みりんと料理酒って何が違うの? 料理に使うときのポイントや、お財布に響く酒税の有無なども確認
みりんと料理酒はともに調味料で、みりんは料理酒の一種とされることもありますが、両者は料理に使う際の役割に違いがあります。今回は、みりんと料理酒の種類や違い、料理酒と日本酒の違い、使用時のポイント、酒税の有無、おすすめの商品などを紹介します。
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はじめに、みりんと料理酒の関係性からみていきましょう。
みりんと料理酒は同じもの? それとも違うもの?
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みりん(味醂)と料理酒で、どのような違いがあるのかみていきましょう。
みりんは料理酒の一種?
みりんは、広い意味で料理酒の一種といえます。
みりんにはいくつか種類があり、なかには10パーセント以上のアルコール分が含まれているものもあるためです。
また、みりんと料理酒は、一般に料理に使う調味料という点では共通していますが、料理に使うときの役割には違いがあります。
以降、みりんと料理酒の種類や違いなどについて、順を追ってみていきます。
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みりんにはどのような種類がある?
みりんには、酒類調味料の「本みりん」、発酵調味料の「みりんタイプ」、「みりん風調味料」の3種類があります。
なお、本みりんを造る蔵元が名を連ねている全国味醂協会では、「本みりん」以外を「類似調味料」と位置づけています。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
本みりん
◇原料は、もち米、米こうじ、焼酎または醸造アルコールなど酒税法で定められているもの。
◇糖化および熟成を行うため、できあがりまで日数がかかる。
◇酒税法で定められている酒類で、アルコール度数は15度未満。
◇麹菌の酵素のはたらきにより、お米に含まれるデンプンやタンパク質からブドウ糖(グルコース)やオリゴ糖といった糖類、グルタミン酸、アスパラギン酸といったアミノ酸、乳酸、クエン酸といった有機酸などが生成され、さまざまな調理効果をもたらす。
◇もともとは飲用されていたもので、江戸時代後期から調味料として使われはじめたという説がある。現在でも飲用可能とする商品あり。
みりんタイプ
◇原料は、糖類、米、米こうじ、アルコール、食塩など。
◇米などの原料を発酵させたものに、糖類などを加えて作る。
◇アルコール分は含まれているが、定められた量の塩を加えて飲めなくしたうえで国税局長に申し出る「不可飲処置」が行われているため、酒類ではない。
みりん風調味料
◇水あめなどの糖類、米と米こうじで造る醸造調味料、酸味料などを混合して作る。
◇アルコール度数は1度未満のため、酒類ではない。
(参考)
全国味醂協会
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料理酒として日本酒は使える?
日本酒は料理酒として使えます。
料理酒には、定められた量の塩を加えて飲めないようにしている発酵調味料の「料理酒」と、塩が加えられていない酒類としての「料理酒」があります。前者を「加塩タイプ」、後者を「無塩タイプ」と区別することもあるので覚えておくとよいでしょう。
酒類としての「料理酒」には、もともと料理用として造られた日本酒(清酒)や合成清酒のほか、飲むために造られた一般的な日本酒も含まれています。
一般的な日本酒のうち料理酒に向いているのは、旨味成分のアミノ酸などが多く含まれている純米酒です。
一方、磨きに磨いた米を原料とする吟醸酒や大吟醸酒は、酒質がきれいで飲みやすい傾向にありますが、淡麗な味わいのものも多く、料理酒向けとはいえません。
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本みりんは料理酒の代わりとして使える?
本みりんは酒類なので、料理酒と同じ役割を果たす場合もありますが、すべての面において料理酒の代わりとなるわけではありません。
両者の役割の違いについては、次で詳しくみていきます。
料理に使うなら、みりんと料理酒どっち?
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まずは、調理での本みりんや料理酒の役割について確認しておきましょう。
なぜみりんやお酒を料理に入れる?
本みりんや料理酒を料理に入れる理由は、以下に挙げたようなさまざまな効果が期待できるためです。
◇肉や魚などの食材の臭みを消す
◇味をしみ込みやすくする
◇食材をやわらかくする
◇旨味やコクを出す
◇煮くずれを防ぐ
◇香りや風味をよくする
◇味わいをまろやかにする
◇ツヤを出す
◇殺菌効果
◇甘味をつけたり照りを出したりする(本みりんや類似調味料)
◇塩味をつける(塩分が入っている発酵調味料のみりんタイプ&料理酒)
など
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みりんと料理酒の違いは?
