アメリカンウイスキーの代名詞「バーボン」、その特徴や魅力、味わい方までを大解剖

アメリカンウイスキーの代名詞「バーボン」、その特徴や魅力、味わい方までを大解剖
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バーボンとは、トウモロコシ由来の甘味と独特の樽香が魅力のアメリカンウイスキーの代名詞ともいうべきお酒です。今回は、映画などに描かれるクールなイメージのバーボンの定義や特徴、ほかのウイスキーとの違いなどに焦点を当て、魅力を深掘りしていきます。

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バーボンとは? その定義と誕生秘話

バーボンとは? その定義と誕生秘話

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バーボンの定義

バーボンは、アメリカを代表するウイスキー。名作映画や文学作品、ヒットソングにもたびたび登場し、世界的な知名度を誇っていますが、「バーボンとは?」という問いに正確に答えられる人はあまりいないかもしれません。

まずは、連邦アルコール法に定められた、バーボンを名乗るためのおもな条件から見ていきましょう。

1. アメリカ国内で製造
2. 原料の穀物のうちトウモロコシを51%以上使用
3. アルコール度数80度以下で蒸溜
4. アルコール度数62.5度以下で熟成
5. 内側を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成
6. アルコール度数40度以上で瓶詰め

バーボンは発祥地であるケンタッキー州産というイメージがありますが、同州で造られるのは全体の9割程度。ほかの州で生産されても、上記の条件さえ満たしていればバーボンを名乗ることができます。

バーボンの起源

バーボンの起源は明らかになっていませんが、アメリカ合衆国の独立から間もない1789年、「バーボンの父」の名で知られるバプテスト派の聖職者エライジャ・クレイグが建てた蒸溜所で、偶然の産物として生まれたのが始まりといわれています。クレイグ牧師は蒸溜したウイスキーを内側が焦げた樽に入れたまま忘れてしまい、数年後に開けてみると、赤味を帯びた香り高いウイスキーが完成していたのだとか。

ケンタッキー州にバーボン文化が定着した背景

1970年代、イギリスからの独立戦争で膨れ上がった負債を減らすべく、アメリカ政府がウイスキー税を導入します。すると、これに反対する農民らの間で暴動が巻き起こります。一方、ウイスキー生産者たちはこの税から逃れるように、当時まだ合衆国の領土ではなかったケンタッキー州へ移住。この地の特産物であるトウモロコシを主原料にウイスキー造りを開始し、ケンタッキー州にバーボン文化を定着させたといわれています。

バーボンの語源

バーボンという名は、バーボンの生誕地であるケンタッキー州バーボン郡にちなんでつけられたといわれています。

バーボン郡の語源は、フランス王家の名で知られる「ブルボン(Bourbon)」。アメリカ独立戦争時にフランスがアメリカ側についたことから、のちに第3代アメリカ合衆国大統領となるトーマス・ジェファーソンが、感謝の意を込めてバーボン(Bourbon)郡と名づけたといわれています。

バーボンとほかのアメリカンウイスキーの違いを知ろう

バーボンとほかのアメリカンウイスキーの違いを知ろう

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アメリカンウイスキーとは?

バーボンはアメリカンウイスキーの代名詞といわれていますが、バーボンとアメリカンウイスキーは同義ではありません。アメリカンウイスキーとは、アメリカで生産されるウイスキーの総称で、以下のような条件を満たすものを指します。

1. アメリカ国内で製造
2. 穀物を原料に使用
3. アルコール度数95度以下で蒸溜
4. オーク樽で熟成(例外あり)
5. アルコール度数40度以上で瓶詰め

アメリカンウイスキーの種類

アメリカンウイスキーは、「バーボン(バーボンウイスキー)」のほかにも、「コーンウイスキー」や「モルトウイスキー」「ライウイスキー」「ホイートウイスキー」「テネシーウイスキー」など、さまざまな種類があります。

また熟成期間が2年以上のものを「ストレートバーボン」や「ストレートコーンウイスキー」などと呼び、これらストレートウイスキーにほかのウイスキーやスピリッツをブレンドしたものを「ブレンデッドウイスキー」と呼びます。

