キャンベルタウンは塩辛さで魅了するスコッチウイスキーの名産地!歴史や味わい、3蒸溜所の特徴を徹底解説

キャンベルタウンは塩辛さで魅了するスコッチウイスキーの名産地!歴史や味わい、3蒸溜所の特徴を徹底解説
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キャンベルタウンのシングルモルトウイスキーが造られているのは、スコットランド南西部・キンタイア半島にある港町。海風の影響を受け、潮気を感じる風味が育まれています。今回はキャンベルタウン地域の歴史や、現在稼働している3つの蒸溜所の概要、銘柄、飲み方などについて紹介します。

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キャンベルタウンは、かつて「世界のウイスキーの首都」と呼ばれる一大生産地でした。現在は、スプリングバンク、グレンスコシア、グレンガイルの3蒸溜所のみが稼働し、少量生産でていねいなウイスキー造りが行われています。キャンベルタウンのウイスキーの魅力に迫ります。

キャンベルタウンのウイスキーとは?

スコットランドのキャンベルタウン

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キャンベルタウンのシングルモルトウイスキーは、スコットランド南西部のキャンベルタウンという小さな港町で造られています。一時は「世界のウイスキーの首都」と呼ばれるほど栄えていましたが、今は3つの蒸溜所のみが稼働しています。なお、キャンベルタウンは、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝氏が、修業のために滞在した地としても有名です。

キャンベルタウンはスコッチ最小のウイスキー産地

スコットランドのキャンベルタウン(Campbeltown)は、スコッチウイスキー6大生産地のひとつです。かつては「世界のウイスキーの首都」と呼ばれるほど栄えていましたが、現在ではもっとも小規模な生産地として知られています。

キャンベルタウンは、スコットランド南西部・キンタイア半島に位置する小さな港町で、アーガイル地方の豊かな自然に囲まれた土地柄が特徴です。また、日本のウイスキー造りの礎を築いたニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏が、修業のため滞在した地でもあり、日本のウイスキーファンにとっても特別な意味をもつ地域となっています。

港町キャンベルタウンは、潮風が吹き抜ける独特の熟成環境を備えています。こうした自然条件に、各蒸溜所が守り続けてきた少量生産と手間暇を惜しまない造りが重なることで、キャンベルタウンモルトならではの潮の香りや塩気を想わせるニュアンスや、オイリーでフルボディな質感が育まれてきました。
こうした土地の風土と、職人たちが受け継いできた技が、キャンベルタウンモルトならではの個性を形づくっています。

キャンベルタウンのハーバー

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栄枯盛衰の歴史、全盛期からわずか3蒸溜所に

かつてキャンベルタウンは、現在のスペイサイドと肩を並べるほどの一大ウイスキー産地で、19世紀の最盛期には30以上の蒸溜所が稼働していました。この地でウイスキー産業が成長した理由は、良質な大麦を入手しやすく、豊富な水源、石炭などの燃料にも恵まれ、さらに港町で輸送にも適していたからです。

しかし、20世紀に入ると状況は一変します。戦争(第一次世界大戦)による経済停滞、アメリカの禁酒法による輸出市場の喪失、石炭を掘りつくしたことによる燃料の枯渇、さらに品質低下による評判の失墜などが重なり、多くの蒸溜所が閉鎖。全盛期を誇った街は衰退し、現在稼働しているのはスプリングバンク、グレンスコシア、そして長い閉鎖期間を経て復活したグレンガイルの3蒸溜所のみとなっています。

キャンベルタウンが生むシングルモルトウイスキーの味わいの特徴

キャンベルタウンモルトはブリニー

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キャンベルタウンのシングルモルトは、「ブリニー」と呼ばれる塩気のある風味が特徴です。潮気を感じさせる港町らしい味わいに、オイリーで厚みのある口当たり、バニラのような甘味、穏やかなピート感が重なり、ほかの生産地にはない個性を生み出しています。

海風の影響で生まれる塩辛さとミネラル感

キャンベルタウンモルトの味わいに大きな影響を与えているのが、海沿いの環境がもたらす潮気です。熟成庫に届く海風の影響により、潮の香りを想わせる塩味やミネラル感が生まれます。「ブリニー」とも表現される塩辛さは、キャンベルタウンモルトを特徴づける独特の味わいです。
さらに、オイリーで重厚感のあるテクスチャーも特徴です。

