清酒と日本酒の違いを解説!知っておきたい清酒のおいしい飲み方《SAKE DIPLOMA監修》

清酒と日本酒の違いを解説!知っておきたい清酒のおいしい飲み方《SAKE DIPLOMA監修》
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日本酒と清酒、どちらもよく聞く言葉ですが、両者はちがうものなのでしょうか? ちがう意味だとすれば、どう使い分ければよいのでしょう? ここでは、日本酒と清酒の定義について、わかりやすく説明します。ちがいを知ると、お酒をもっとたのしくおいしく飲むことができるかも。

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「清酒」とは日本酒のジャンルのひとつ

「清酒」とは日本酒のジャンルのひとつ

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日本酒と清酒とはどうちがうのか、まずは辞書を引いてみましょう。
日本酒の項目を見ると「日本古来の酒。清酒、合成酒、みりんなど」と説明されています。一方、清酒は「水と米を原料にした、濁っていない酒」とのこと。つまり日本酒は、清酒やみりんなどを含めたお酒の総称であり、清酒はその一種ということになります。

一方、日本の酒税法における定義では、清酒とは「必ず米を使い、“こす”工程がある酒」とされています。
また、国税庁では、日本酒の海外展開とブランド価値の向上を念頭に、2015年に「地理的表示における日本酒」の定義を指定しています。それによると、日本酒とは「原材米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒」となっています。つまり、外国産米を使ったものや、海外で造られたものは、「日本酒」ではないということです。
法律や基準によって少し定義が異なるので、注意が必要です。

日本酒における清酒は精米歩合によってかわる

日本酒における清酒の種類をおさらい

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日本酒と清酒、それぞれの定義がわかったところで、次は清酒の種類について詳しくみていきましょう。

1989年に制定された「清酒の製法品質表示基準」では、造り方によって次の9種類に分類されています。このうち、「一般酒(または普通酒)」以外の8種類を、まとめて「特定名称酒」と呼んでいます。

・精米歩合70%以上:一般酒(または普通酒)
・精米歩合70%以下、醸造アルコールを添加:本醸造酒
・精米歩合60%以下、醸造アルコールを添加:特別本醸造酒
・精米歩合の規定なし、醸造アルコール添加なし:純米酒
・精米歩合60%以下、醸造アルコール添加なし:特別純米酒
・精米歩合60%以下、若干の醸造アルコールを添加:吟醸酒
・精米歩合60%以下、醸造アルコール添加なし:純米吟醸酒
・精米歩合50%以下、若干の醸造アルコールを添加:大吟醸酒
・精米歩合50%以下、醸造アルコール添加なし:純米大吟醸酒

精米歩合とは、原料の米をどれだけ削り、使用する部分が何%残っているかを示す値です。米の中心まで削っていくほど、香りがよい、雑味の少ない清酒になりますが、その分使う米は小さくなります。
また、醸造アルコールとは、でんぷんや糖類を原料とするアルコールのことです。かつては防腐剤として用いられていましたが、現在は、香味の劣化を抑え、あと味をすっきり整える目的で少量添加されます。

米を削る割合は、一般酒、本醸造酒/純米酒、吟醸酒、大吟醸酒の順で高くなります(精米歩合の数字は小さくなります)。また、種類名の最初に「純米」がつくものは、醸造アルコールを含んでいません。
清酒の種類別の特徴をすべて覚えるのはたいへんですが、この2つのポイントを押さえておけば、おおまかなちがいを理解できます。

日本酒の代表格、清酒のおいしい飲み方

日本酒の代表格、清酒のおいしい飲み方

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日本酒と清酒の定義や種類を把握したら、最後は清酒のおいしい飲み方を紹介しましょう。
清酒が、ワインやビールなど、ほかのアルコール飲料と大きく異なるのは、さまざまな温度でたのしめること。ここでは、温度別におすすめの清酒タイプを紹介していきます。

【冷酒(10度以下)】:吟醸酒・生酒・にごり酒

吟醸酒などの特定名称酒や、スパークリングタイプの清酒、生酒やにごり酒などは、10度以下の冷酒で飲むのがおすすめ。キリッとした冷たさと、華やかな香りをたのしめます。
お酒は飲むまで冷蔵庫でしっかり冷やし、酒器やグラスも冷たくしておくとベストです。

【冷や(15度~20度くらい)】:本醸造酒・純米酒

日本酒を常温で飲むことを「冷や」と呼びますが、冷酒と混同しやすいので注意しましょう。
冷やでおすすめなのは、本醸造酒や純米酒。口に含むと適度にひんやりとした口当たりで、酒本来の香りと味わいを堪能できます。

【燗酒(日向燗:30度前後〜飛びきり燗:55度前後)】:普通酒・本醸造酒・純米酒

燗に適しているのは熟成された清酒。普通酒や本醸造酒、香りの少ない純米酒や「ひやおろし」などが適していて、温めることで特有の旨味を味わえます。とくに「生酛」や「山廃」と書かれているものはお燗に向くとされています。

日本酒と清酒のちがいと、清酒の種類や温度別の飲み方について説明しました。銘柄によっては、異なる温度で味の変化をたのしむものも。飲み慣れた種類の清酒でも、温度や酒器を変えて飲んでみれば、また新しい出会いや発見があることでしょう。

監修者

工藤貴祥

工藤貴祥

(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。

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