日本酒の名前は多彩! かっこいい名前から読めそうで読めない名前まで、個性あふれる銘柄を紹介

日本酒の名前は多彩! かっこいい名前から読めそうで読めない名前まで、個性あふれる銘柄を紹介
出典 : VTT Studio/ Shutterstock.com

近年日本酒は、ラベルだけでなく名前も個性豊かになりました。日本のお酒らしい雅な名前から、横文字やインパクトのある名前まで多彩です。名前の印象から味わいを想像して日本酒を選ぶのもたのしみひとつ。今回は、珍しい名前の日本酒とその由来をいくつか紹介します。

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日本酒に物語を添える、雅な名前の銘柄

日本酒に物語を添える、雅な名前の銘柄

YURI SUDO/ Shutterstock.com

名前の由来は日本を代表する歌人の詠歌:「春鶯囀乃かもさるゝ蔵」

「春鶯囀乃かもさるゝ蔵」は、「しゅんのうてんのかもさるるくら」と読みます。名前を見てパッと読める人は、かなりの日本酒通でしょう。

このお酒を醸すのは、寛政2年(1790年)より甲府盆地の南端に蔵を構える萬屋醸造店です。雅な銘柄名は、歌人・与謝野晶子の詠んだ歌に由来します。

昭和8年(1933年)、6代目当主・中込旻(あきら)氏の弟さんと親交のあった与謝野晶子が蔵を訪れて、「法隆寺など行く如し 甲斐の御酒 春鶯囀のかもさるる蔵」と詠んだそうで、創業以来の銘柄「一力政宗(いちりきまさむね)」を「春鶯囀(しゅんのうてん)」と改めたといいます。

「春鶯囀乃かもさるゝ蔵」は、「春鶯囀」ブランドを代表する商品で、名前の印象どおり、華やかで上品な味わいの大吟醸酒です。なお、ラベルには与謝野晶子直筆の書がプリントされています。

製造元:株式会社萬屋醸造店
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瀬戸内海の島に伝わる伝説から生まれた名前:「十八盛 青螺姫」

日本酒「十八盛 青螺姫」は、「じゅうはちざかりせいらひめ」と読みます。この商品は、瀬戸内海に面する岡山県倉敷市児島(こじま)に蔵を構える十八盛酒造の看板銘柄、「十八盛」シリーズのひとつです。

「十八盛」は、「娘十八、番茶も出花」に由来します。「青螺姫」という名は、貝の名前と児島に伝わる伝説からつけられました。

「青螺」は岡山でよく獲れる青色の巻貝、螺貝(ニシガイ)のことで、その形状からよく海に浮かぶ島山にたとえられます。そして蔵のある児島には、唐の美しい王女が、風光明媚な児島の海岸に流れ着き、唐の琴を弾いて故郷を想い続けたという伝説があります。「青螺姫」は、螺貝のような島が点在する瀬戸内の美しい景色を眺めながら、故郷を想って琴を弾く王女をイメージして命名されたのです。

「十八盛 青螺姫」は、岡山県産の雄町米を100%使用した山廃純米酒で、乙女のようにやさしく、芳醇な味わいをたのしめます。

なお、ラベルの刷新により、「青螺姫」も順次リニューアルされる予定です。

製造元:十八盛酒造株式会社
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代々当主が引き継ぐ名前を冠した銘柄:「醸し人九平次」

国内はもちろん、フランスを始め海外でも高い人気を誇る日本酒「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」。日本の航空会社の国際線ファーストクラスなどで供されていたことでも知られています。

銘柄名の「九平次」は、創業正保4年(1647年)の萬乗醸造の当主が代々襲名してきた由緒ある名前です。そして「醸し人」は、「醸し人九平次」の生みの親である、15代目の現当主、久野九平次氏のことを指します。

現当主は、自ら「醸造家」を名乗る「醸し人」で、米や水などの原料や手造りに徹底的にこだわり、上品な香りと酸味を持つ渾身の1本を造り上げました。それが「醸し人九平次」です。フランスへ進出するとさらに評判が高まり、一躍その名を広めることになりました。

「様々な表情を見せる香り」と「美しいエレガントな酸」を有する「醸し人九平次」は、ワイングラスに合う日本酒として、多くの人に愛されています。

製造元:株式会社萬乗醸造
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洋風でスタイリッシュな名前の日本酒銘柄

洋風でスタイリッシュな名前の日本酒銘柄

Touch of eyes/ Shutterstock.com

使用酵母「6号酵母」に由来する名前:「新政 NO.6(ナンバーシックス)」

「NO.6」は秋田県の新政酒造が造る日本酒です。蔵元の代表銘柄「新政 NO.6」は、革新的な試みと斬新なアイデアで生み出された日本酒で、国内外で高い人気を誇ります。

「NO.6」の銘柄名は、「新政」のもろみから採取した「きょうかい6号酵母」のことを指しています。6号酵母の魅力をダイレクトに表現した商品で、新政酒造で唯一の定番生酒です。

「NO.6」を生み出したのは、現当主の佐藤祐輔氏。2007年に蔵に戻り、2011年にリリースしたシリーズで、ボトルに大きく数字の6がデザインされているのが特徴です。爽やかさときらめくような酸味が魅力で、たくさんの日本酒ファンに支持されています。

