです。
<自家製リモンチェッロの材料
◇レモン…10〜15個
◇スピリタス(ウォッカ)…1本(500ミリリットル)
◇グラニュー糖…700〜900グラム
◇水…1リットル
<材料選びのポイント>
1. レモンは皮のみを使うため、できれば無農薬で果実の表面に防腐剤やワックスが使われていないものを選びましょう。
2. スピリッツは、街のリカーショップやスーパーのお酒コーナー、ネットショップなどで比較的入手しやすいポーランド産の「スピリタス」というお酒がおすすめです。「スピリタス」はウォッカの一種でアルコール度数が96度あり、リモンチェッロの仕込みに向いています。

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自家製リモンチェッロの仕込み方
材料が準備できたら、仕込みに取りかかりましょう。リモンチェッロの仕込みから完成までは3週間〜1カ月くらいです。
<自家製リモンチェッロ作りの手順>
1. 密閉できるガラスの保存容器を煮沸消毒し、乾かしておきます。
2. レモンを水でよく洗って表面の凹凸部分の汚れなどを取り除き、水気が残らないよう清潔な布巾やキッチンペーパーで拭きます。
3. ピーラー(皮むき器)やナイフでレモンの表面の黄色い部分だけを薄く剥きます。白いわたの部分が入ると苦くなるので取り除きましょう。
4. 保存容器に薄く剥いたレモンの皮を入れてスピリタスを静かに注ぎ、蓋をしっかり閉めます。スピリタスはアルコール度数が非常に高いので、このとき火気は厳禁です。
5. 10〜20日くらい冷暗所で漬け込みます。途中様子を見てときどき容器を揺らし、レモンの皮が白っぽくなってスピリタスが黄色く色づいたら漬け込み完了の合図。ふきんやストレーナーで濾して皮を取り除きます。
6. 漬け込みが完了するタイミングでシロップを作ります。水とグラニュー糖を合わせて加熱し、グラニュー糖が完全に溶けて沸騰したら火を止めて冷ましておきます。
7. 黄色く色づいたスピリタスと冷めたシロップを保存容器に入れ、7〜10日程度冷暗所で寝かせれば自家製リモンチェッロの完成です。
<保存方法>
冷暗所で保存しましょう。

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リモンチェッロを作る際の注意点
自家製のリモンチェッロを作る場合は、酒税法に抵触しないよう注意する必要があります。
本来、お酒にほかの物品を混和し、できあがったものが酒類である場合は新たに酒類を製造したものとみなされ、酒類製造免許を持たない消費者がみなし製造を行うと酒税法違反に問われる可能性があります。
ただし次のような要件を満たせば「新たな酒類を製造したものとはみなされない」という例外があるので必ずチェックしておきましょう。
◇ベースとなる酒類がアルコール分20度以上で酒税が課税済みであること。
◇本人と同居親族が消費するための酒類であること。
「他人からの委託で作ること」「できあがったものを販売すること」は違法となります。
◇酒類に次の物品を混ぜていないこと。
1. 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
2. ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3. アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
自家製リモンチェッロを作る際の注意点は以上です。詳細は以下のサイトを参照してください。
(参考)
国税庁|【自家醸造】
国税庁|法令解釈通達 酒税法第43条 みなし製造
e-GOV 法令検索|酒税法
本場の味!リモンチェッロのおすすめ銘柄
材料が手に入れば比較的気軽にトライできる自家製リモンチェッロ。とはいえ自家製を作る前にしっかり本場の味を確かめておくのもおすすめです。
南イタリアのレモンの名産地といえばソレントとアマルフィ。ここではソレント産、アマルフィ産それぞれのレモンを使用したおすすめ銘柄を紹介します。
リモンチェッロ・ディ・カプリ|ソレント産フェッミネッロ種レモンを使用

出典:モンテ物産株式会社サイト
「リモンチェッロ・ディ・カプリ」のルーツは、20世紀初頭のカプリ島で「ペンシオーネ マリアントニア」を経営していたヴィチェンツァ カナーレ女史の自家製レモンリキュール。1988年に彼女の子孫が会社を設立、一族の伝統を引き継ぐ厳格なレシピと職人の技で高品質なレモンチェッロを作り続けています。
EUのI.G.P.(地理的表示保護)認定を受けたソレントレモンの皮のみを使用し、着色料、香料、保存料は一切無添加。豊かで香り高いレモンのエッセンシャルオイルを存分に堪能できるさわやかな甘さが特徴です。
アルコール度数:30度
製造元:Limoncello di Capri S.r.l.
国内販売元:モンテ物産株式会社
公式サイトはこちら
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リモンチェッロ アマルフィ バイオリンボトル|世界遺産の地に伝わる味

