「百年の孤独(ひゃくねんのこどく)」は宮崎の黒木本店が樽でじっくり熟成させたウイスキーのような麦焼酎

「百年の孤独(ひゃくねんのこどく)」は宮崎の黒木本店が樽でじっくり熟成させたウイスキーのような麦焼酎
出典 : jazzman / PIXTA(ピクスタ)

「百年の孤独」は、焼酎一筋の蔵元・黒木本店が手掛ける長期貯蔵麦焼酎。ウイスキーを想わせる琥珀色とまろやかさ、複雑かつ豊かな風味で愛飲家を魅了しています。今回は、「百年の孤独」の味わいや特徴、名前の由来、プレミアム焼酎と呼ばれる理由、造り手のこだわりなどを紹介します。

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「百年の孤独」は、洗練された味わいはもちろん、個性的なボトルデザインや印象的な名前からも奥深い世界観を感じさせるプレミアム級の麦焼酎です。その魅力に迫ります。

「百年の孤独」とはどんな焼酎? 味わいは?

百年の孤独とはどんなお酒?

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まずは、「百年の孤独」の香りや味わい、名前の由来からみていきましょう。

「百年の孤独」は幾重にも重なる風味と香りが魅力の麦焼酎

「百年の孤独」は、選りすぐりの大麦のみを原料に、自社培養の酵母と100年以上受け継がれてきた伝統技術で造られる大麦焼酎。ホワイトオーク樽のなかで、3年、4年、5年と熟成の時を経た貯蔵年数の異なる原酒をブレンドして得られるその雫は、ウイスキーのような琥珀色をしています。

ホワイトオーク樽がもたらす独特の香りは、シガーのような趣もあり、飲み方によって複雑に表情を変えます。凝縮感となめらかさのある風味は香ばしい麦やココナッツの印象をまとって幾重にも重なり、口のなかに溶けていきます。
じっくりと貯蔵・熟成させることで生まれるまろやかな口当たりも魅力です。

「百年の孤独」は、焼酎を長期熟成させるという発想が当たり前ではなかった昭和末期、芋焼酎に活かそうと試験的に樽熟成したことから生まれた偶然の産物だといいますが、時代に先駆けて商品化したことで、またたく間に全国の焼酎ファンの心をつかみました。

「百年の孤独」はボトルデザインも秀逸

「百年の孤独」の魅力のひとつに、ボトルのスタイリッシュさが挙げられます。本格焼酎というと、一般的な四合瓶や五号瓶、一升瓶といった茶色い遮光ボトルで販売されるイメージがありますが、「百年の孤独」は趣のある包装紙で包んだうえで、化粧箱に入れて売られています。

特記すべきは、コルク製のラベルです。コルクといえば、ワインやシャンパンの栓に使われる素材。熟成の時を超えて飲む人のもとにたどり着くまでの時間の重みを感じさせる、「百年の孤独」の名にふさわしいラベルデザインも注目に値します。

ガブリエル・ガルシア=マルケス著「百年の孤独」書影(新潮社刊)

ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社刊)

「百年の孤独」という銘柄名はガルシア=マルケスの名著に由来

「百年の孤独」が誕生した昭和60年(1985年)は、明治18年(1885年)創業の黒木本店が100周年を迎えた節目の年でもありましたが、印象的な銘柄名の原点は、同名の小説にあるといいます。

『百年の孤独』は、コロンビアに生まれ、20世紀後半の世界文学に多大な影響を与えたガブリエル・ガルシア=マルケスが、1967年に発表した小説のタイトル。日本でも話題になった名作ですが、マルケスがノーベル文学賞を受賞した1982年といえば、歌人・劇作家にして演劇グループ「天井桟敷」主宰の寺山修司氏が本作の映画化を目指したころでもありました。

