「精米歩合」を知れば日本酒選びがたのしくなる? 【日本酒用語集】《きき酒師監修》

「精米歩合」を知れば日本酒選びがたのしくなる?  【日本酒用語集】《きき酒師監修》
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「精米歩合」は、日本酒の原料となる玄米をどのくらい磨いたかを示す指標で、日本酒の味を決める重要な要素のひとつです。精米歩合の違いによって日本酒の味にどんな影響を与えるのか。お酒選びのときにも役立つ精米歩合を基礎から解説します。

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「精米歩合」とは?

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日本酒のラベルには、「精米歩合●●%」と表示されていることがありますが、日本酒を飲み始めたばかりの人にとっては、それがなにを意味しているのかよくわからないということも少なくないようです。まずは、「精米歩合」の一般的な言葉の意味から見ていきましょう。

精米歩合の言葉の意味

「精米歩合」の「精米」とは、一般的に、玄米の外側のぬか層や胚芽を取り除いて白米にすることを指します。日本酒用語では、白米の外側をさらに削ることも含めて精米といい、精米することを「磨く」と表現することもあります。「歩合」は「割合」のことなので、精米歩合は読んで字のごとく、どのくらい精米されたのか、その割合を意味します。

精米歩合とともに覚えておきたい言葉に、「精白(せいはく)率」があります。「精白」は玄米を磨いて白くすることを指すため、精米と似ていますが、じつは精米歩合と精白率では意味合いが異なるため注意が必要です。

精米歩合は「玄米を磨いて残った米の割合」を指すのに対し、精白率は「玄米を磨いて取り除いたぬかや胚芽の割合」を指すことを覚えておくとよいでしょう。

精米歩合の数字の意味

精米歩合は、基本的に「精米歩合●●%」とパーセンテージで表示されます。「%」を省略して表示される場合もありますが、意味合いは変わりません。

このパーセンテージで表された数字は、白米の玄米に対する重量の割合、つまり精米後に残った白米の重量が、もとの玄米の何%かを示したものです。

たとえば「精米歩合60%」と書いてある場合は、「玄米の40%を削り取り、60%の米が残っている状態」を意味します。

なお、前述の精白率は精米歩合とは逆に、削り取った部分の割合を示すので、60%の精米歩合の米を精白率で表すと「精白率40%」となります。精米歩合と精白率は表裏のような関係にあるのです。

「精米後に残った白米の重量が大きい」=あまり磨いていない=「低精白」
例:精米歩合70%の普通酒=精白率30%の普通酒

「精米後に残った白米の重量が小さい(少ない)」=たくさん磨いた=「高精白」
例:精米歩合40%の大吟醸酒=精白率60%の大吟醸酒

となります。少しややこしいですね。

精米歩合によって異なる日本酒の味わい

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精米歩合によって、日本酒の風味に違いが出るといわれています。香りや味わいにどのような変化をもたらすのか確認しましょう。

精米歩合による香りの変化

精米歩合は、日本酒の香りに影響を与えます。

一般的に、精米歩合が40%、50%など、よく磨いた米で醸した日本酒は、華やかな香りになるといわれています。それは精米によって、米の外側にある脂質やたんぱく質などが取り除かれるためです。

脂質には、酵母による香り成分の生成を抑制するという性質があります。つまり、脂質などがきれいに削り取られた高精白の米を使うほうが、フルーティーとも形容される酵母由来の華やかな香りが生まれやすいのです。

一方、あまり磨かず、低精白米で造ったお酒は、原料米由来の香りが出やすい傾向にあります。

精米歩合による味わいの変化

精米歩合は、日本酒の味わいにも大きく影響します。

精米歩合を小さくして 、雑味のもとにもなる米の外側のタンパク質や脂質を削り取れば、すっきりとしたクリアな味わいの、上品さや軽快さのある日本酒に仕上がりやすくなります。

反対に精米歩合を大きく した場合には、米の旨味が引き出されたしっかりとコクのある芳醇な味わいの日本酒になることが多いようです。

「高精白な日本酒ほど高級でおいしいお酒」というイメージを持つ人も多いようですが、必ずしもそうとは限りません。上品でクリアな味わいを好む人もいれば、米の旨味をじっくり堪能したいという人もいます。日本酒には多様な嗜好に応じられる幅広さがあり、それが日本酒の魅力でもあるのです。

近年では、精米歩合が一桁という極限まで米を磨き上げた日本酒が開発される一方で、あえてあまり精米しないことで複雑な旨味を生み出そうとする蔵元や、あえて精米歩合を明示しない蔵元(商品)も見られます。

精米歩合をひとつの目安として、自分が本当においしいと感じられるお酒を探してみてはいかがでしょう。

精米歩合による日本酒の種類

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日本酒は、原料や製造方法などの違いによって「普通酒」と、8種類の特定名称酒に分類されます。それぞれの精米歩合と特徴を確認しましょう。

普通酒

◇精米歩合 規定なし
◇醸造アルコール 規定なし

「普通酒」とは、特定名称酒以外の日本酒のことで、流通している日本酒の約7割はこの「普通酒」であるといわれ、手ごろな価格が魅力です。

普通酒は、さまざまな基準をクリアしなければ名乗ることのできない特定名称酒とは異なり、酒税法上の「清酒」の定義を満たしていればよく、精米歩合についても決まりはとくにありません。

