高知の日本酒【船中八策(せんちゅうはっさく):司牡丹酒造】坂本龍馬ゆかりの名を持つ超辛口酒
「船中八策」は、高知県佐川町の蔵元、司牡丹(つかさぼたん)酒造が醸す超辛口の日本酒です。酒名は、土佐出身の幕末の志士、坂本龍馬が示したという新しい国家の構想『船中八策』からつけられました。愛飲家から熱烈な支持を集める「船中八策」の魅力を紹介します。
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「船中八策」の蔵元と「船中八策」の歩み
出典:司牡丹酒造公式フェイスブック
「船中八策」を醸造する「司牡丹酒造」の歩み
「船中八策」は、高知県の中西部に位置する佐川町の蔵元、司牡丹酒造が醸す日本酒です。司牡丹酒造は「司牡丹」という銘柄でも知られています。
その前身は、今から400年以上前、土佐藩(現在の高知県)筆頭家老の深尾重良(ふかおしげよし)が、土佐藩初代藩主、山内一豊(かずとよ)の命で佐川の地を預かることになったとき、重良に従って佐川にやってきた深尾家御用達の造り酒屋と伝わります。
時は下って、大正7年(1918年)、当時いくつかあった佐川の蔵元が結集し、株式会社を設立。佐川出身の政治家、田中光顕(みつあき)が寄せた「天下の芳醇なり、今後は酒の王たるべし」という一筆から、「牡丹は百花の王、さらに牡丹の中の司たるべし」の意を汲み取り、醸した酒に「司牡丹」と名づけたのです。
「船中八策」は販売ルート限定酒として誕生
「船中八策」は、日本名門酒会オリジナルの販売ルート限定酒として、昭和63年(1988年)に誕生しました。
日本名門酒会とは、良質な日本酒を愛飲家に届けるために立ち上げられた地酒流通組織です。酒類問屋の岡永が、司牡丹酒造をはじめ全国12の良蔵元に声を掛け、昭和50年(1975年)に発足。現在は、全国の蔵元約120社、酒販店約1,700社などが加盟しているとされています。
「船中八策」は、辛口ブームの折、「土佐の良質な辛口酒を埋没させてはならない」と、司牡丹酒造と岡永の社長(当時)が想いを共有し、辛口より辛い「超辛口」を造ろうと志したことから生まれました。その想いを飲む人にしっかりと伝え、絶妙なバランスのおいしさを守り続けるため、「船中八策」は、今も日本名門酒会加盟酒販店のみの販売となっています。
「船中八策」と坂本龍馬の関係は?
出典:司牡丹酒造サイト
「船中八策」の名は龍馬が示したという新国家構想に由来
「船中八策」の名は、土佐藩出身の幕末の志士、坂本龍馬が提示したといわれる『船中八策』に由来しています。
『船中八策』とは、慶応3年(1867年)6月、龍馬が京都に上洛する際に乗り込んだ船のなかで、土佐藩士の後藤象二郎に口頭で語ったといわれる新しい国家構想のことです。
龍馬はそのなかで、「朝廷への政権奉還(大政奉還)」「議会の設置」「憲法の制定」などについて述べたとされていて、そのうち「大政奉還」は同年10月に実現。そのほかの構想も、慶応4年(1868年)3月に宣布された「五箇条の御誓文」に引き継がれたといわれています。
龍馬の新時代への想いを映したかのような『船中八策』と同じく、未来を見据えて超辛口酒に挑んだ日本酒「船中八策」は、蔵元と日本名門酒会の志とロマンにあふれた逸品なのです。
「船中八策」の蔵元と龍馬の関わり
「船中八策」を造る司牡丹酒造自体も、じつは坂本龍馬と関わりのある蔵元です。
司牡丹酒造の蔵元・竹村家の屋号は「黒金屋(くろがねや)」といいます。一方、坂本家の本家は「才谷屋(さいたにや)」という屋号の豪商で、質商などのほかに造り酒屋も営んでいました。
当時、司牡丹酒造の前身である黒金屋と才谷屋は頻繁に交流していたようで、竹村家には「才谷屋から酒造株を買った」と書かれた文書が残っているほか、竹村の本家には龍馬が書いた手紙も受け継がれています。
ちなみに、日本酒「司牡丹」は、なんと司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』にも登場します。実際のところは、龍馬の時代にはまだ「司牡丹」という名の酒はありませんでしたが、本家と関わりの深い黒金屋の日本酒なら、実在の龍馬も飲んでいたかもしれませんね。
