【リキュールの飲み方入門編】歴史や種類を知っておいしく飲もう!
リキュールといえば、カクテルに欠かせない身近なお酒ですが、その定義をきちんと説明できる人は意外と少ないのでは? ここでは、リキュールをより深くたのしむための入門編として、その歴史や、多種多様なバリエーションについて説明します。
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リキュールってそもそもどんなお酒?
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リキュールといえば、カクテルに使われる洋酒のこととは知っていても、他のお酒とはどう違うのか、具体的な定義までは知らないという人も少なくないはずです。
一般的に「リキュール」とは、スピリッツにハーブ(薬草・香草)や果実などの香味を移したり、甘味を加えたりして仕上げたお酒を意味します。
スピリッツとは、ウイスキーやジン、ウオッカなどの蒸溜酒のこと。ビールやワインなどの醸造酒に香味や甘味を加えても、リキュールとはなりません。とはいえ、リキュールの細かな定義は国や地域によって異なり、たとえば日本では日本酒ベースのリキュールも販売されています。
「スピリッツに香味や甘味を加えたもの」と聞いて、かなりアバウトな定義だと思うかもしれませんが、その自由さこそがリキュールの魅力といえるでしょう。
世界には数え切れないほどたくさんのリキュールが存在しています。現在もなお、新たな香りや味を加えた新たなリキュールが生み出され、それらの組み合わせによって、新たなカクテルが創造されているのです。
リキュールの奥深い歴史に迫る
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リキュールという言葉は、もともとラテン語で「液体」を意味するリクォル、あるいは「溶かす」を意味する「リケファケレ」が、フランス風になまったもの。この語源からも、そもそもリキュールとは薬草や果実などの成分が溶け込んだ液体だということがわかります。
歴史上、リキュールを初めて生み出したのは、紀元前4世紀に活躍した古代ギリシャの医師ヒポクラテスだといわれています。当時のリキュールはワインに薬草を溶かしたもので、嗜好品ではなく薬酒として飲まれていたようです。
スピリッツをベースにしたリキュールが考案されたのは、それからかなり後、13世紀になってからのこと。当時のヨーロッパで活躍していた錬金術師たちが、やはり薬酒として用いていました。
リキュールが嗜好品としてたのしまれるようになったのは、ヨーロッパが中世から近世へと転換しつつあった15世紀後半になってから。当初は王侯貴族の間でたのしまれていたものが、次第に大衆にも広まっていきました。
大航海時代を迎えて、新大陸からさまざまな香料や香草がもたらされたことも、リキュールの発展に大きな影響を与えたと考えられています。
リキュールの種類はじつにさまざま
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リキュールは、「スピリッツに香味と甘味を加えたもの」という定義のゆるさもあって、数え切れないほど多様な種類があります。
分類方も、原料となるスピリッツによるもの、製造法によるもの、といろいろあります。なかでもポピュラーなのが、香味成分による分類で、以下の4種類に分けられます。
【ハーブ・スパイス系リキュール】
香草や薬草を用いた、リキュールの起源ともいえるお酒です。後述のフルーツ系、ナッツ・ビーンズ系リキュールにアクセントとしてハーブの香りを加えることもあり、リキュールになくてはならないものといえます。
【フルーツ系リキュール】
多種多様なフルーツを用いたリキュールがあり、オレンジ系リキュール、カシス系リキュール、バナナ系リキュールなどに細分化されます。
【ナッツ・ビーンズ系】
ナッツ類やカカオ豆、コーヒー豆などで香りを付けたリキュール。バニラ系も含まれます。甘味のあるリキュールが多く、洋菓子の材料としても活躍します。
【その他のリキュール】
クリームや卵を用いたリキュールなど、近年、新たな発想で生まれたリキュールが分類されます。
この分類は、あくまでも現在の一般的なもの。こうした分類に納まりきらない斬新なリキュールが、これから次々と創造されることでしょう。
リキュールの世界はじつに奥深く、無限ともいえる広がりを見せるもの。リキュールに親しむことで、お酒のたのしみ方がさらに広がるはずです。