「サゼラック」は、ニューオーリンズ生まれのスタンダードカクテル

「サゼラック」は、ニューオーリンズ生まれのスタンダードカクテル
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アメリカ・ニューオーリンズ生まれのカクテル「サゼラック」を知っていますか? 一説では「世界最古のカクテル」といわれています。ここでは、スタンダードカクテルとして親しまれている「サゼラック」の魅力を紹介します。

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「サゼラック」とはどんなカクテル?

「サゼラック」とはどんなカクテル?

PauloAlmeidaPhotography/ Shutterstock.com

「サゼラック」が登場するまでの、「コーヒーハウス」の歴史

17世紀後半、イギリスからニューイングランドに伝わった「コーヒーハウス」がニューヨークにも誕生します。コーヒーハウスとは本来、英国紳士が集うサロン(社交場)のこと。アメリカでは使われ方が少し異なり、市民の集会場として、また議会や裁判を行う場所としても使われていました。
1830年代、ジャズの発祥地ニューオーリンズでも、コーヒーハウスは賑わいを見せるようになります。そのひとつが「サゼラック・コーヒー・ハウス」。そしてこの店の看板メニューが、カクテル「サゼラック」でした。

「サゼラック」の名前の由来と、ベースのお酒が変化した理由

「サゼラック」というカクテル名がついたのは19世紀半ば頃のこと。基酒に「サゼラック・ドゥ・フォルジュ」というコニャックを使用していたことに由来します。当時「サゼラック」は、コニャックベースのカクテルとして親しまれていました。
しかし19世紀後半、病害虫フィロキセラによってヨーロッパのブドウ畑が壊滅的な状態に陥り、コニャックの生産が止まります。入手困難なコニャックの代わりに選ばれたのが、ライウイスキーでした。
ライウイスキーベースの「サゼラック」はそのまま定着し、スタンダードカクテルとして受け継がれています。

「サゼラック」は世界最古のカクテル?

諸説ありますが、「サゼラック」は「世界最古のカクテル」といわれています。さまざまなお酒をブレンドする飲み方は古くからありましたが、「カクテル」というジャンル(名前)が生まれて、初めて登場したのが「サゼラック」というわけです。
「カクテル」という言葉自体は、1806年にニューヨークで発行された新聞に掲載されています。現存するもっとも古い文献はこの新聞ですが、それより前にロンドンで発行された小冊子にも登場していたとされています。
いずれにせよ、「カクテル」という言葉がいつ生まれたのかは、はっきりしていません。

「サゼラック」の味を決めるのはライウイスキー

「サゼラック」の味を決めるのはライウイスキー

Payette Media House/ Shutterstock.com

「サゼラック」に使われるライウイスキーとは?

「ライウイスキー」とは、ライ麦を主原料としたアメリカンウイスキーのこと。連邦アルコール法で「ライ麦を51%以上使うこと」などと定義されており、規定をクリアしたものだけが「ライウイスキー」と名乗ることができます。
アメリカンウイスキーといえば「バーボン」を思い浮かべますが、19世紀頃のアメリカでは、このライウイスキーが主流でした。ライウイスキーの大きな特徴は、ライ麦由来のスパイシーな風味。スコッチやバーボンとは一味違った独特の個性をたのしめます。

「サゼラック」のベースとなるライウイスキーの種類

「サゼラック」にはサゼラック専用のライウイスキー(ストレート・ライ)を使うのが基本ですが、ほかのライウイスキーでも十分たのしめます。代表的なライウイスキーを見てみましょう。

【サゼラック・ライ】

サゼラックのベースとなるライウイスキー。クローブ、バニラ、アニス、ペッパーの香り、キャンディーや柑橘の淡い味わいを感じられます。後味になめらかなリコリスの味わいが強く残ります。

【ジムビーム・ライ】

ライトな飲み口のライウイスキー。ライ麦由来のスパイシーな刺激と、フルーティーな香りをたのしめます。

【ワイルドターキー・ライ】

ピリッとスパイシーながら、ほのかな甘味も感じられるライウイスキー。4~5年熟成させた原酒を使用していて、スムースな味わいが魅力です。ウイスキーベースのカクテルにもよく使われます。

【オールド・オーヴァーホルト】

昔ながらの製法にこだわり続けるライウイスキー。ライ麦の使用率は59%と規定よりも多いため、ライ麦の風味を強く感じられます。ドライでスパイシーなフレーバーと、深い味わいが魅力です。

【テンプルトン・ライ】

原料の90%がライ麦のウイスキー。アメリカンウイスキーには珍しく、蒸溜にポットスチルを使用しています。暗黒街の帝王アル・カポネも愛したお酒として、知られています。

「サゼラック」のおいしいたのしみ方

「サゼラック」のおいしいたのしみ方

Brent Hofacker/ Shutterstock.com

「サゼラック」の材料

「サゼラック」の基本的な材料は、サゼラック・ライ、アブサン、ペイショーズ・ビターズ、そして角砂糖です。ライウイスキーは、2年以上熟成させたストレート・ライがおすすめ。
手に入りにくいアブサンはペルノーで代用したり、ペイショーズ・ビターズをアンゴスチュラ・ビターズに変えたりすることもあります。また角砂糖の代わりに、シンプルシロップまたはガムシロップを使うものや、レモンの皮(レモンピール)を添えるレシピもあります。

「サゼラック」のおもなレシピ

「サゼラック」にはさまざまレシピがあります。おすすめのレシピをいくつか紹介しましょう。

【サゼラック・ライ版レシピ】

「サゼラック・ライ」がおすすめする公式レシピです。

サゼラック・ライ…45ミリリットル
アブサン…5ミリリットル
アンゴスチュラ・ビターズ…2ダッシュ
角砂糖…1個(またはシュガーシロップ…小さじ一杯)
レモンピール

【ワイルドターキー版レシピ】

バーボン「ワイルドターキー」がおすすめする公式レシピです。

ワイルドターキー・ライ…60ミリリットル
アブサン…5ミリリットル
ペイショーズ・ビターズ…4ミリリットル
アンゴスチュラ・ビターズ…2ミリリットル
シロップ…5ミリリットル

ワイルドターキー公式サイト

【サヴォイ・カクテルブック版レシピ】

ロンドンの名門ホテル、「ザ・サヴォイ」のレシピです。

ライウイスキー(またはカナディアンクラブウイスキー)…60ミリリットル
アンゴスチュラ・ビターズ(またはペイショーズ・ビターズ)…1ダッシュ
アブサン…1ダッシュ
角砂糖…1個
レモンピール

「サゼラック」の一般的な作り方

冷やしたミキシング・グラスに氷を入れ、ライウイスキー(サゼラック・ライがおすすめ)、シロップ、ペイショーズ・ビターズを加えて混ぜます。
別のグラスにアブサンを入れてグラス全体をすすぎ、余分なアブサンを捨てます。そこにミキシング・グラスでステアした液体をそそぎます。
最後に、レモンの皮を絞って香りづけし、グラスのふちに飾って完成です。
ちなみに、ペイショーズ・ビターズの代わりにアンゴスチュラ・ビターズを使うと、赤味がかった色合いのサゼラックになります。

ニューオーリンズで生まれた、ライウイスキーベースの「サゼラック」。ペイショーズ・ビターズなど日本では手に入れにくい材料もありますが、ぜひ「世界最古のカクテル」をたのしんでくださいね。

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