バーボンとほかのアメリカンウイスキーの違い

バーボンとほかのアメリカンウイスキーにはどのような違いがあるのでしょうか。ここではおもなアメリカンウイスキーの原料の違いを、比較して見ていきましょう。

◇バーボン(バーボンウイスキー)
原料の穀物のうちトウモロコシを51%以上使用したウイスキー。

◇コーンウイスキー
原料の穀物のうちトウモロコシを80%以上使用したウイスキー。なお、アメリカンウイスキーのなかでもコーンウイスキーは例外的に熟成が義務づけられていません。

◇モルトウイスキー
原料の穀物のうちモルト(大麦麦芽)を51%以上使用したウイスキー。

◇ライウイスキー
原料の穀物のうちライ麦を51%以上使用したウイスキー。

◇ホイートウイスキー
原料の穀物のうちホイート(小麦)を51%以上使用したウイスキー。

◇テネシーウイスキー
テネシー州で造られるウイスキー。バーボンウイスキーに分類されることもありますが、サトウカエデの木炭でろ過を行うのはテネシーウイスキーならではの特徴です。

バーボンの特徴をスコッチとの違いから確認

バーボンの特徴をスコッチとの違いから確認

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バーボンの特徴1:原料

バーボンとしばしば比較されるウイスキーに、スコットランドが世界に誇るスコッチ(スコッチウイスキー)が挙げられますが、両者の違いはどこにあるのでしょうか。まずは原料から見ていきましょう。

バーボンの主原料はトウモロコシ。ほかにも、大麦や小麦、ライ麦などの穀物が用いられます。

一方、スコッチには大麦麦芽(モルト)が使われます。スコッチの原酒は、大麦麦芽のみで造られる「モルトウイスキー」とトウモロコシなどの穀物を主原料とする「グレーンウイスキー」に大別されますが、グレーンウイスキーにも一定量の大麦麦芽を使用することが義務づけられています。

また、バーボンは原料のうちトウモロコシが占める比率を51%以上と決められているのに対し、スコッチのグレーンウイスキーではトウモロコシの比率が定められていません。

バーボンの特徴2:製法

バーボンは、連続式蒸溜機を用いて連続的に蒸溜を行い、アルコール度数80度以下になるように蒸溜を行います。連続式蒸溜機で蒸溜すると雑味がほとんど取り除かれるため、すっきりとした飲み口に仕上がりやすいのが特徴です。

対してスコッチでは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーで蒸溜方法が異なります。バーボンと同じ連続式蒸溜機を使うのはグレーンウイスキー。ただし、蒸溜時のアルコール度数の上限はバーボンよりも高い94.8度以下と定義されています。

一方のモルトウイスキーでは、単式蒸溜機を用いて2~3回蒸溜を繰り返すのが一般的。雑味がほとんど取り除かれる連続式蒸溜機とは違って、原料由来の成分が残りやすいため、豊かな風味と強い個性がたのしめるのが特徴です。

バーボンの特徴3:熟成樽

バーボンとスコッチはどちらも樽熟成を行いますが、使用する樽が異なります。

バーボンの熟成に用いるのは、新品のホワイトオーク樽。この内側をバーナーで焦がしてから使用することで、バーボン独特の色や香味が生まれます。

これに対し、スコッチの熟成に用いられるのは、複数回リユースされる古樽です。多くはバーボンやシェリー、ワインなどの貯蔵に使われた樽をそのまま再利用して貯蔵・熟成させるため、複雑な風味と香りをまとった個性豊かなウイスキーに仕上がります。

バーボンの種類と味わい

バーボンの種類と味わい

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バーボンの種類

バーボンは、その熟成年数やブレンド方法によっていくつかの種類に分類されます。

【ストレートバーボン】

バーボンのなかでも、ひとつの蒸溜所で造られ、2年以上熟成させたものを「ストレートバーボン」と呼びます。日本で流通しているバーボンの多くは、このストレートバーボンです。

【ケンタッキーストレートバーボン】

ケンタッキー州で造られるストレートバーボン。バーボンの多くはこれに相当しますが、ほかの州で生産されたものと区別する目的で、ボトルラベルに明記されることがあります。

【シングルバレルバーボン】

通常のバーボンは複数の樽の原酒をブレンドして商品化されますが、異なる樽同士をブレンドせず、ひとつ(single)の樽のバーボンのみを瓶詰めしたものを「シングルバレルバーボン」といいます。なお、「バレル(barrel)」とは「樽」のことを指します。

【スモールバッチバーボン】

ブレンドに使用する樽の原酒が10種類以下のバーボン。熟成年数や品質にこだわったものが多く、愛好家の間で重宝されています。なお、「バッチ(Batch)」は「ひとまとまり」という意味です。

