「知多(ちた)」は多彩な原酒の魅力を重ね合わせたシングルグレーンウイスキー
「知多」は、サントリーの知多蒸溜所が手がける人気のシングルグレーンウイスキー。おいしさの秘密は、世界でも珍しい原酒の造り分けにあります。今回は「知多」の概要や製法の特徴、味わい、おすすめの飲み方、蒸溜所の歴史、種類や価格などについて紹介します。
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目次
世界でも高く評価されているジャパニーズウイスキーのなかの、シングルグレーンウイスキー「知多」の魅力を深掘りします。
サントリーウイスキー「知多」とは?
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
サントリーウイスキー「知多」は、2015年(平成27年)9月に誕生したシングルグレーンウイスキーです。サントリーが所有する3つの蒸溜所のひとつ、愛知県知多市にある知多蒸溜所で生産されています。
「知多」の魅力は、ほのかに甘い香りとやわらかな味わい、なめらかで心地のよい余韻にあります。 その複雑で飲み飽きしない味わいから、2020年にイギリスで開催された世界的な酒類コンペティション、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」で金賞を受賞するなど、世界でも高く評価されています。
「知多」の飲み飽きしない味わいの秘密は、多彩なグレーン原酒の造り分けにあり
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
ウイスキーは一般的に、「ラウド(声高な)スピリッツ」と呼ばれる個性の強いモルトウイスキーと、「サイレント(静かな)スピリッツ」と呼ばれる穏やかな味わいのグレーンウイスキーの2種類に分けられます。後者のみで構成されている「知多」になぜ複雑さを感じるのでしょうか。製法から、飲み飽きしない味わいの秘密を探ります。
世界にも類を見ない、3タイプのグレーン原酒を造り分け
知多蒸溜所では、世界にも類を見ないグレーン原酒の造り分けを行っています。連続式蒸溜機で造られているのは、ヘビー・ミディアム・クリーンの3タイプ。ヘビータイプは穀類の香り立ちが強く豊かな味わいで、ミディアムタイプは穀物由来の旨味があり口当たりはマイルド、クリーンタイプはピュアでクリーンかつほのかな甘さがある、というように三者三様の個性を持っています。
さらに、知多蒸溜所では複数の貯蔵樽を使い分けて、樽熟成による造り分けも行っています。3タイプの原酒は、ホワイトオーク樽を中心に、スパニッシュオーク樽やワイン樽などに貯蔵・熟成され、時を重ねて、やさしい樽香が活きた豊かな風味の原酒に育ちます。そうしてピークを迎えた多彩な原酒が、「知多」をはじめとしたサントリーウイスキーを支えているのです。
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
グレーン原酒とは穀類を原料として造られるウイスキー
知多蒸溜所が造り分けているグレーン原酒(グレーンウイスキー)は、トウモロコシなどの穀類を主原料に造られます。グレーン原酒は、おもにブレンデッドウイスキーのブレンドに使われるウイスキーで、知多蒸溜所が造るグレーン原酒は、サントリーウイスキー「響(ひびき)」や「角(かく)」、「オールド」などにも用いられています。
ブレンデッドウイスキーは一般に、まろやかで飲みやすいと評されますが、その味わいはブレンダーが大麦麦芽を原料としたモルト原酒とグレーン原酒を調和させることで生まれるもの。モルト原酒の個性を引き立てつつ、味わいの基調となるグレーン原酒がなければ、ブレンデッドウイスキーは完成しないのです。知多蒸溜所がグレーン原酒の造り分けにこだわるのは、ブレンダーが描く理想の味わいを実現するために必要なことだといえます。
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
「知多」は多彩なグレーン原酒をブレンドして造られるシングルグレーンウイスキー
「知多」を造り出したのは、サントリーの5代目チーフブレンダーである福與伸二(ふくよしんじ)氏。福與氏は、日本が世界に誇る「山崎」の限定シリーズをはじめ、サントリーのさまざまなウイスキーを手がける名ブレンダーとして知られます。
福與氏の探究心と確信から生まれたシングルグレーンウイスキーが「知多」。一般的なシングルグレーンウイスキーは、単一蒸溜所の複数のグレーン原酒で造られていて、基本的にはシンプルで軽やかな味わいが特徴です。
「知多」を複雑で飲み飽きない味に仕上げるためにはどうしたらよいのか。その答えを導き出した福與氏は、造り分けたグレーン原酒を約10種類ほど重ね合わせることで、唯一無二の味を完成させました。
シングルグレーンウイスキー「知多」に感じる複雑さは、福與氏の匠の技と、知多蒸溜所のたゆまぬ研鑽があってこそ実現できた味わいなのです。
「知多」は繊細で軽やかな味わいで好評価
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