寺山修司氏は映画の制作を進めたものの、マルケスの許可を得られないまま1983年にこの世を去りました。

「百年の孤独」の生みの親である先代の黒木敏之氏は、若いころ、文学青年だったそうです。『百年の孤独』や寺山修司の作品に触れていた敏之氏が、寺山修司へのオマージュを込めて焼酎につけた名前が「百年の孤独」だったというわけです。

ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社刊)
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「百年の孤独」のおすすめの飲み方

「百年の孤独」おすすめの飲み方

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「百年の孤独」の独特な味わいを堪能するにはストレートやオン・ザ・ロックが一押しですが、麦の甘味とやさしくも複雑な味わいをたのしみたい人には、水割りもおすすめです。

また、麦の香ばしい香りや長期熟成焼酎ならではのコクを満喫するなら、お湯割りも外せません。よりボリューム感が増した味わいを、複雑な風味とともに満喫してください。

「百年の孤独」のアルコール度数は40度とやや高め。ストレートやロックでは飲めないという人もいるかもしれませんが、最初の一口だけでもストレートやロックにして銘柄独特の個性を味わってから、お好みの割り方に切り替えてみてはいかがでしょう。

「百年の孤独」はなぜ高い? プレミアム焼酎と呼ばれる理由

百年の孤独がプレミアム焼酎と呼ばれる理由

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プレミアムがついて入手困難になった焼酎を「プレミアム焼酎」と呼ぶことがあります。クオリティの高さから人気が沸騰し、市場価格が高騰してしまうケースが多く、「百年の孤独」もプレミアム焼酎とされる場合が多いです。

「百年の孤独」の定価は? なぜ高値で取引される?

「百年の孤独」が、原料はもちろん、製造工程の細かい部分にまでこだわり抜いて造られる特別な商品であることに変わりはありませんが、特約店に在庫があれば、3,674円(税込)ほどで手に入ります。ところが、特約店以外のオンラインショップなどでは5,000円を超える価格で取引されているケースもあるのです。

「百年の孤独」の入手が困難なのには理由があります。「百年の孤独」のように、長期熟成させた焼酎は、大量生産に向いていません。また、流通経路も特約店に限定されているため、需要に供給が追いつかないことから、入手困難なプレミアム焼酎と呼ばれるようになりました。

「百年の孤独」の人気の秘密と入手方法

「百年の孤独」の需要の高さは、今に始まったことではありません。

第二次焼酎ブームで麦100%の麦焼酎が市場を席巻していた時代に誕生し、その斬新な味わいと文学的な銘柄名から、愛飲家の注目を集めました。さらに、皇太子時代の今上陛下がご愛飲されているらしいとの噂が広まり、そのクオリティの高さも手伝って、入手困難な焼酎となりました。

現在はインターネット通販やオークション、フリマアプリなどを介して高値で取引されている「百年の孤独」。こういったルートでは、一度人の手に渡った、いわゆる中古品も流通していますが、じつは正規のルートで、それも定価で購入することも可能です。

正規品を適正価格で手に入れたい人は、黒木本店のホームページを参考にして、最寄りの特約店に問い合わせてみてください。特約店に在庫があり、販売してくれるようなら、迷わず購入したいですね。

「百年の孤独」の造り手は明治18年創業の黒木本店

「百年の孤独」の造り手は明治18年創業の黒木本店

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「百年の孤独」の蔵元・黒木本店の歴史やこだわりを紹介します。

「百年の孤独」を手掛ける黒木本店の歴史

「百年の孤独」の造り手は、良質の湧き水と日照に恵まれた宮崎県児湯(こゆ)郡高鍋町で酒造業を営む黒木本店です。明治18年(1885年)の創業から宮崎の焼酎文化を育み、継承してきた焼酎一筋の蔵元として知られています。

黒木本店は、芋や麦、米などの原料を限定せず、この土地この蔵に伝わる製法でしか造ることのできない理想の焼酎をひたすら追求して、数々の銘酒を生み出してきました。

黒木本店のこだわりの酒造り

髭正 / PIXTA(ピクスタ)

