愛知の日本酒【醸し人九平次 (かもしびとくへいじ)】世界が認める新時代の日本酒
「醸し人九平次」は、蔵元である萬乗醸造の当主が代々引き継いできた「九平治」という名から命名された日本酒です。国内はもちろん、海外からも注目を集める話題の酒「醸し人九平次」。“革新的な日本酒”と称される、その理由を探ります。
- 更新日:
「醸し人九平次」は若き当主が開発した革新的なお酒
出典:萬乗醸造サイト
「醸し人九平次」を造る萬乗醸造は、正保4年(1647年)創業という歴史ある蔵元です。しかし、1980年代には、当時の日本酒需要低迷を受け、業績不振に直面していました。その状況を打破すべく立ち上がったのが、15代目である現当主、久野九平治氏。大量生産からの脱却をかけて1997年に生み出したブランドこそ「醸し人九平次」でした。
日本酒の新たな可能性を追求するにあたって、久野氏がヒントを求めたのはワインでした。ワインの本場、フランスに蔵人を派遣するという大胆な戦略を実行し、そこで学んだノウハウを日本酒造りに導入。気品と優しさ、懐かしさを感じさせる日本酒造りに力を注ぎました。
こうして生まれた「醸し人九平次」のコンセプトは「熟れた果実味」。一口含めば、心地よい香りとともに、酸味、旨味、深み、キレのいずれもが、絶妙なバランスを保ちながら口のなかに広がります。その立体的でふくよかな味わいが、多くの人を魅了してやみません。
「醸し人九平次」の進化はワイン造りに通ずる
出典:萬乗醸造サイト
「醸し人九平次」の芳醇な味わいを支えているのは、萬乗醸造が自ら育てる米の品質です。たとえば、ラインナップのひとつ「黒田庄に生まれて、」は、酒造好適米の最高峰とされる「山田錦」100%の純米大吟醸。使用される山田錦は、萬乗醸造が兵庫県播磨の黒田庄に自社保有する田んぼで栽培したものです。
日本酒造りは伝統的に、「米は農家が、酒は蔵元が」という考え方が主流です。しかし、ワインはワイナリーが自らブドウ畑を保有し、自社農場で収穫したブドウを使って造るのが基本。日本酒の飛躍のヒントをワインに求めた久野氏が、酒の原料である米の栽培から手掛けるようになったのは、ごく自然なことだったのかもしれません。
萬乗醸造は、かつては安価な酒を大量生産していた時期もありましたが、現在は、職人的な技術が問われる、吟醸と大吟醸のみを造る吟醸蔵に一新。そこで醸される「醸し人九平次」は、久野氏がヒントを求めたフランスの地で、「このお酒は手造りの味がする。ワインもそういう品を選んでいる」という評価を得たといいます。
「醸し人九平次」はフランスの三ツ星レストランでも採用
出典:萬乗醸造サイト
「醸し人九平次」の上品な味わいを評価したのは、日本市場よりも、むしろ久野氏がヒントを求めたフランスが先でした。
三ツ星レストランを含む、パリの多くのホテルやレストランが「醸し人九平次」をワインリストに加え、なかには「醸し人九平次」に合うコース料理をメニューに取り入れるホテルがでてくるほど。
また、活躍はフランスだけでなく、2007年には、アメリカのニューズウィーク誌による「世界が尊敬する日本人100」に、久野氏が選ばれるという偉業も果たしています。
海外で火がついた「醸し人九平次」の評判は海を渡り、逆輸入されるかたちで日本に届きます。まずは国内の地酒ファンが注目し、2017年には、雑誌「Pen」による「ソムリエが選ぶ、おいしい日本酒」にランクイン。JAL(日本航空)国際線ファーストクラスで乗客におもてなしするお酒にも選ばれています。
飛ぶ鳥を落とす勢いで国内外を席巻する「醸し人九平次」ですが、その酒造りは真面目一筋。「日本酒に新しい価値を。日本酒は、まだまだこんなもんじゃない」というシンプルで力強い志が、萬乗醸造を未来に突き動かしているのです。
ワイン造りにヒントを得て、米作りから始まる各工程をていねいな手作業で造られる「醸し九平次」は、米の旨味を心ゆくまで堪能できる1本です。世界が認めたその味わい、一度試してみてはいかがでしょうか。
製造元:株式会社萬乗醸造
公式サイトはこちら