日本酒のパック酒が進化し続けているって知ってた?

日本酒のパック酒が進化し続けているって知ってた?
出典 : 月桂冠株式会社

「パック酒」として親しまれる紙パック入りの日本酒は、スーパーやコンビニでも買える手軽さや、リーズナブルさが注目されがちですが、ニーズに応える工夫を凝らした“消費者目線”の商品でもあります。近年は味わいや個性、季節感を重視した商品も充実しているパック酒について紹介します。

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パック酒の魅力はお求めやすい“手軽さ”

パック酒の魅力はお求めやすい“手軽さ”

Pushish Images/ Shutterstock.com

主婦を味方につけた紙パックの日本酒

「パック酒」と呼ばれる紙パック入りの日本酒が普及し始めたのは1970年代後半のこと。ちょうど日本酒の出荷量がピークを迎え、減少に転じ始めた時期のことで、そこに危機感を覚えた日本酒メーカーが、対策のひとつとして紙パックを取り入れたものと考えられます。
それまで日本酒の容器としては「一升瓶」が主流でしたが、紙パックは瓶に比べて安価なうえに、軽くて運びやすい、さらにはゴミとしてもかさばらずに捨てやすい、といった利点があります。そうしたメリットが主婦の心をつかみ、紙パックの日本酒は市民権を得たのです。

紙パックの日本酒の今

紙パックの日本酒が、瓶入り日本酒の出荷量を上回ったのは2000年代後半のこと。一方で、海外も含めた日本酒ブームから吟醸酒や純米酒といった特定名称酒に注目が集まり、「高額な上質酒」と「安価な日常酒」との二極化が進展。紙パックの日本酒は、安さにばかり目が行きがちになりました。
しかし、近年ではパック酒にも酒造好適米や季節感にこだわった商品が開発されるようになり、流行も押えつつ、価格も抑えた大衆向けの日本酒として、根強い人気を誇っています。

トレンドを押さえる日本酒のパック酒

トレンドを押さえる日本酒のパック酒

出典:沢の鶴株式会社

パック酒にも特定名称酒ブームが到来

パック酒は低価格を売りにしてきただけあって、そのラインナップは普通酒が中心です。しかし近年では、特定名称酒への人気の高まりを背景に、純米酒や吟醸酒のパック酒も登場しています。
兵庫・灘の大手酒造メーカー、沢の鶴の「米だけの酒」や、福岡県の福徳長酒類が山梨県の韮崎工場で造る「米だけのすーっと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒」など、手ごろな価格でちょっと贅沢な日本酒がたのしめます。

パック酒には糖質オフの日本酒も!

パック酒には健康ブームの波にのった糖質オフの日本酒も。70%オフのものから糖質ゼロのものまで、幅広いパック酒が提供されていて、「健康が気になるけれど日本酒を飲みたい」というニーズに応えています。灘の名門銘柄「日本盛(にほんさかり)」からは“糖質ゼロ、プリン体ゼロ”を謳ったパック酒もラインナップされています。

人気の日本酒パック酒

人気の日本酒パック酒

出典:月桂冠株式会社

豊富なパック酒ラインナップを誇る「月桂冠」

京都・伏見の老舗蔵、月桂冠では、ロングセラーの「上撰(じょうせん)」や、CMでおなじみの「月(つき)」など、幅広いパック酒を提供しています。
一方で、精米歩合50%の「月桂冠 大吟醸」(紙パック詰)や、人気の酒造好適米を使用した「山田錦純米」など、従来のパック酒のイメージを覆す高級路線の商品も展開。いずれも伏見の伏流水を使ったやわらかな味わいが料理を引き立てます。

世界が認めた実力のパック酒

近年のパック酒の品質は、海外でも認められるほど。世界的に権威あるワイン審査会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」2019では、SAKE部門の普通酒カテゴリーで日本のパック酒2銘柄がメダルを獲得しました。
ゴールドメダルに輝いたのは、新酒のようなフレッシュさと吟醸系の華やかな香りで人気の、灘の菊正宗「ギンパック」。同じく灘に蔵を構える白鶴酒造「白鶴 まる」はオリジナル酵母と麹4段仕込みによる、ふくらみのある味わいが評価され、シルバーメダルを受賞しました。

パック酒には、手軽でリーズナブルというだけでなく、業界や市場のトレンドをいち早く取り入れるスピード感もあります。消費者目線で使い勝手を追求してきたパック酒にも、改めて注目したいものですね。

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