「船中八策」は冷でも燗でも旨い酒
出典:司牡丹酒造サイト
「船中八策」の旨さの秘密
「船中八策」の旨さの秘密は、「グルコース(ブドウ糖)濃度」の低さにあります。グルコース濃度が高い日本酒は甘味があるので、ひと口めから旨いと感じられますが、1杯で満足してしまったり食が進まなかったりと、場合によっては料理に合わせにくい側面があります。
宴会文化が根づく高知では、どちらかというと食中酒が求められる傾向にあるため、「船中八策」ではその点を考慮して、グルコース濃度を抑え、「食が美味しくなり、ついつい杯が進む酒」をめざしてきました。
そのうえで、薄く辛いだけの酒にならないよう、醪(もろみ)の発酵温度や、上槽後から火入れまでの間の温度管理、火入れのタイミングなどの研究を続け、酒質のブラッシュアップを重ねてきました。
「船中八策」が長きにわたって熱烈に支持される秘訣は、こうした地道な努力にあるのです。
「船中八策」のラインナップ紹介
「船中八策」は、自社培養の熊本酵母を使った、精米歩合60%の超辛口純米酒で、冷酒でも常温でも燗でもおいしくいただけます。自然で上品な香りとなめらかに膨らむ味わい、そしてさらりとした抜群のキレを誇るこの日本酒は、香味のバランスがよいのが特徴です。どんな料理にもよく合う「船中八策」のラインナップを紹介しましょう。
【司牡丹・船中八策】
定番の通年商品。バランスの取れた味わいは絶品。魚介を使った料理のおいしさをとくに引き出す超辛口純米酒。飲むほどによさが発揮される酒で、燗にすると甘味とふくよかさが広がります。
【船中八策・薄にごり生酒】
「船中八策」のラインナップで、もっとも希少で販売期間が短い人気の春季限定商品。薄にごりならではの生命力にあふれる旨さは、山菜や貝類など、ほのかな苦味を持つ春の食材と相性抜群です。
【船中八策・零下生酒】
夏季限定商品。軽快な旨味とさわやかなキレ味が、暑い日にぴったり。初夏が旬の初ガツオとの相性のよさは群を抜いています。このほか、鮎の塩焼きや酢の物などにも合う、夏の超辛口純米生酒です。
【船中八策・ひやおろし】
熟成して旨味たっぷりの味わいとなった秋季限定のひやおろしは、華のある香りと口中に膨らむリッチな旨味が特徴。脂ののった戻りガツオやサンマと合わせるとなお旨い、超辛口の純米原酒です。
【船中八策・しぼりたて】
冬季限定の超辛口しぼりたて純米生原酒。フレッシュでフルーティーな香りと、豊かでどっしりとした味わいが特徴です。冬が旬の食材を使った鍋物や煮物などの料理とともにたのしむと、杯がいっそう進みます。
【船中八策・槽搾り黒】
昔ながらの「槽搾り(ふねしぼり)」を行うなど、大吟醸同様の造りで仕上げた、「船中八策」発売25周年記念のプレミアムバージョン。料理とともに味わう食中酒としては、シリーズ内で最高レベルの酒質を誇る逸品です。
【船中八策・生酛】
手間を惜しまず酒母を育て、じっくりと醸し出す伝統の生酛(きもと)造りで仕込んだ7番目の「船中八策」。定番同様の超辛口の味わいのなかに、生酛特有のやわらかい酸味が感じられる1本です。
【船中八策・八策(やさく)ラベル】
日本酒×作家創作プロジェクト「日本酒ものがたり(にっぽんさけものがたり)」とのコラボレーション商品で、定番酒のラベルが、キャラクター化しています。「日本酒ものがたり」では、『shushu(シュシュ)』というお酒を具現化したキャラクターをいくつか設けていて、「船中八策」は八策というキャラクターで表現されています。
坂本龍馬に由来する司牡丹酒造の「船中八策」は、食事に合わせやすい超辛口の日本酒です。幕末の志士たちのロマンに想いを馳せながら、土佐料理と一緒にたのしんでみてはいかがでしょう。
製造元:司牡丹酒造株式会社
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