「軽井沢」は世界的にも希少価値の高い幻のウイスキー
「軽井沢」は、ジャパニーズウイスキーを代表する世界的に人気の銘柄。もともと高級ウイスキーとして人気を集めていましたが、2000年を最後に製造が終了すると、その希少性からさらに価値が高まり、今ではオークションなどで驚くほどの高額で取引されています。今回は、そんな幻のウイスキー「軽井沢」を紹介します。
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「軽井沢」は国産初100パーセントのモルトウイスキー
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日本初の本格的な国産モルトウイスキー
「軽井沢」は、かつて長野県北佐久郡御代田町にあった「軽井沢蒸溜所」で造られていたウイスキー銘柄。昭和51年(1976年)に国産ウイスキーとしては初となる100パーセントモルトウイスキーとして発売されたことで知られています。
モルトの個性を前面に押し出した「軽井沢」は、当時としては非常に高価なボトル1万5,000円という値段ながらも、日本を代表する高級ウイスキーとして、国内外で多くのウイスキー愛好家の人気を集めました。
惜しまれながらも製造中止。幻のウイスキーに
「軽井沢」が造られていた軽井沢蒸溜所が誕生したのは昭和30年(1955年)のこと。大黒葡萄酒(後にオーシャンと社名を変更)がウイスキー製造に本格的に取り組むため、当時ワイン製造を行っていた軽井沢農場内に設立されました。
やがて、軽井沢蒸溜所のオーナーがメルシャンに変わり、さらにメルシャンがキリングループに買収され、その後の事業再編などにともない2000年にウイスキーの製造を中止。2002年には軽井沢蒸溜所も完全閉鎖となりました。
それ以降も原酒の熟成、販売のみは継続されましたが、在庫がなくなるとそれも終わり、「軽井沢」は完全に“幻のウイスキー”となったのでした。
「軽井沢」は世界から評価されるジャパニーズウイスキー
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軽井沢の環境を活かした本格的なウイスキー造り
軽井沢蒸溜所のウイスキー造りの大きな特徴が、原料と設備へのこだわりです。スコットランド産の伝統的なゴールデンプロミス種麦芽を、浅間山水系の水を用いて木桶で発酵させると、小さなポットスチルで丁寧に蒸溜。独特の香りをもたらすシェリー樽で熟成させていました。
加えて特徴的なのが、蔦に覆われた貯蔵庫です。この蔦が貯蔵庫内の温度と湿度を一定に保つとともに、軽井沢の冷涼な気候とあいまって、ウイスキー造りにとって理想的な環境を実現していました。
本格的なウイスキー造りが、世界的な評価を獲得
こうして造られた「軽井沢」は、2001年に「軽井沢12年」が「IWSC(International Wine and Spirits Competition)」のワールドワイドウイスキー部門で金賞を獲得したのを皮切りに、世界的なコンペティションで高評価を獲得。ジャパニーズウイスキーを代表する銘柄として、世界的な知名度を持つようになりました。
「軽井沢」が“世界でもっとも入手困難なウイスキー”と呼ばれる理由
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世界でもっとも入手困難な国産ウイスキー
軽井沢蒸溜所はもともと小規模な蒸溜所で、年間に約15万リットルの製造量しかありませんでした。加えて、2000年にウイスキーの製造を終了してからは二度と造られることがなかったため、いつしか“幻のウイスキー”と呼ばれるようになりました。
近年では、その希少価値から「世界でもっとも入手困難なウイスキー」とまで言われていて、その価格は年々右肩上がりです。
もっとも熟成期間の長い「軽井沢1960」の価格は1千万円以上!
「軽井沢」に対するコレクターの注目度は高まる一方です。2017年には、ウイスキー専門のオークションサイトにおいて、「軽井沢」シリーズでもっとも製造時期が古い52年熟成の「軽井沢1960」に、なんと1千万円以上の価格がつき、良識あるウイスキー愛好家からは「行き過ぎ」との声も出ているようです。
「軽井沢」は、もともと高級ウイスキーとはいえ、販売当時の定価はこれほど高額ではなく、贈答用などでよく買われていたようです。もしかして、みなさんの自宅の棚や倉庫に眠っているかもしれませんね。
ますます価値が高まる国産ウイスキー「軽井沢」。みなさんも実家に帰ったときは、ぜひ古い棚や押し入れをチェックしてみては? もしかしたら「お宝」が見つかるかもしれません。