特定名称酒に比べてレベルが落ちると思われがちな普通酒ですが、決まりがないということは自由にチャレンジできるということで、おいしくするために工夫を凝らした多種多様なタイプがあるのも特徴です。

本醸造酒

◇精米歩合70%以下
◇醸造アルコール10%未満

本醸造酒は、精米歩合70%以下の米と、米麹(こめこうじ)、原料米総重量の10%未満の醸造アルコール、水を原料として造られるお酒で、香味、色沢が良好なものが「本醸造酒」を名乗ることができます。

本醸造酒には、米の旨味がありながら、辛口ですっきりとした飲み口のよいタイプが多いようです。

特別本醸造酒

◇精米歩合60%以下/特別な製造方法
◇醸造アルコール10%未満

本醸造酒のうち、香味および色沢がとくに良好なもので、「精米歩合60%以下」または「特別な製造方法」で造ったお酒であれば「特別本醸造酒」を名乗ることができます。

なお、特定名称酒にはいくつか「特別」とつくものがあり、特別な製造方法で造られていることが条件に含まれていますが、じつはこれには明確な規定はありません。なにを「特別」とするかは、それぞれの蔵元に任されている状況で、たとえば「無農薬の有機米を使っている」「昔ながらの木槽搾りを行っている」ことなどが「特別な製造方法」の例として挙げられます。

説明表示が義務づけられているので、なにを「特別」としているのかをチェックしてみると、蔵元のこだわりやアピールポイントをうかがい知ることができるでしょう。

特別純米酒

◇精米歩合60%以下/特別な製造方法
◇醸造アルコール 添加なし

醸造アルコールを使わず、米と米麹と水だけで造られる純米酒のうち、香味および色沢がとくに良好で、「精米歩合60%以下」または「特別な製造方法」のいずれかを満たしていれば「特別純米酒」を名乗ることができます。

「特別な製造方法」については、特別本醸造酒と同じで、なにが特別かを表示する義務があります。

特別純米酒には、純米系ならではのしっかりとした米の旨味に加え、米をより磨くことで、雑味の少ないきれいな味わいもたのしめるお酒が多いようです。

吟醸酒

◇精米歩合60%以下
◇醸造アルコール10%未満
◇吟醸造り

精米歩合60%以下の米と、米麹、原料米総重量の10%未満の醸造アルコール、水を原料とし、吟醸造りで造られた、固有の香味、色沢が良好なお酒が「吟醸酒」を名乗れます。

吟醸系のお酒の特徴は、「吟醸香(ぎんじょうか)」とも呼ばれる華やかな香りです。香り成分のエステル類の生成を抑制するといわれる脂質を削り取った高精白の米を使用し、低温でじっくり醸す吟醸造りを行うことで、「フルーティー」とも表現される特有の華やかな香りが生み出されます。

純米吟醸酒

◇精米歩合60%以下
◇醸造アルコール 添加なし
◇吟醸造り

醸造アルコールを使用せず、精米歩合60%以下の米と、米麹、水のみを原料とし、吟醸造りで造られた、固有の香味や色沢が良好なお酒が「純米吟醸酒」です。

吟醸酒同様の華やかな吟醸香がたのしめるだけでなく、米の旨味やコクも味わえる、調和の取れたお酒が多いようです。

大吟醸酒

◇精米歩合50%以下
◇醸造アルコール10%未満
◇吟醸造り

吟醸酒や純米吟醸酒よりさらに磨いた精米歩合50%以下の米と、米麹、原料米総重量の10%未満の醸造アルコール、水を原料とし、吟醸造りで造られた、固有の香味、色沢が良好なお酒が「大吟醸酒」を名乗れます。

文字どおり、磨きをかけた米を使って造られる大吟醸酒は、フルーティーな吟醸香と、よりクリアな味わいのものが中心で、全国新酒鑑評会などの出品酒とされることも多いようです。

純米大吟醸酒

◇精米歩合50%以下
◇醸造アルコール 添加なし
◇吟醸造り

「純米大吟醸酒」は、精米歩合50%以下の米と、米麹、水を原料に、醸造アルコールを使用せずに造られます。

精米歩合は50%以下と、純米吟醸酒よりも磨かれた米で醸されることから、吟醸香がたのしめるのはもちろん、よりきれいな飲み口になりやすいのが特徴。また大吟醸酒とは異なり、醸造アルコールを加えないことから、米由来の旨味とコクを堪能できるお酒になりやすい傾向もあります。

純米酒

◇精米歩合 規定なし
◇醸造アルコール 添加なし

純米酒には、以前は精米歩合70%以下という規定がありました。しかし今は、精米歩合についての決まりはありません。米と、米麹、水だけで造られるお酒で、香味、色沢が良好なものが「純米酒」を名乗ることができます。

純米酒の味わいの特徴は、米の旨味やコクがより前面に引き出されたものが多いこと。とはいえ、精米歩合を80%、90%にして米そのものの味がダイレクトに伝わる純米酒を造るもよし、吟醸クラス、大吟醸クラスまで磨いた米でこれまでにない飲み口の純米酒をめざすもよしという状況のなか、さまざまなタイプの純米酒が登場しています。

購入の際は、蔵元やブランド、原料米の品種などととともに、精米歩合にも注目してみると、造り手の意図が見えてくるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。


精米歩合は日本酒を選ぶ際のひとつの基準になると同時に、日本酒造りの奥深さを物語るものでもあります。精米歩合の意味を知り、ラベルの表示などをチェックすることで、日本酒をより深くたのしむことができそうですね。

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