塩味と甘味が特徴のキャンベルタウンモルト

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バニラの甘味や、軽めのピート感も

キャンベルタウンモルトには、バニラやキャラメル(トフィー)のような甘味、穏やかなスモーキーさやピート香といった、多彩な香味をもつものがあります。

キャンベルタウンモルトに感じる甘味は、製法や原料、熟成樽由来のもの。またスモーキーフレーバーは、ピーテッドモルトを使うことでもたらされます。なお、蒸溜所によっては、ピート(泥炭)の使用量を変えて、異なるスモーキーフレーバーを生み出しているところもあります。

海を望むキャンベルタウンの町並み

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キャンベルタウンのウイスキーと、ほかの地域との違いは?

キャンベルタウンモルトは、スコッチの主要産地であるスペイサイドやアイラ、ハイランドなどと比べると、中間的でありながら、どこにも属さない独自の立ち位置にあります。

華やかでフルーティーなスペイサイドモルトと、強烈なスモーキーさやピート香が前面に出るアイラモルト。そのちょうど中間に位置するような味わいを思い浮かべると、キャンベルタウンの個性がつかみやすいかもしれません。

とはいえ、単なる「中間」の味わいではありません。キャンベルタウンモルトは、海辺の潮風を想わせるニュアンスや、オイリーで重厚な質感、ほのかなスモーク、そしてやわらかな甘味が重なり合い、港町ならではの複雑で奥行きのある表情を見せます。

この絶妙なバランスこそが、ほかの地域にはないキャンベルタウンのウイスキーの魅力。少量生産ながらも、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を受け続ける理由は、この唯一無二の個性にあります。

キャンベルタウン3蒸溜所の特徴とおすすめのウイスキー銘柄

キャンベルタウン3蒸溜所の銘柄

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キャンベルタウンの3蒸溜所では、個性豊かなシングルモルトウイスキーを生産しています。スプリングバンク蒸溜所の「スプリングバンク」「ヘーゼルバーン」「ロングロウ」、グレンスコシア蒸溜所の「グレンスコシア」、グレンガイル蒸溜所の「キルケラン」の代表的おすすめ銘柄とともに、各蒸溜所の特徴を紹介します。

スプリングバンク蒸溜所

キャンベルタウンを語るうえで欠かせない象徴的な蒸溜所が、1828年創業のスプリングバンク蒸溜所です。昔ながらの伝統製法を守り続ける、スコットランドでは数少ない独立資本の蒸溜所として知られています。すべての麦芽をフロアモルティングでまかない、ボトリング設備も有する珍しい蒸溜所で、製麦から瓶詰めまでの全工程を自社で完結させています。

またスプリングバンクは、同じ蒸溜所内でピートレベル(ピートの使用量)と蒸溜方法を変え、3つのブランドを造り分けているのもユニークな点です。ちなみに、キャンベルタウンの5つのモルトをブレンドしたシングルモルトウイスキー、「キャンベルタウン・ロッホ」もこのスプリングバンクで生産しています。

【スプリングバンク】

スプリングバンク10年

出典:株式会社ウィスク・イーサイト

蒸溜回数は2.5回という独特のスタイルで造られるシングルモルト。リッチでスイートな芳香と、塩辛さが特徴で、ほのかなピートも感じられます。蒸溜所名を冠したブランドで、全生産量の約7割にあたります。
代表的銘柄は「スプリングバンク10年」。バーボン樽原酒を60%、シェリー樽原酒を40%使用した10年熟成のシングルモルトで、「モルトの香水」と呼ばれるほど香り高く、ブリニーさも感じられます。少量生産で熱狂的ファンが多いため、とくに長期熟成ボトルは入手困難です。

国内販売元:株式会社ウィスク・イー
「スプリングバンク10年」商品詳細はこちら

【ヘーゼルバーン】

ヘーゼルバーン

出典:株式会社ウィスク・イーサイト

かつて竹鶴政孝氏が修行し、今はなき蒸溜所名を冠したブランドで、1997年からスプリングバンク蒸溜所が生産しています。3回蒸溜による軽やかさが特徴で、かつノンピートで仕上げられているため、初心者にも飲みやすい味わいです。
代表的銘柄は「ヘーゼルバーン10年」。バーボン樽熟成の10年もので、ノンピートでライトなボディをたのしめます。

