「純米吟醸酒」とは? 定義からおすすめ銘柄までを紹介【日本酒用語集】
純米吟醸酒とは、特定名称酒のなかで精米歩合60%以下(玄米を重量にして4割以上削った・精白率40%以下)の白米を原料に吟醸造りで醸し、醸造アルコールを加えないで仕上げた清酒です。芳醇でコクのある純米酒系でありながら、華やかでフルーティーな香りの吟醸酒の特徴を持つ、おすすめの清酒です。
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清酒の定義は? その原料と製法を知ろう
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清酒は「醸造酒」に分類されるお酒
清酒は、酒税法上は「醸造酒類」に分類されます。醸造酒とは、原料をアルコール発酵させ、濾して造られるお酒のこと。酒税法では清酒の条件として、「アルコール分22度未満のお酒で、米、米麹、水を原料に発酵させ、濾したもの」などといったことが、明確に規定されています。
また、清酒は原料の違いによって、大きく「普通酒」と「特定名称酒」の2つに分けられます。このうち特定名称酒は、純米酒、吟醸酒、本醸造酒など計8種類に分類され、それぞれに原料や製法、精米歩合などの条件が定められています。
清酒の一般的な製造工程
まずは、清酒造りの流れをかんたんに見ていきましょう。
主原料となる玄米を磨いて白米にし(精米)、洗米、浸漬、蒸し、製麴、酒母造りを行ったのち、蒸し米・酒母(酛)・麹を仕込んでアルコール発酵させます。発酵を終えたもろみは、上槽という作業で原酒と酒粕に分離。多くの清酒は、これからさらに、滓(おり)引き、ろ過を終えた原酒に火入れを行い、貯蔵、割水、調合などの作業を行います。最後にもう一度火入れを行い、瓶詰めしたら完成です。
清酒は、酒税法に基づきほぼ同じような条件で造られます。それにも関わらず、清酒の個性がそれぞれ異なるのは、蔵元や杜氏が米の種類や精米歩合、種麹、酵母、仕込み水にこだわり、製法などにさまざまな工夫を加えているためです。
清酒は「地理的表示」における日本酒
国税庁では、日本の伝統的な酒類として日本酒のブランド価値を高め、輸出を促進するために、2015年に国レベルの地理的表示として「日本酒」を指定しました。これにより、原料の米に国内産米のみを使用し、日本国内で製造した清酒のみが「日本酒」と認定されることになりました。つまり、外国産のお米や海外で醸造された酒は、「日本酒」と名乗ることはできないのです。これは、日本酒を日本独自のブランドとして守ることにもつながります。
焼酎とは? 酒税法上の定義をおさらい
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「醸造酒」の清酒に対して、焼酎は「蒸溜酒」に分類されるお酒
焼酎は、日本の代表的な蒸溜酒です。酒税法では「蒸溜酒類」に分類され、「アルコール含有物を蒸溜した酒類のうち、連続式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分36度未満、または単式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分45度以下のもののうち、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジンなどに該当しないもの」と定義されています。
なお、焼酎はその蒸溜方式によって「連続式蒸溜焼酎」と「単式蒸溜焼酎」に区分されます。連続式蒸溜焼酎は「甲類焼酎」、単式蒸溜焼酎は「乙類焼酎(本格焼酎)」の名で親しまれています。
清酒よりもアルコール度数が強い、焼酎の一般的な製造工程
焼酎の製法にはさまざまなものがありますが、一般的な本格焼酎(米焼酎)の製造は次のような流れで行われます。
洗米・浸漬した原料米に麹菌を種つけし、製麹を行います。一次仕込みで酵母などを加えて麹を増やし、さらに二次仕込みで水と米を加えて発酵させ、発酵を終えたもろみを蒸溜します。本格焼酎の蒸溜方法には、「常圧蒸溜」と「減圧蒸溜」の2種類があり、それぞれで味わいの異なる原酒ができあがります。この原酒を貯蔵・熟成させたのち、割水、調合などの工程を経て、瓶に詰められ、出荷されます。
なお、同じ米を主原料としていても、焼酎は日本酒よりもアルコール度数の高いお酒に仕上がります。その理由は、蒸溜することによって、アルコール濃度が高まるためです。
「米」が主原料の清酒に対して、焼酎に使われる主原料は多彩
主原料に使われるのは、麦や米、トウモロコシ、そばなどの穀類や、さつまいも、じゃがいもなどの芋類のほか、しそ、ごまなどさまざま。ただし、本格焼酎を造る場合は、国税庁長官が指定する物品を原料に使用することなどの条件が定められています。これら主原料に加えて、穀類や芋類で造った麹、水などを用いて造られるのが焼酎です。
それから、焼酎の個性は、多彩な原料や仕込み水の違いのほか、種麹の種類や仕込み法、蒸溜方法、貯蔵に用いる容器、熟成年数の違いなどによって育まれます。
清酒との違いがわかる焼酎のたのしみ方
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焼酎を多彩な割り方でたのしむ
清酒は、基本的にはストレートでいただくお酒です。対する焼酎は、ストレートだけでなく、氷を加えるオン・ザ・ロック、水割りやお湯割り、チューハイ(焼酎ハイボール)やサワーなど、さまざまな飲み方ができるのが魅力。濃度も自由に調整できるうえ、レモンやライムなどの柑橘類やベリー類とも相性抜群なので、焼酎カクテルにしてもおいしく味わえます。飲む人の好みに合わせてたのしめるのが、焼酎の魅力といえるでしょう。
清酒のように温度の違いでたのしむ
清酒は、温度によって香りや味わいが変化するお酒です。冷やして飲めばスッキリさわやかな印象に、温めて飲めばやわらかくふくらみのある味わいに感じられるでしょう。「花冷え」や「日向燗」「飛び切り燗」などと温度表現も多彩で、同じお酒でも季節や料理、気分に合わせて味の変化をたのしめるのも魅力です。
焼酎もまた、温度によって香りや味わいが変化します。さまざまな温度帯で飲み比べて、清酒との違いをたのしむのも一興。焼酎は清酒よりもアルコール度数が高いため、ストレートではなく前割りしたもの(水で割って冷蔵庫で一晩から数日置いたもの)を、冷やしたり燗につけたりして味わってみてください。
清酒と焼酎の違いは、原料や製法、飲み方からも歴然ですが、どちらも長い歴史を持つ日本の代表的なお酒です。それぞれの特徴を知ったうえで、豊かな個性を堪能してみてはいかがでしょう。