泡盛の味わいを左右する、琉球泡盛の原料を究明!

泡盛の味わいを左右する、琉球泡盛の原料を究明!
出典 : KOSEI.S/ Shutterstock.com

泡盛は焼酎の一種に分類されますが、日本各地で造られる焼酎とは、また異なる魅力があります。泡盛独自のおいしさの秘密は、琉球地方の風土や歴史、食文化など、いたるところに隠れていますが、ここでは泡盛の味わいを左右する「原料」に着目。その魅力を探ります。

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泡盛の原料(1) 〜タイ米〜

泡盛の原料① 〜タイ米〜

Chaded Panichsri/ Shutterstock.com

泡盛の定義を再確認

琉球地方で古くから愛飲されてきた泡盛は、酒税法上では焼酎の一種とされていますが、その歴史は焼酎よりも古く、日本における蒸溜酒の原点とも言われています。この泡盛の魅力を探るにあたり、まずは定義を確認しておきましょう。
泡盛とは、米麹と水だけを原料に造られる蒸溜酒のこと。米麹を造る麹菌には黒麹菌を使用し、単式蒸溜器で蒸溜した焼酎のみを「泡盛」、なかでも沖縄県で造られた泡盛を「琉球泡盛」と呼びます。

泡盛の原料にタイ米を使う理由

「泡盛」と名乗るための条件に、米の種類は限定されていませんが、琉球泡盛ではタイ米を使うのが一般的です。
タイ米は、粘り気のある日本の米に比べて硬質で、さらさらしているため、麹菌と混ぜて米麹を造る際に作業しやすいという特徴があります。また、アルコール発酵させる際の温度管理がしやすく、アルコールの収穫量も多いと言います。

泡盛でタイ米が主流になったのは昭和から

600年の歴史を持つと言われる琉球泡盛ですが、じつはタイ米が主流となったのは昭和以降のこと。かつては、沖縄産本米や中国、韓国からの輸入米を使用していましたが、大正末期に日本でタイ米が流通するようになると、泡盛造りに欠かせないものになりました。
日本酒の味わいが原料米の種類によって異なるように、タイ米を用いていることが、泡盛の味わいにも大きく影響しているのでしょう。

泡盛の原料(2) 〜黒麹〜

泡盛の原料② 〜黒麹〜

kai keisuke/ Shutterstock.com

麹造りは泡盛造りの重要な工程

泡盛造りに不可欠なのが、米麹造りに用いる黒麹菌です。
米麹は、原料の米に麹菌(種麹)を加えて繁殖させますが、この過程で米に含まれるデンプンが糖に変わります。これを酵母が分解して、アルコールが生成されます。

沖縄の風土に適した黒麹

焼酎造りに使われる麹には、白麹、黒麹、黄麹がありますが、泡盛に用いられるのは黒麹のみ。黒麹以外の麹菌を用いた場合は「泡盛」とは名乗れません。
黒麹は、ほかの麹菌に比べて、雑菌の繁殖を防ぐ働きを持つクエン酸をより多く生成します。また、麹菌にとっても、沖縄の気候は繁殖しやすい絶好の環境です。
黒麹は泡盛の味わいを左右する重要な要素であると同時に、琉球地方での酒造りに欠かせない存在と言えるでしょう。

泡盛特有の風味を引き出す黒麹

黒麹で造った焼酎は、芳醇な香りと濃厚でコクのある味わいが特徴とされます。また、原料ごとの個性を際立たせることでも知られていますが、こうした特徴は泡盛でも発揮されています。
泡盛を飲む機会があったら、黒麹で造った蒸溜酒ならではの豊かな味わいを堪能してください。

泡盛の原料を活かす「全麹仕込み」とは?

泡盛の原料を活かす「全麹仕込み」とは?

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泡盛ならではの製法「全麹仕込み」

一般的な焼酎の仕込みは、麹に水と酵母を加えて数日間発酵させる「一次仕込み」と、できあがった一次醪(もろみ)に芋や麦、米などの原料を加えて発酵させる「二次仕込み」の二段階で行います。
これに対し、泡盛の仕込みは一度だけ。タイ米と黒麹で造った米麹に水と酵母を加えて発酵させる、このシンプルな製法は「全麹仕込み」と呼ばれます。
「全麹仕込み」は、仕込みにかける工程を減らすことで、醪の腐敗を防ごうという、温暖な地域ならではの手法。この「全麹仕込み」もまた、原料となるタイ米の甘味や風味を引き出し、泡盛らしい味わいを引き出す要因となっています。

泡盛の泡盛らしさを育んでいるのは、原料となるタイ米や米麹、それらの個性を活かす「全麹仕込み」はもちろん、南国・沖縄の風土や、琉球王朝時代から培われてきた伝統や食文化も大きな要素です。これら多くの要素によって導かれる泡盛の魅力を、ぜひ味わってください。

琉球泡盛(沖縄県酒造組合)

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