本みりんや類似調味料の大きな役割は、甘味をつけたり照りを出したりすること。一方の料理酒については、アルコール分が関係していて、食材の臭みを消す、味をしみ込みやすくするといった役割や、旨味やコクを出すことなどを期待して用いられるという違いがあります。
先に挙げた効果のうち、アルコール分が関係しているといわれる効果は以下のとおりです。
◇食材の臭みを消す
◇味をしみ込みやすくする
◇煮くずれしにくくする
◇殺菌効果
など
酒類である本みりんやアルコール分を含む発酵調味料のみりんタイプについては、アルコール分が関係しているといわれる効果のほかに、甘味をつけたり照りを出したりする調味料と位置づけられていることを覚えておくとよいでしょう。
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みりんと料理酒、料理に使うときのポイントは?
本みりんと発酵調味料のみりんタイプ、そして料理酒は序盤に、みりん風調味料は最後に入れるのがポイントです。
料理の際に調味料を入れる順番は「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(しょうゆ)・そ(みそ)」といわれています。
本みりん・みりんタイプ・料理酒には、相当量のアルコール分が含まれているので、これらは砂糖の前に入れて、食材をやわらかくするなどアルコール分による期待される効果を引き出しましょう。
一方、みりん風調味料についてはアルコール分がほとんど含まれていないので、みそのあとに入れるとよいでしょう。
また、アルコール分を含む本みりん・みりんタイプ・料理酒を、おひたしや和え物といった加熱しない料理に使う場合には、別途加熱しアルコール分を飛ばしてから使うのもポイントです。
なお、発酵調味料のみりんタイプと料理酒には塩分が含まれているので、使用分量や塩味の加減に気をつけましょう。
みりんと料理酒に酒税はかかっている? お得なタイプはどれ?
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酒類である本みりん、料理用日本酒、一般的な飲用するため日本酒には酒税がかかります。
そのほかのみりん風調味料や発酵調味料のみりんタイプ&料理酒は酒類ではありません。酒税がかからないこともあり、これらは比較的安い価格で入手可能となっています。
たしかに安価なほうが手に取りやすい面はありますが、用途に合わせて商品を選ぶことが大切です。
たとえば、アルコール分がほとんど入っていないみりん風調味料は、アルコール分を飛ばす必要がなく、手軽に使えるという利点があります。しかし、みりん風調味料は甘味をつけたり照りを出したりすることはできますが、食材をやわらかくするなどアルコール分が関係しているという効果を得ることはできません。
また、伝統製法で造られる本みりんや日本酒には、料理に旨味やコクを与えるアミノ酸などが豊富に含まれているため、味わいに深みをもたらします。比較的高価な商品もありますが、試してみる価値のあるものといえるでしょう。
一度は使ってみたいプロ仕様のみりんと料理酒
じっくりと熟成させた本みりんとプロ仕様の料理酒を紹介します。いずれも、少しぜいたくしたいときなどに一度は使ってみてほしいおすすめの商品です。
福来純「伝統製法」熟成本みりん|3年熟成の逸品
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国産のもち米と米こうじ、米焼酎のみを原料とし、伝統的な手法で90日仕込み、熟成に3年ほどかけて造られる本みりん。上品で深みのある甘味と旨味がたっぷり感じられる逸品で、料理の味わいをランクアップさせます。煮物などに使うのはもちろん、カステラなどお菓子作りの風味増しにもぴったり。
製造元:白扇酒造株式会社
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こんにちは 料理酒|素材の持ち味を引き出すプロ仕様の料理酒
出典:合名会社大木代吉本店サイト
旨味のもとであるアミノ酸度を上げる酒質設計をし、米と米こうじ、栄養の宝庫である酒粕を原料に、試行錯誤の末、生み出されたプロ仕様の料理酒。塩や糖類などは一切含まれていません。
少量使用するだけで、食材の持ち味を引き立てて、料理にコクと旨味をもたらします。
製造元:合名会社大木代吉本店
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さまざまな種類があるみりんや料理酒。本みりんがよいか、それとも酒類の料理酒がよいかという二者択一の選択にとどまらず、火をとおさない和え物に使うならアルコール分がほとんど入っていないみりん風調味料、塩味もつけたいときには発酵調味料というように用途に合わせて選び、上手に使い分けてみてくださいね。