「酒米(さかまい)」のことをどれだけ知っていますか?【日本酒用語集】

「酒米(さかまい)」のことをどれだけ知っていますか?【日本酒用語集】
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「酒米(さかまい)」は、日本酒を知るうえで知っておきたい用語のひとつ。品種改良を重ねてきた「酒米」には、じつにたくさんの品種があります。今回はメジャーな「酒米」の特徴や、最近注目の「酒米」まで、基本を押さえつつ紹介します。

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「酒米」とはどんなお米?

「酒米」とはどんなお米?

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「酒米」の定義とは?

「酒米」は日本酒を造るときの原料米で、「酒造好適米」ともいわれます。厳密にいうと、「酒米」は、日本酒を造るときの原料米全般を指す言葉で、一般米も含まれます。一方の「酒造好適米」は、「醸造用玄米」として農林水産省によって公示されているお米のことを指します。つまり、日本酒造りのために作られたものが「酒造好適米」なのです。

「酒米」のこんな特徴が日本酒造りに適している!

よい「酒米」として挙げられる特徴は、おもに以下の5つです。

1.米粒が大きい。
2.「心白(しんぱく)」と呼ばれる、米の中心部にある不透明部分の割合が大きい。
3.低タンパク、低脂質。
4.吸水性や保湿性が高い。
5.精米中に砕けたり割れたりしにくい。


酒造りでは、「精米」という工程で、酒米から雑味のもとになるタンパク質や脂質などの成分を取り除く作業が行われます。そのため、基本的には、高精米に適した米が「酒米」の理想とされています。

「酒米」は「晩生」の品種が主流

「酒米」は米粒が大きいほどよいとされていますが、粒を大きくするには時間をかけて育てる必要があります。このため、昔からある酒米の品種は、ゆっくりと育つ「晩生(おくて)」が主流。「山田錦(やまだにしき)」に代表される晩生の品種は、比較的温暖な西日本を中心に栽培されています。

しかし寒い地域では、穂の中で米が熟成する前に寒くなるため、晩生はあまり適していません。そのため、成長速度の速い「早生(わせ)」の品種を生み出す改良が行われてきました。「早生」の代表的な品種は「五百万石(ごひゃくまんごく)」で、北陸を中心に栽培されています。

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「酒米」の種類と特徴

「酒米」の種類と特徴

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「酒米」の代表的な品種とその特徴

「酒米」の四天王を生産量のランキング順に上から紹介しましょう。

【山田錦】

「酒米」生産量1位 を誇る“酒米の王様”です。北は宮城から南は鹿児島まで、幅広い地域で栽培されています。山田錦で醸した日本酒は、総じて香り高くバランスがよい味わいに仕上がるといわれています。主産地は兵庫県です。

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【五百万石】

「山田錦」にトップを譲るまで、醸造用玄米としてもっとも多く栽培 されていた息の長い品種です。おもに新潟県で栽培されています。この酒米で醸した酒は、淡麗できれいな酒質になるのが特徴です。

【美山錦(みやまにしき)】

突然変異で生まれたという比較的新しい品種です。耐冷性が強く、この品種が誕生した長野県を筆頭に、東北や北関東で栽培されています。さっぱりとキレのある味わいの酒質になることが多いようです。

【雄町(おまち)】

江戸時代末期に発見された品種で、多くの酒米のルーツともいわれています。一時は生産量が激減しましたが、岡山県の蔵元などが中心となって復活させたところ、近年再び注目されるようになりました。芳醇でコクのある力強い味わいを生むことから、「オマチスト」と呼ばれる熱狂的なファンも多い酒米です。

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「酒米」の栽培で有名な県 は?

「酒米」は現在、北海道から鹿児島まで全国で栽培されていますが、「酒米」の米処といえば、醸造用玄米の生産量1位の兵庫県でしょう。兵庫県では、「山田錦」をはじめ、「愛山(あいやま)」「山田穂(やまだぼ)」などさまざまな「酒米」が栽培されています。

兵庫県に続くのは、飯米の米処としても知られる新潟県。代表品種は「五百万石」です。山田錦と五百万石を掛け合わせた「越淡麗(こしたんれい)」も注目されています。

3位は「美山錦」が有名な長野県。「美山錦」の総生産量の半分以上が長野県産です。

生産量トップ3には入りませんが、人気酒米「雄町」の総生産量のうち9割以上の生産を誇る岡山県も、酒米の生産量が多い県です。また秋田県も、「秋田酒こまち」をはじめ多くの酒米を生産しています。

それから、山形県はオリジナルの酒米開発に熱心な米処です。代表的な「出羽燦々(でわさんさん)」は雑味が少なく、ふくよかな味わいの酒を造ることができる酒米として注目されています。

話題の「酒米」に注目!

話題の「酒米」に注目!

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「酒米」の注目株「愛山(あいやま)」

近年、人気が上昇している酒米「愛山」は、兵庫県の一部地域で生産されています。灘の老舗蔵元・剣菱酒造が契約栽培で守ってきた秘蔵の酒米で、幻の酒米ともいわれています。

「愛山」は「山雄67」を父に、「愛船117」を母に交配された品種で、「雄町」と「山田錦」を祖父母にもつ、サラブレッド的な「酒米」です。扱いが難しいものの、奥深く繊細で優しい甘味が特徴の酒質になると、評判です。

“酒米の王様”越えを目指した「雪女神(ゆきめがみ)」

愛飲家の熱い視線が注がれているのが大吟醸酒向けの「雪女神」。「山形県産米100%で世界に誇れる高級な日本酒を製造したい」という地元の蔵元の要望に応えるべく開発された「酒米」で、“山田錦に匹敵する酒米”として注目されています。 2015年に醸造用玄米として登録されました。

50%以下の高精米が可能でタンパク質含有量が少なく、きれいな酒質に仕上がります。全国新酒鑑評会で金賞を受賞する銘柄も登場し、期待が高まっています。

「酒米」を北海道から全国へ「吟風(ぎんぷう)」

北海道の「酒米」の歴史は浅く、第1号の「初雫(はつしずく)」(当時は「農林354号」)が品種登録されたのは、平成10年(1998年)のこと。

その後、平成12年(2000年)に品種登録された第2号が「吟風」です。吟醸酒を醸すことをイメージして命名された「酒米」で、芳醇な味わいを期待できます。吟風は、北海道産米を原料とした酒造りが広がるきっかけとなった品種としても知られています。

銘柄ごとに、使われている酒米に注目してみるのもたのしいものです。「酒米」によって日本酒の味わいのすべてが決まるわけではありませんが、同じ酒米でも銘柄によって味わいが変わってきます。違いを確かめながら、それぞれの日本酒の味を堪能してみてはいかがでしょう。

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