サントリーウイスキー「知多」の味わいをさらに紐解いていくと、人気の理由がわかります。
多彩な原酒を重ね合わせて生まれる「知多」は、繊細でほのかに甘く、樽熟成の賜物ともいえる確かな熟成感があります。ふわりと軽やかな飲み心地でクセがなく、日常的にたのしめる親しみやすさも大きな魅力。口当たりがよく飲みやすいので、ウイスキー好きだけでなく初心者にもおすすめできます。
サントリーブレンデッドウイスキーの最高峰「響」にも使われているグレーン原酒で造られた「知多」が、たくさんの人に高く評価されるのは当然のこと。ていねいに造られた高品質な味わいを、ぜひ堪能してみてください。
「知多」の飲み方は「風香るハイボール」がおすすめ
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
「知多」は肩肘張らず、リラックスして飲むのにぴったりのシングルグレーンウイスキーです。食中酒としても最適で、四季折々の旬の料理に合います。
イチオシの飲み方は、サントリーがおすすめする「風香るハイボール」です。
氷をたっぷり入れたグラスに、「知多」を適量注いでマドラーなどでかき混ぜます。次に、冷えたソーダ(炭酸水)を氷に当てないように静かに注ぎ入れます。知多とソーダの割合は、1:3から1:4が目安。最後に、炭酸が抜けないように縦に軽く1回混ぜれば完成です。
ジャパニーズウイスキーである「知多」は、和の素材との相性も抜群。薄くスライスしたすだちや生姜を添えたり、ミルで軽く挽いた山椒を加え、お好みで葉を飾ったりしてアレンジすれば、ひと味違う表情に出会えますよ。
「知多」のアレンジレシピはこちら
「知多」の和紙ラベルやキャップシールにも注目
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
知多蒸溜所のこだわりから生まれるサントリーウイスキー「知多」。ボトルデザインにもそのこだわりが活きています。
「知多」のラベルには、ジャパニーズウイスキーらしく和紙が採用されています。ブランド名の「知多」の書は、兵庫県丹波生まれの書家・荻野丹雪(おぎのたんせつ)氏によるもの。「知多」そのものの味わいを表しているかのような、躍動感と繊細さを併せ持つ文字に魅了されます。ちなみに、越前和紙のラベルが目を引くサントリーウイスキー「響」の書もまた、荻野氏が手がけたものです。
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
「知多」のボトルトップを飾るキャップシールの色は、日本の伝統色のひとつ「濃藍(こいあい)」。やわらかな光沢を放つ白銀地に線上に重ねることで、軽やかな風が表現されています。
明るく澄んだ黄金色が映える透明ボトルに、和紙のラベルと濃藍のキャップシールが見事に調和している「知多」。ボトルの佇まいにも注目です。
「知多」を育む知多蒸溜所の歴史と特徴
出典:サントリー知多蒸溜所サイト
「知多」を生む知多蒸溜所の歴史と特徴をかんたんに紹介します。
知多蒸溜所は、サントリーグループと全農グループの共同出資により1972年に設立された蒸溜所です。2019年にサントリー知多蒸溜所株式会社に社名変更しました。
2022年に創立50周年を記念して、約100億円を投じて新たな蒸溜設備を導入。同年7月から本格稼働しています。
知多蒸溜所で造られるグレーン原酒は、サントリーのブレンデッドウイスキーを支えてきた陰の立て役者です。新しい蒸溜機によって生み出される原酒で、今後どのような味わいのウイスキーが誕生するのかと期待が膨らみますね。
愛知県・知多に蒸溜所を設立した理由は?
サントリーのウイスキー蒸溜所のうち、山崎蒸溜所(大阪府)や白州蒸溜所(山梨県)は自然豊かな場所にありますが、英虞(あご)湾を望む知多は工業地帯。なぜ3つ目の蒸溜所を知多に設立したのでしょう。
サントリーが知多に蒸溜所を設立した大きな理由としては、物流面で利便性のよい場所であることが挙げられます。滋賀にある貯蔵庫と白州蒸溜所の中間に位置すること、港が近くて主原料の米国産トウモロコシ(コーン)を受け取りやすいことなどからこの地が選ばれたのです。
「知多」の容量や種類、価格
出典:サントリーウイスキー「知多」ブランドサイト
サントリーウイスキー「知多」の種類は1種類のみ。容量違いの3タイプで展開しています。
一番大きな700ミリリットルサイズは約4,000円。その半量の350ミリリットルサイズは約2,000円。より手に入れやすいコンビニ限定の180ミリリットルサイズは約1,130円です。
アルコール度数は43%。いずれも中身は同じです。用途に合わせて容量サイズを選べるのはうれしいですね。
サントリーウイスキー「知多」は、知多蒸溜所が造るグレーン原酒のみで構成されたシングルグレーンウイスキーです。現チーフブレンダー福與氏が匠の技で生み出した軽やかな味わいを、風香るハイボールで体験してみては?
製造元:サントリー株式会社
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