甘いウイスキーにハマってみよう! 甘く感じる理由とおすすめ銘柄を紹介

甘いウイスキーにハマってみよう! 甘く感じる理由とおすすめ銘柄を紹介
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糖質が含まれないウイスキーが甘いと感じるのは、熟成樽や原料に含まれる甘い香りの成分によるものです。熟成させる樽や使われる原料によってかわる”甘味”に注目してウイスキーのご紹介をしてまいります。

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甘いウイスキー? 糖分を含まないウイスキーを甘く感じる理由

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エタノールの刺激が脳に送る「甘い」サイン

ウイスキーの銘柄には、バニラやカラメル、チョコレートのような甘さが感じられるものが少なくありません。ウイスキーに甘味を感じる理由は、アルコールの一種である「エタノール」が口の中の粘膜を刺激して、その刺激を脳が心地よいと錯覚するためといわれています。そこへバニラやカラメルなど甘さを連想させる香りが加わると、ことさら「甘い」と感じるのだとか。反対に、アルコールによる刺激を心地よいと感じない人は、同じ刺激であっても「辛い」と感じるそうです。

「甘い香り」も甘さを感じさせる

「甘い」といわれてまず連想されるのが「糖分」ですが、じつはウイスキーやブランデー、ジン、ウォッカ、焼酎などの蒸溜酒には糖質はまったく含まれていません。蒸溜過程で原料由来の雑味などが取り除かれ、糖質もゼロになるのです。

なぜ甘味成分がないのに甘く感じるのかというと、それには味ではなく「甘い香り」が関係しているといわれています。

ウイスキーに甘い香りをもたらす要素は大きく分けて2つあります。ひとつは、内側を焦がしたオーク樽などの熟成樽。もうひとつは、トウモロコシや大麦などの原料です。これら樽や原料に含まれる甘い香り成分により、脳が勘違いして「ウイスキーが甘い」と感じるようです。また樽材や原料の種類によって、ウイスキーの甘さが違って感じられるのも興味深いポイントといえるでしょう。

熟成させる樽によって違うウイスキーの風味と甘味

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ウイスキーは、熟成に用いる樽材の種類により、甘味などの風味が変わってきます。ここでは代表的な樽材の特徴を紹介しましょう。

【アメリカンホワイトオーク/ホワイトオーク】
バーボンウイスキーの多くに用いられている北米産のホワイトオーク樽は、ウイスキーにバニラやココナッツ、甘い香辛料のような風味をもたらします。長期熟成させたものでは、ココナッツミルクのような濃厚な風味が感じられます。

【スパニッシュオーク/コモンオーク】
ポリフェノールやタンニンを多く含むスパニッシュオークは、おもにシェリー樽に用いられています。ウイスキーの熟成に使用すると、ドライフルーツやチョコレート、シナモンのような甘さが付与されます。

【セシルオーク/フレンチオーク】
タンニン量が多いセシルオーク樽で熟成させると、スパイシーな甘さのウイスキーに仕上がる傾向にあります。近年はスコッチウイスキーやジャパニーズウイスキーにも用いられています。

【ミズナラ/ジャパニーズオーク】
希少価値の高いミズナラはジャパニーズウイスキーを象徴する樽材で、長期熟成に向いているといわれています。ミズナラ樽で熟成させたウイスキーには、伽羅(キャラ)や白檀(ビャクダン)のようなアロマや、ハチミツやココナッツ、パイナップルのような甘さが付与されます。

なお、樽の使用回数(フィル)によって、風味の強さが変わってきます。

原料によって違うウイスキーの風味と甘味

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甘いウイスキーの代表格。バーボンウイスキー

「甘く感じるウイスキー」として紹介されるウイスキーの代表格がアメリカのバーボンウイスキーです。

バーボンウイスキーの主原料は、大麦よりも糖分が豊富なトウモロコシ。もちろん糖分は蒸溜によって失われますが、トウモロコシならではの甘い香味成分がウイスキーに残り、甘さを感じさせます。

もうひとつバーボンウイスキーの甘さには、「内側を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成させる」という製法も関わっています。オーク樽を焦がしたときに生まれるバニリンという香味成分は、ウイスキーにバニラのような甘い香りをもたらします。これがバーボンウイスキーの甘さを生み出す一要素となっています。