バーボンの味わい

バーボンは、トウモロコシ由来の甘味と独特の樽香が魅力のウイスキーです。銘柄によって個性は異なりますが、一般にトウモロコシの比率が多いと甘くまろやかに、小麦を多く使うとソフトに、ライ麦の特徴が加わるとスパイシーかつオイリーな味わいになるといわれています。バニラやカラメルにたとえられるその香りは、内側を焦がしたオーク樽がもたらす熟成の恵みといえるでしょう。

スコッチに比べて熟成年数が短いため、荒削りな味わいと評されることもありますが、このワイルドさもまたバーボンの魅力といえそうです。

バーボンのおもな銘柄とたのしみ方

バーボンのおもな銘柄とたのしみ方

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バーボンのおもな銘柄

バーボンのなかには、ウイスキーを飲んだことがない人でも知っているほどポピュラーな銘柄がズラリ。ここでは、日本で親しまれている5銘柄を紹介します。

【I.W.ハーパー/I.W. HARPER】

1877年にドイツ系移民のアイザック・ウォルフ・バーンハイムが造った高級バーボンの草分け的銘柄です。「I.W.ハーパー ゴールドメダル」は洗練された味わいの定番品。熟成されたスムースな味わいをたのしみたい人には、「I.W.ハーパー 12年」もおすすめです。

販売元:キリン

【ワイルドターキー/WILD TURKEY】

ワイルドターキーでは原料が持つ香り豊かなフレーバーを存分に引き出すべく、蒸溜時のアルコール度数を60~65度と低めに設定。また、樽詰め時のアルコール度数を54~55度に留めることで加水量を抑え、熟成が織りなす豊かな風味を残しているのが特徴です。スタンダードボトルのほか、8年以上、13年以上と長期熟成させた原酒を用いた商品もあります。

販売元:カンパリ・グループ CT Spirits Japan
公式サイトはこちら

【フォアローゼズ/Four Roses】

ラベルに描かれた4輪のバラが目を引くこだわりのバーボン。スタンダード商品は、個性の異なる10種の原酒を絶妙なバランスでブレンドした「フォアローゼズ」です。またワンランク上の「フォアローゼズ ブラック」(日本限定販売)では、熟した果実香と樽香のハーモニーが味わえます。

販売元:キリン
公式サイトはこちら

【メイカーズマーク/Maker's Mark】

機械任せではなく、手造りにこだわった個性派ウイスキー。一般的なバーボンにはトウモロコシのほかにライ麦が使われますが、メイカーズマークでは冬小麦を使用することで、ふくらみのあるまろやかな味わいに仕上げています。トレードマークの瓶トップの赤い封蝋は、すべて手作業で装着。同じ形状のものはひとつとして存在しません。

【ブラントン】

「唯一無二のバーボン」の呼び声高いシングルバレルバーボン。一般的なバーボンは味を均一化させるため、複数の樽の原酒をブレンドしますが、「ブラントン」は1樽ごとにボトリングしています。1枚1枚人の手で書き込まれるラベルや8種類のフィギュアを冠したボトルキャップなど、細部にまでこだわりが光っています。

販売元:宝酒造
公式サイトはこちら

バーボンのおいしい飲み方

バーボンの個性をたのしむなら、まずはストレートやオン・ザ・ロックといった王道の飲み方で。アルコール度数が高めなのでミネラルウォーターなどのチェイサーを用意して、独特の香りや味わい、余韻をゆっくり堪能してください。

アルコールに強くない人には、常温の水をバーボンと同量程度注いだトワイスアップのほか、氷入りのグラスに適量の冷水で割って作る水割り、炭酸水やソーダで割るハイボール、2倍量くらいのお湯で割るホットバーボンなどもおすすめです。

なお、バーボンというと、定番の飲み方がサマになるイメージがあるかもしれませんが、ホットミルクと砂糖を加える「カウボーイ」や、パイナップルジュースとともにシェークして作る「ケンタッキー」など、カクテルベースとしても重宝されています。


バーボンの赤味を帯びた色は、都会の夜景やバーカウンター、間接照明に照らされたリビングや書斎など、あらゆる風景によく映えます。お気に入りの場所で、愛好する銘柄を、好みの飲み方で心ゆくまで味わってみてはいかがでしょう。

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