国内販売元:株式会社ウィスク・イー
「ヘーゼルバーン」商品詳細はこちら

【ロングロウ】

ロングロウ

出典:株式会社ウィスク・イーサイト

フェノール値50ppmのヘビリーピーテッドで、3ブランドのなかでもっともスモーキー。2回蒸溜で造られ、年数の異なる多様なカスクがブレンドされています。味わいは、力強いピート香がありながら、リッチで甘くクリーミーです。
こちらも、かつて実在していた蒸溜所名を冠したブランドで、代表的銘柄は「ロングロウ」。ドライで刺激的な風味が特徴です。

国内販売元:株式会社ウィスク・イー
「ロングロウ」商品詳細はこちら

グレンスコシア蒸溜所

グレンスコシアカンベルタウンハーバー

出典:都光オンライン

1832年創業のグレンスコシアは、キャンベルタウンに残った数少ない蒸溜所のひとつです。歴史の途中で幾度か閉鎖や操業停止を経験しましたが、1980年代初頭に大改修の末、再び操業を開始。現在はロッホローモンド社が所有し、近年世界の名だたるコンテストで高評価を受けている注目の存在となっています。

代表的銘柄は、「グレンスコシア カンベルタウン(キャンベルタウン)・ハーバー」。ファーストフィルのバーボン樽100%を使用したノンエイジのボトルで、フルーティーな甘い香りや、ソルティで軽やかなスモークなど、キャンベルタウンらしい風味をたのしめます。

国内販売元:株式会社都光
公式サイトはこちら
公式サイトはこちら(英語)

グレンガイル蒸溜所

キルケラン12年

出典:株式会社ウィスク・イーサイト

グレンガイル蒸溜所は、閉鎖していた施設をスプリングバンク蒸溜所のオーナーが2004年に復活させた、新しいキャンベルタウンを象徴する蒸溜所です。歴史自体は1872年創業と古く、約80年の時を経て再スタートしたことで、地域の誇りを取り戻す存在となっています。

2009年にリリースされたシングルモルト「キルケラン」 は、スプリングバンクの麦芽と同じ仕込み水を使用して造られています。甘味・酸味・辛味のバランスのよい味わいから近年人気が高まっていて、キャンベルタウンの新しい潮流をつくり出しています。

代表的銘柄は、「キルケラン12年」。バーボン樽70%とシェリー樽30%をブレンドした1本で、潮気を伴うピートの香りや、ハチミツやバニラの甘さ、リコリスのアロマなどが感じられます。

国内販売元:株式会社ウィスク・イー
「キルケラン12年」商品詳細はこちら

キャンベルタウンのシングルモルトスコッチは、ストレートから飲み始めよう

キャンベルタウンモルトをストレートで飲む

5PH / Shutterstock.com

キャンベルタウンのシングルモルトは、まずはストレートで、香りや風味の特徴を確かめるのがおすすめです。潮気やオイリーさ、軽いピート、ウッディな甘味など、複雑に絡み合う風味をひも解くたのしみがあります。ミネラルウォーターをチェイサーとして挟みながら、少しずつ飲み進めてみてください。

また、少量の加水で香りが開き、ロックにすると氷が溶けるにつれ味の輪郭が変わるなど、飲み方によって新たな表情に出会えます。水割りやトワイスアップ、ハイボールなどいろいろな飲み方を試して、好みの一杯を見つけるのも一興です。

ウイスキーは冷暗所で立てて保管

evgeeenius / Shutterstock.com

なお、キャンベルタウンに限りませんが、ウイスキーのおいしさを可能な限り長く保つためには、適切に保管することが大切です。ウイスキーは、直射日光に当たらない冷暗所で、立てたまま保管するのが基本。開栓前でも、ワインのように横置きにはしません。開栓後はしっかりフタを閉めて、早めに飲み切るのが理想です。

キャンベルタウンのシングルモルトウイスキーは、少量生産でなかなか入手しにくいボトルもあるので、ぜひ最後の一滴までおいしく味わいたいものですね。

スコッチウイスキーの6大生産地のひとつであるキャンベルタウンでは、3つの蒸溜所で個性豊かな銘柄が生産されています。機会があれば港町ならではのブリニーな味わいを飲み比べてみてはいかがでしょう。

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