なお、バーボンのなかでも甘さを感じる特徴的な銘柄としては、以下の2銘柄が挙げられます。

【メーカーズマーク】
赤い封蝋が特徴のバーボン。華やかな香りとまろやかな味わい、バニラのような甘い後味がたのしめます。

販売元:サントリーホールディングス株式会社
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【エズラ・ブルックス】
通常のバーボンよりも、トウモロコシの比率が高いことで知られる銘柄。原料や樽由来の甘い香りと、なめらかで芳醇な味わいが特徴です。

販売元:富士貿易株式会社
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熟成させる樽が甘味をプラス。スコッチウイスキー

イギリスのスコッチウイスキーの熟成には、一度ほかのお酒の貯蔵に使われた空き樽を使用することがほとんどです。そのため、樽材の成分だけでなく、もともと詰められていたお酒の風味もウイスキーの個性を左右します。当然、甘い香りが強く残る樽を使えば、甘い香りのウイスキーに仕上がりやすくなります。

たとえば、バーボンの空き樽を使えばバニラのような甘さが、極甘口で知られるフランスの貴腐ワイン「ソーテルヌ」の空き樽を使えば、ハチミツのような甘さがもたらされます。また、ペドロ・ヒメネスという甘味の強いブドウで造ったシェリー酒の空き樽を使えば、ドライフルーツのような甘い香味が付与されます。使用する樽によって多彩な甘さをたのしめるのが魅力といえるでしょう。

もちろん、銘柄によっては原料の甘味も感じられます。スコッチウイスキーの原酒はモルトウイスキーとグレーンウイスキーの2種類に大別され、前者は大麦麦芽(モルト)、後者はトウモロコシや小麦などの穀物を原料に造られます。それぞれを口にすれば、原料由来のほのかな甘味を感じることができるでしょう。

甘味を感じるスコッチウイスキーはさまざまありますが、ここでは2銘柄を紹介します。

【アードベッグ】
スモーキーで非常に個性的なアイラモルトのひとつ。クセは強いものの、マンゴーなど南国フルーツのような甘味感とのバランスが絶妙で、一度飲んだら忘れられない味わいです。

販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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【モンキーショルダー】
ウィリアム・グラント&サンズ社が所有する3つの蒸溜所の原酒をブレンドして造られている銘柄。やさしい麦芽の甘味感とリッチでバランスのよい味わいが特徴です。

販売元:三陽物産株式会社
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ミズナラ樽のオリエンタルな甘い香り。ジャパニーズウイスキー

ジャパニーズウイスキーのなかでも、ミズナラ樽らしいオリエンタルで上品な甘い香りを持つ銘柄は、世界のブレンダーやウイスキーファンを魅了しています。味わいはさることながら、国産のミズナラは希少で手に入りにくく高価なため、ミズナラ樽で熟成させたウイスキーの価値をより高めています。

良質なミズナラ樽で長期熟成させたウイスキーの魅力は、なんといっても伽羅や白檀などの香木を想わせる独特の甘い香りとさわやかさ。奥深く重厚な味わいも特徴です。短期熟成でも、ココナッツのような甘い香りを持つバランスのよい味わいに仕上がるようです。

原料の面でいうと、スコッチウイスキーをお手本として発展してきたジャパニーズウイスキーも、前述の大麦麦芽や穀物を使った2つの原酒が基本で、それぞれで原料由来の甘味をたのしめます。ちなみに麦芽の風味が強く感じられる銘柄では、ビスケットをはじめ、焼き立てのトースト、コーンフレーク、グラノーラ、菓子パンなどで甘いフレーバーが表現されます。もちろん、スコッチウイスキーでも同じです。

それでは最後に、希少なミズナラ樽由来の甘さが感じられる銘柄をひとつ紹介しましょう。

【サントリー 山崎】
山崎は伝統的にミズナラを貯蔵樽に使用してきた銘柄です。ノンエイジの山崎は、複数の樽で熟成された原酒がブレンドされていますが、やわらかく華やかな香りとともに、ミズナラ樽由来の甘くなめらかな味わいもたのしめます。

販売元:サントリーホールディングス株式会社
公式サイトはこちら




蒸溜酒であるウイスキーに糖質は含まれていませんが、なかには樽や原料由来の甘い香りによって甘味を感じさせる銘柄もあります。ぜひウイスキーの甘さに注目して、甘味を感じるウイスキーをたのしんでみてくださいね。

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