「百年の孤独」の蔵元・黒木本店の焼酎造りに対するこだわり

「百年の孤独」の魅力を育む黒木本店のこだわりをみていきましょう。

「焼酎造りは農業から」という考え方〜自然循環農法

黒木本店の焼酎造りは、土地を耕し、種を蒔き、原料を栽培・収穫するところから始まります。人の手で丹精込めて育てた原料を使うことで、「百年の孤独」をはじめとする個性豊かな焼酎が生み出されているのです。

製造過程で生じた廃棄物は、有機肥料や飼料として再利用。風土に還し、次の原料栽培に活かされます。

原料へのこだわり

より上質で個性豊かな焼酎を造るために、黒木本店では、農業生産法人「甦る(よみがえる)大地の会」を発足・運営。その活動のなかで、広大な畑で原料の栽培を手掛けるだけでなく、新品種による焼酎の開発や、焼酎粕を使った有機栽培にも意欲的に取り組んでいます。

焼酎造りでは、仕込み水や割り水として使う水も重要な要素です。黒木本店では、自然豊かな尾鈴山(おすずやま)水脈から流れ出る良質な軟水をろ過し、おいしい焼酎造りに役立てています。

製法のこだわり

焼酎造りの要となる麹は、人の手で手間暇をかけて造り上げます。

「百年の孤独」はもちろん、黒木本店のすべての焼酎の発酵に用いる酵母は、厳しい衛生管理のもとで自家培養した純粋酵母。複数の酵母を適宜使い分け、豊かな香りの焼酎を生み出しています。

仕込みには、木桶を使用。自家培養した酵母に加えて、木桶に住み着いた乳酸菌などの微生物のはたらきを利用することで、焼酎に複雑な味をもたらすことができるのです。

「百年の孤独」が気に入ったら飲んでみたい黒木本店のおすすめ銘柄

黒木本店のおすすめ銘柄

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「百年の孤独」を手掛ける黒木本店のおすすめ銘柄を紹介します。

麦焼酎「中々(なかなか)」

比較的リーズナブルな価格の定番商品ながら、お値段以上の魅力を味わえるのが、麦100%麦焼酎「中々」です。麦由来の香ばしい香りと味わい、ほんのりとした甘味が特徴で、キャラメルを想わせる風味がたのしめます。

アルコール度数:20度、25度

麦焼酎「陶眠 中々(とうみん なかなか)」

香ばしさと力強さが絶妙なバランスを勝ち得た香り豊かな麦100%麦焼酎。ほどよい軽やかさの「中々」に比べて、深みと重みが感じられるワンランク上の1本です。甘い風味とコクをたのしんで。

アルコール度数:28度

芋焼酎「㐂六(きろく)」

黒木本店の看板商品ともいうべき芋焼酎。厚みのある香りと芋のやさしい甘味、凝縮感のある複雑な風味が特徴です。
ジューシーでフローラルな風味をたのしみたい人には、無ろ過で仕上げた冬季限定の「㐂六 無濾過」もおすすめです。

アルコール度数:25度

米焼酎「野うさぎの走り」

3年以上貯蔵・熟成させた米焼酎の古酒。すっきりとした味わいながら、ややスモーキーな香りと、複雑な風味と旨味がたのしめます。
独特のナッツフレーバーを堪能したい人には水割りが、米の旨味と複雑なナッツ風味の一体感を味わいたい人にはお湯割りがおすすめです。

アルコール度数:37度

「百年の孤独」は、麦焼酎ファンはもちろんのこと、ウイスキーやブランデーが好きな人や、焼酎初心者にもおすすめしたいプレミアムな逸品。自分へのごほうびや大切な人のギフトにも重宝するので、チャンスがあったら逃さず手に入れたいですね。

※金額は、2022年11月時点のものです。最新の情報は各ホームページなどでご確認ください。

製造元:株式会社黒木本店
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