「酒杯(しゅはい)」をめぐる歴史や文化を知ろう【日本酒用語集】

「酒杯(しゅはい)」をめぐる歴史や文化を知ろう【日本酒用語集】
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「酒杯(しゅはい)」は「盃(さかずき)」とも呼ばれる、皿状の形をした酒器の一種です。「酒杯」は日本で古くから使用され、神事や祭事などでも重要な役割を果たしています。今回は、「酒杯」をめぐる歴史や文化、酒器を選ぶ際のポイントについて紹介します。

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「酒杯」は酒器の一種

「酒杯」は酒器の一種

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「酒杯」は神事や祝い事などさまざまな場で使用される

「酒杯/酒盃(しゅはい)」は日本酒を飲むときに使用される皿状の器のことで、「盃(さかずき)」とも呼ばれます。

日本酒を飲むための酒器というと「お猪口(ちょこ)」や「ぐい飲み」などさまざまな種類がありますが、「お猪口」や「ぐい飲み」は一般的に口が広く底がすぼんだ形をしているに対し、「酒杯」は深さのない皿のような形をしていて、下部に高台という小さな円筒の台座がついているのが特徴です。

「酒杯」は、日本文化や伝統のなかで重要な役割を果たしています。お正月などにお酒を飲むときだけでなく、神事や祭事で日本酒を口にするときや、天皇や皇族などが競技の優勝者や勲章・褒章の受章者に授与する賜杯(しはい)としても用いられます。

「酒杯」は長い歴史をもつ器

「酒杯」という表記も、日本で古くから使用されてきました。平安時代中期に編纂された「延喜式(えんぎしき)」には、奈良・平安時代の法律である「律令(りつりょう)」の内容がまとめられていますが、そのなかに「酒坏(さかつき)」という表記を確認することができます。

しかし、この「酒坏」は近代のものとは異なり、「須恵器(すえき)」という素焼きの土器のことを指しているといわれています。また、当時は「坏(つき)」と呼ばれる器をさまざまな飲食物に使用していたといわれ、器自体に酒用、ご飯用、汁物用といった区別はなかったようです。

やがて室町時代になると漆器が発達し、皿や椀、酒杯など、用途ごとに食器が区別されるようになります。そして、美しい漆塗りの酒杯が登場し、武家社会において酒杯を交わす風習が発展していきました。

「酒杯」を交わす文化は古くから存在する

「酒杯」を交わす文化は古くから存在する

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「酒杯」を用いた伝統的な儀式

「酒杯」自体が古くから使用されてきたものですが、日本にはこの「酒杯」を使用した酒にまつわる儀式がいくつも根づいています。

神道において古くから行われている「直会(なおらい)」は、お供えした食物や酒を神事の最後に参加者全員でいただくという儀式。神様に捧げた供物をともにいただくことで、お力を分けてもらうという意味合いがあり、現在は地鎮祭(じちんさい)や上棟式(じょうとうしき)などで見られます。

また、中世から近世にかけて武家社会で定着した「式三献(しきさんこん)」は、日本の儀礼的な酒宴の作法です。一膳の肴と大・中・小一杯ずつの酒の組み合わせを一献として、計三献繰り返すことで接待します。このとき出された酒は、一口、二口目は口につけるだけで、三口目で飲み干すのが一般的な決まりです。

この「式三献」をもとにした儀式である「三三九度」は、三回に分けて注がれた酒を三口で飲む、という動作を三度繰り返すもので、現在も神前での結婚式で行われています。

「乾杯(カンパイ)」の歴史は意外と浅い?

このように、日本には古くから伝わる酒にまつわる儀式や作法がある一方、「乾杯」は比較的新しいしきたりであるといわれています。

「乾杯」の具体的な起源については諸説ありますが、江戸時代末期に外国人の習慣が日本に取り入れられ、明治時代に西洋文化が普及するなかで「乾杯」の所作が広まったと考えられています。

なお、酒杯をあげる際の掛け声は、かつては天皇陛下を讃えることを意味していた「万歳」という言葉が使用されていたそう。それが、明治末期ころに、一般的な祝杯の言葉として、杯の酒を飲み干すという意味の「乾杯」が使用されるようになったといわれています。

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「酒杯」などの酒器を選ぶポイント

「酒杯」などの酒器を選ぶポイント

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酒器の大きさや形状で酒の味わいが変わることも

「酒杯」「お猪口」「ぐい飲み」など、自宅で酒を飲む際には、酒器にもさまざまな選択肢があります。酒器の大きさや形状によって酒の味わいが違って感じられることもあるので、ぜひ適した器を選びたいものです。大きさや形状を判断する際にはとくに、以下に注目するとよいでしょう。

【容量】

大きな酒器は飲むのに時間がかかるため、ゆっくり飲んでいると温度が変化してしまいます。温度変化が起こる前に味わいたい冷酒や燗酒は、小さめの酒器を選ぶとよいでしょう。

【口径・形状】

酒器の口の広さや形によって、酒が空気にふれる表面積が変わるため、香りの立ち方が違ってきます。口径が広くラッパ型の酒器は、香りが広がりやすいので、爽やかな酒に向いています。口径が狭く下が膨らんだツボミ型の酒器は、香りが逃げにくいので、香り高い酒や熱燗に合います。

【角度】

酒器の角度によって、酒の味の感じ方が変わります。酒杯(盃)などラッパ型で角度のあるものは、口の中に酒が早く流れ込んで舌の奥側の酸味や苦味を感じる部分に当たるため辛口に感じやすく、ぐい飲みなどストレート型で角度のないものは、酒が口の中にゆっくりと流れ込んで、まず舌の前側の甘味を感じる部分に当たるため、甘く感じやすいといわれています。

「酒杯」などの酒器選びは素材にもこだわりたい

「酒杯」をはじめとする酒器はその素材によっても、口当たりや温度の伝わり方が異なります。酒器選びの際には、素材にもこだわりたいものです。

【ガラス】

ガラス製の酒器は、涼やかな見た目が魅力です。ガラスの場合、厚みもさまざまなものがあり、たとえばキレのある吟醸酒などは薄いガラスの酒器、純米酒など濃厚な味わいの酒には厚みのある酒器がよく合います。全体的に冷酒に向いた酒器です。

【陶磁器】

陶磁器製の酒器は手ごろな価格のものから高価なものまでさまざまな種類があります。陶磁器製の酒器は保温性もあり、どんな酒とも相性がよいのが魅力です。

【錫器】

日本酒用の酒器としては、錫(すず)でできた酒器も人気があります。錆びにくい金属素材であるだけでなく、日本酒の味わいをまろやかにするともいわれています。

【漆器】

正月のお屠蘇など改まった場で使用されることが多い漆(うるし)の酒器。日常で使う酒器としては一般的ではないイメージがありますが、割れにくく断熱性に優れているという長所があります。また、使いこむうちに見た目に味わいが出てくるのも魅力です。


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「酒杯」は神事や祭事などで使用されるイメージが強い酒器ですが、日常でももちろん使用することができます。見た目にも美しい「酒杯」は、酒席に風情を添えてくれることでしょう。今回紹介した酒器選びのポイントも踏まえて、家飲みに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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