【美丈夫(びじょうふ)】とは?上品な香りと口当たりの良さが魅力の高知の日本酒を解説

【美丈夫(びじょうふ)】とは?上品な香りと口当たりの良さが魅力の高知の日本酒を解説
出典 : 濵川商店公式フェイスブック

「美丈夫」は高知の濵川商店が醸す、上品な香りと口当たりの良さが特徴の一品。今回は、「旨い酒を造る」ことをひたすらめざしてきた「美丈夫」についてご紹介します。

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「美丈夫」誕生までの歩み

「美丈夫」誕生までの歩み

出典:濵川商店公式フェイスブック

「美丈夫」の蔵元の歩み

「美丈夫」は、高知県東部の田野町(たのちょう)に蔵を構える、濵川商店の日本酒ブランドです。

代々当主を務める蔵元の濵川家は、江戸時代、木材を扱う廻船問屋を営んでいました。酒造業を開始したのは、明治37年(1904年)のこと。当時の当主が、浜辺で鶴に出合ったことから名づけたという、日本酒「濵乃鶴(はまのつる)」を看板商品に蔵元の歴史が始まりました。

創業時から蔵元を支えてきた「濵乃鶴」は、現在は本醸造「濵乃鶴 別格」として、歴史あるレトロなラベルのままで販売されています。「濵乃鶴」は、現・主力銘柄の「美丈夫」にも通じる、米の旨味と軽快なキレがたのしめる日本酒です。

「美丈夫」の誕生とその名の由来

「美丈夫」が生まれるきっかけとなったのは、濵川商店の現当主、濵川尚明氏が、若き日に東京で吟醸酒と出合い、魅了されたことだといいます。

尚明氏の情熱を実現するべく、蔵元では、昭和60年(1985年)ごろから少量生産の純米酒や吟醸酒造りに取り組み始めました。

以来、ひたすら酒質の向上に努め、平成3年(1991年)に満を持して新ブランドをリリース。期待の新銘柄は、土佐(現在の高知県)出身の幕末の志士、坂本龍馬のイメージから、「容姿の美しい立派な男性」を意味する「美丈夫(びじょうふ)」と名づけられました。酒質のよさから、現在の主力商品となっています。

濵川商店はこれを機に、純米酒および吟醸酒中心のラインナップに転換。近年では、スパークリングタイプの日本酒なども手掛けています。

「美丈夫」の原料の特徴

「美丈夫」の原料の特徴

出典:濵川商店公式フェイスブック

「美丈夫」の仕込み水は超軟水

「美丈夫」の仕込み水に使われているのは、高知県の県木「魚梁瀬杉(ヤナセスギ)」の自生地、魚梁瀬(やなせ)地区の甚吉森(じんきちもり)を源とする奈半利川(なはりがわ)の伏流水です。

国内屈指の超軟水として知られ、この水で仕込むことで、さわやかなキレと口当たりのよさが魅力の、「美丈夫」ならではの味わいが生まれます。

しかし一方で、酵母の栄養となるミネラル分が少ないため、発酵がなかなか進まないなど、日本酒の仕込み水としては扱いが難しい面もあります。濵川商店では、この水の弱い部分を補って長所を活かすため、強い麹を造るなどのさまざまな工夫を行い、清らかな個性を持つ「美丈夫」を醸しています。

「美丈夫」は厳選された原料米で造られる

「美丈夫」には、良質な原料米が使われています。

「最高の米で最高の日本酒を造りたい」という蔵元の思いから厳選されたのは、酒造好適米の王者「山田錦」です。純米大吟醸「美丈夫 夢許(ゆめばかり)」をはじめとするプレミアム商品には、兵庫県加東市東条の特A地区で栽培された山田錦が使われています。

もうひとつ、酒の味わいの決め手となる、「テロワール(土壌)」の視点から選ばれた米もあります。代表的なものは、契約農家が栽培する高知県生まれの酒造好適米「吟の夢(ぎんのゆめ)」や、愛媛県産の「しずく媛(ひめ)」などで、いずれも地元四国産の良米です。

蔵元では、それぞれの米の特性を捉えた酒造りを行い、味わい深い「美丈夫」に仕上げています。

「美丈夫」は名杜氏が醸す日本酒

「美丈夫」は名杜氏が醸す日本酒

出典:濵川商店公式フェイスブック

「美丈夫」の名杜氏が提案した貯蔵方法とは

「美丈夫」を醸す小原昭(おはらあきら)杜氏は、平成22酒造年度から平成29酒造年度まで、8年連続で全国新酒鑑評会の金賞を受賞するなど、数々の賞を受けている名杜氏です。

濵川商店では、小原杜氏の提案で、瓶詰め後に1回だけ火入れを行い、瓶のまま低温で貯蔵するという、フレッシュさを保つ貯蔵方法を採用しています。

この方法は、冷蔵設備に大きな投資が必要なため、通常は大吟醸クラスなど、高級なお酒に用いられる場合が多いもの。しかし、濵川商店では、小原杜氏の提案を快諾し、冷蔵設備を導入して、現在すべての特定名称酒に、この貯蔵方法を用いています。

冷蔵設備を整えたことで、貯蔵以外のほかの工程でも温度管理の徹底が可能になったそう。設備と技術の向上によって、「美丈夫」はさらに高い酒質の美酒へと進化し、他社商品との差別化にも成功しています。

「美丈夫」のラインナップ紹介

「美丈夫」は、「旨い酒」を造ることを目指し、手を掛けて造られてきた日本酒です。「淡麗辛口」を代名詞とする土佐の酒のなかで、やわらかくふくよかな味わいの「美丈夫」は、大きな存在感を放っています。「美丈夫」のラインナップのなかから、いくつか見ていきましょう。

【美丈夫 夢許(ゆめばかり)】

兵庫県産山田錦を精米歩合30%まで磨いて使用。蔵元が追求してきた、研ぎ澄まされた味わいと高貴な香りが堪能できる、プレミアムな純米大吟醸酒です。

【美丈夫 特別純米】

ふっくらとした米の旨味、ほどよい酸味とキレのよさがたのしめる精米歩合60%の特別純米酒。和食にもイタリアンにも合う、人気の食中酒です。

【美丈夫 純麗(じゅんれい)たまラベル】

控えめな柑橘系の吟醸香と、きめ細やかでたおやかな口当たりが印象的な純米吟醸酒。ふくよかな米味を感じさせながら、シャープなキレ味をたのしめる定番酒です。

【美丈夫 舞 うすにごり】

シャンパンのような発泡性の純米大吟醸・生酒。生きた酵母が、瓶内の2次発酵によって、爽快な泡と、華やかで心地よい酸味とキレを生みます。

【美丈夫 しゅわっ!!】

アルコール度数を少し抑えた、すっきり飲みやすい発泡性の吟醸酒。オン・ザ・ロックのほか、レモンやライムを加えるなど、アレンジして飲むのもおすすめです。

【美丈夫 ゆず】

日本酒「美丈夫」と高知県特産のゆずの果汁、そして液糖だけで造ったリキュール酒。フレッシュな香りと素朴な酸味があふれます。カクテルベースとしても活躍します。

濵川商店が醸す「美丈夫」は、上品な香りとキレのよさ、やさしくふくよかな味わいを備えた、まさに容姿端麗の酒。高知県のなかでも異彩を放つ「美丈夫」の味わいを、じっくり堪能してください。

製造元:有限会社濵川商店
公式サイトはこちら

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