製造元:新政酒造株式会社
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まるでワインのような名前の銘柄:「ソガペール・エ・フィス」

「ソガペール・エ・フィス」は、名前だけでなく、ワインのエチケットのようなラベルで、見た目もワインのような日本酒です。それもそのはずで、この日本酒を造っているのは、長野の小布施ワイナリーです。

小布施ワイナリーでは、ワイン造りが終わった冬の間、ワイン醸造における技術向上のための研究目的で、ごく少量の日本酒を醸しています。

「ソガペール・エ・フィス」の「ソガ」は、創業者一族であり、四代目の曽我彰彦氏の苗字を表し、以下はフランス語で、「pere(ペール)」は「父」、「et(エ)」は「&」、「fils(フィス)」は「子」を意味します。

「ソガペール・エ・フィス」は、毎年造りが変わること、出荷数が少ないことから幻の日本酒ともいわれています。

名前が読めない!? 「十九」の季節限定シリーズ:「Snowflake」など

長野市にある小さな蔵元・尾澤酒造場の代表銘柄「十九(じゅうく)」の季節商品は、キュートなラベルと横文字の名前が特徴です。4つの銘柄名を紹介します。

冬の限定酒名は英語の「Snowflake」。読み方は「スノーフレイク」で、「雪片」を意味します。ボトルに描かれた雪の結晶が目印。

春の限定酒名はフランス語の「Le cerisier rose m'apporte」で、「ル・スリジェ・ローズ・マポルテ」と読みます。「桜の花が春の訪れを教えてくれる」という意味で、ボトルに桜の花があしらわれています。

夏の限定酒名は、フランス語の「Le chat botte」。読み方は「ル・シャ・ボテ」で「長靴を履いた猫」を意味します。ボトルにはもちろん、長靴を履いた猫がデザインされています。

秋の限定酒はイタリア語の「In bocca al lupo!」で、「イン・ボッカ・アッ・ルーポ」と読みます。直訳すると「オオカミの口の中へ」ですが、「頑張って!」「幸運を!」などの意味で使われるそう。ボトルには遠吠えするオオカミの絵が描かれています。

製造元:株式会社尾澤酒造場
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日本酒の名前とは思えない!? ユニークさと斬新さで人気の銘柄

日本酒の名前とは思えない!? ユニークさと斬新さで人気の銘柄

Kazu Inoue/ Shutterstock.com

名前とラベルに熱い想いが込められている銘柄:「俺の出番」

迫力ある虎の絵と、勢いのある文字で「俺の出番」と書かれたラベルが印象的な、日本酒「俺の出番」は、福島県南会津郡の国権酒造が造る特別本醸造酒です。

昭和60年(1985年)に阪神タイガースが21年ぶりにリーグ優勝し、日本シリーズを制して日本一になった記念に、熱烈なタイガースファンである四代目の細井冷一社長(当時)が嬉しさのあまり造ったといわれています。

淡麗でキリッとした辛さのある飲み口ですが、軟水で仕込まれているので口当たりはやわらかです。

製造元:国権酒造株式会社
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マイナスイメージの名前の由来が気になる銘柄:「三芳菊 残骸」

「三芳菊 残骸(ざんがい) 責めブレンド」は、徳島県の蔵元、三芳菊酒造の銘柄です。三芳菊酒造は、アニメ絵のラベルを導入するなど、いち早く「萌え」を日本酒に取り入れた蔵元ですが、酒名にマイナスイメージの言葉を選んだのはなぜなのでしょう。

「残骸」に詰められているのは、もろみの搾り終わりに圧をかけて搾った「責め」と呼ばれる部分の日本酒です。搾り始めの「あらばしり」や中間に出てくる「中汲み」に対して、「責め」には、「ないものを搾り取る」ようなイメージがあります。そのため、あえて「残骸」と名づけたと考えられています。

とはいえ、味わいはもちろん本格的。「責め」の部分をブレンドした日本酒らしく、濃厚な味わいで飲み応えがあります。

なお、柔軟な感性を持つ三芳菊酒造のラインナップにはほかにも、ユニークなネーミングとラベルの商品がたくさん並んでいます。

三芳菊酒造株式会社 
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メガネがコンセプトのユニークな特別純米酒:「メガネ専用」

「メガネ専用」は、宮城県栗原市に蔵を置く萩野酒造の限定酒です。荻野酒造は、天保11年(1840年)創業の老舗蔵で、銘柄「萩の鶴」で知られています。

特別純米酒「メガネ専用」は、10月1日の「日本酒の日」と「メガネの日」にちなんで発売される商品で、名前の由来は、杜氏をはじめ全員がメガネを着用した蔵人で造っているためだそう。

商品の胴回りのラベルには、「全員メガネの蔵人で造りました」という一文とともにメガネを着用した笑顔のキャラクターが描かれ、肩ラベルには視力検査の際に用いられるCマーク(ランドルト環)がプリントされていて、一目で「メガネ専用」とわかります。

もちろん、裸眼の人も、コンタクトレンズの人もたのしめます。

製造元:萩野酒造株式会社
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日本酒の名前はバラエティに富んでいて、その由来を知ると、もっと好きになりそうですね。ここで挙げた銘柄はほんの一部で、まだまだ個性的な名前の日本酒はたくさんあります。日本酒売り場などでいろいろとチェックしてみてくださいね。

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