画像提供:株式会社モトックス
社名の頭に「Liquorificio Artigianale(Artisan Liquor Factory/職人の酒工場)」という言葉を冠した「プロフーミ・デッラ・コスティエーラ」社。その名のとおり長年自家用のリモンチェッロを作り続けてきたオーナーのマンスィ家が、伝統的な手法でこだわりのリモンチェッロを生産しています。
使用するのはEUのI.G.P認定を受けたアマルフィ産のレモンのみ。農家家から毎日届く採れたてのレモンを職人の手作業で仕込み、着色料・香料・保存料はゼロ。すがすがしいレモンの香りと心地よい甘味と苦味をたのしめます。バイオリン型のボトルはプレゼントにもぴったりです。
アルコール度数:32度
製造元:Liquorificio Artigianale Profumi della Costiera(プロフーミ・デッラ・コスティエーラ)
国内販売元:株式会社モトックス
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リモンチェッロのおいしい飲み方

Natalia Van Doninck / Shutterstock.com
ここからは市販の銘柄や手作りのリモンチェッロをおいしくたのしむ方法を紹介します。
ストレートやソーダ割りでさわやかな風味をたのしむ
リモンチェッロの本場イタリアで、リモンチェッロの定番の飲み方はストレートです。冷凍庫でキンキンに冷やしたリモンチェッロを小ぶりなリキュールグラスに少量入れてきゅっと飲み干せば、すがすがしいレモンの香味が広がって気分爽快。
ただしアルコール度数は高めなので、その後はたっぷりのクラッシュアイスやソーダを入れてゆったりリモンチェッロの風味をたのしみましょう。
ちなみにアルコール度数30度程度のリモンチェッロは家庭用の冷凍庫に入れておいても凍ってしまうことはほぼありません。冷凍庫で冷やしたリモンチェッロはややとろっとしたテクスチャーになり、口あたりもまろやかになります。

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カクテルでたのしむ!おすすめは「アマルフィ」
リモンチェッロのさわやかな芳香は炭酸飲料やジュースとの相性も抜群。自宅で気軽にリモンチェッロをたのしみたいときは、好みのソフトドリンクで割るだけのお手軽カクテルがおすすめです。
リモンチェッロはトニックウォーターやジンジャーエール、コーラをはじめ、オレンジジュースやパイナップルジュースなどのフルーツジュースともよく合います。レモンスカッシュで割ればレモンプラスレモンの香り豊かなレモンサワーのできあがり。意外なところではリモンチェッロと牛乳(ミルク)の相性もグッド。「大人のレモン牛乳」といった感じのたのしみ方ができます。
リモンチェッロを使った本格派のカクテルをたのしみたいときは「アマルフィ」がおすすめです。
氷を入れたグラスにリモンチェッロ、ドライジン、カンパリ®それぞれ20ミリリットルずつにオレンジジュース30ミリリットルを合わせ、イタリアを代表するスパークリングワイン「プロセッコ」を注げばできあがり。柑橘の甘さと酸味にちょっとドライで苦味の利いたカクテル「アマルフィ」は、のどごし爽快な一杯です。

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かき氷やアイスにかけてもおいしい
リモンチェッロはレモンシロップのような使い方もできます。甘くほんのりビターなレモンの風味を生かし、かき氷やアイスクリーム、パフェにそのままかけたり、ゼリーやグラニテ(シャーベット)、ジャム、パウンドケーキに風味づけしたり。お手製スイーツにレモンのフレーバーをプラスしたいときは、リモンチェッロを使ったさまざまなレシピを検索してみましょう。
リモンチェッロは南イタリアを代表するリキュール。アイスやホットの紅茶に加えればリラックスタイムにぴったりのレモンティーとしてもたのしめます。どんな割り材とも相性がよく、スイーツにも使えるリモンチェッロを一度試してみませんか。
