北海道の麦焼酎がおいしい理由とは? 雄大な自然が育む麦の魅力を味わう
北海道の焼酎というと、じゃがいも焼酎やとうきび焼酎、そば焼酎などが有名ですが、道産麦で造る麦焼酎も人気です。今回は、北海道の大自然に育まれた麦の魅力と、麦焼酎の原料に使われる麦の種類、北の大地で醸されるおすすめの麦焼酎などを紹介します。
- 更新日:
北海道の麦焼酎は、おもに北海道産の麦を主原料に造られます。ここでは、北の大地に育まれる麦焼酎の魅力をひもときます。
北海道は日本有数の麦の産地
Anton Mukhin/ Shutterstock.com
まずは北海道という土地と麦焼酎の原料となる麦の関係をみていきましょう。
北海道は日本の食料基地
北海道は、国内の農地面積の約4分の1を占める日本の食料基地。冷涼な気候と肥沃な大地を生かして、ばれいしょ(馬鈴薯/じゃがいもの別名)や米、大豆、小豆、アスパラガス、スイートコーンなど、さまざまな農産物を生産しています。
恵まれた自然環境で育まれる農産物は、他県に比べて農薬や化学肥料を必要とせず、また冷涼な気候は貯蔵にも適していることから、北海道ブランドとして国内外で注目を集めています。
麦焼酎の原料となる麦もそのひとつ。なかでも十勝地方を中心に生産される小麦は、日本一(※)の収穫量を誇っています。
北海道の焼酎の多くは、道産の農産物を原料に造られます。じゃがいも焼酎やとうきび焼酎、そば焼酎などが有名ですが、麦焼酎も例外ではありません。雄大な大地に育つ麦と良質な水で造られる麦100%の本格麦焼酎は、海の幸をはじめ、北海道のさまざまな食と引き立て合う食中酒としても定評があります。
※国土交通省 北海道開発局より
北海道で栽培される麦の種類
小麦や大麦、ライ麦など、麦にはさまざまな種類がありますが、北海道で栽培されるのは、おもにパンやパスタなどの原料となる小麦と、大麦の一種でビール造りにも使われる二条大麦。国内シェア55%(※)と圧倒的な収穫量を誇る小麦はもちろんですが、二条大麦についても大手ビールメーカーとの契約栽培を行うなど、栽培がさかんに行われています。
※農林水産省|令和3年産麦類(子実用)の作付面積及び収穫量より算出
麦焼酎の原料に使われる麦の話
ifong/ Shutterstock.com
日本で生産されている麦は、おもに大麦と小麦です。一般的な麦焼酎は、大麦のなかでも粒の大きい二条大麦を原料に使用していますが、北海道では小麦が使われることもあります。
麦焼酎の原料はおもに二条大麦
麦焼酎の多くは、ラベルの原材料名を「麦・麦麹」「麦・米麹」「麦(国産)」などと表記していますが、特記なき場合、「麦」は大麦を指します。
大麦といってもその種類はさまざまで、一般的な麦焼酎造りには粒の大きい二条大麦(大粒大麦)が使われます。もちろん、粒の小さい六条大麦(小粒大麦)やはだか麦を使って独特の香味を引き出す銘柄も存在します。
大麦の種類とおもな用途は以下のとおりです。
大麦の種類とおもな用途
◇二条大麦(大粒大麦)…焼酎、ビール
◇六条大麦(小粒大麦)…主食用(麦ごはんや大麦麺)、麦茶
◇はだか麦…主食用(麦ごはん)、麦みそ
なお、麦焼酎造りに使われる二条大麦にも、ビール醸造用や焼酎用、みそ用などさまざまな品種があります。
小麦から造られる麦焼酎もある
小麦はパンや麺、ピザ生地、ギョウザの皮、カステラやケーキ、和菓子、ビスケットなどの菓子類、みそ、麦ごはんなどさまざまな用途に使われていますが、北海道では、麦焼酎の原料に用いられることもあります。
もちろんこれは、「地元で収穫される良質な小麦で焼酎を造ってみたい」というチャレンジスピリットから生まれたレアなケース。どのような味わいに仕上がるのか、気になる人はぜひ大麦で造られた麦焼酎と飲み比べてみてください。
taa22/ Shutterstock.com
国産麦で造られる麦焼酎は貴重!?
北海道は麦の一大産地と述べましたが、国内全体で見ると麦の自給率はごくわずか。
大麦に関していえば、主食用や麦みそ用の多くは国内産でまかなえているものの、ビール醸造用や焼酎用の二条大麦にいたっては、需要に対する国内生産量の割合が低く、その多くをオーストラリアなどからの輸入にたよっているのが現状です。
国産小麦はさらに貴重で、日本における自給率は、わずか15%(※)といわれています。
※農林水産省「令和2年度食料自給率について」より
このようなことからも、希少な国内産の麦を使った麦焼酎に注目が集まるのは必然といえるでしょう。道産の原料にこだわった麦焼酎ならなおのこと。この機会にぜひ北海道の麦焼酎を味わってみてください。
北海道の麦焼酎を飲み比べ
北海道の麦焼酎のおすすめ銘柄を紹介します。
札幌酒精工業「麦焼酎 喜多里」
札幌酒精工業株式会社ホームページ
「喜び多きふる里、北海道」というコンセプトから生まれた「喜多里」は、「サッポロソフト」で知られる昭和8年(1933年)創業の札幌酒精工業が、北海道の酒造メーカーとしてのプライドをかけて創り上げた本格焼酎シリーズ。北海道産の原料にこだわり、現在、芋・じゃがいも・昆布・麦の4種類を展開しています。
「本格麦焼酎 喜多里」は、道南地域で契約栽培された大麦(二条大麦)を使用した麦焼酎。大麦の香味が生きた、やわらかくやさしい飲み口の1本です。
札幌酒精工業株式会社
公式サイトはこちら
ブランドサイトはこちら
さほろ酒造「負けない男の麦焼酎 十勝無敗(じゅっしょうむはい)」
masa44/ Shutterstock.com
「日本最大の食料基地「十勝」で醸す、北の本格焼酎」のキャッチコピーが目を引く麦焼酎の造り手は、「新得そば」で有名な北海道上川郡新得町(しんとくちょう)で焼酎蔵を営むさほろ酒造。大雪山系の伏流水と厳選した上質の麦を使って、減圧蒸溜でスッキリと仕上げた麦100%の本格麦焼酎です。
さほろ酒造株式会社
公式サイトはこちら
さほろ酒造「道産小麦の本格焼酎 ぱんぱか」
Chiristsumo/ Shutterstock.com
小麦の生産高日本一を誇る十勝の地で、十勝産小麦を原料に焼酎を造りたい。そんな蔵元の想いから誕生したのが、「道産小麦の本格焼酎 ぱんぱか」です。小麦由来のやわらかな甘味と風味、パンを想わせるかすかな含み香がクセになりそう。
さほろ酒造株式会社
公式サイトはこちら
北海道の麦焼酎は、焼酎通はもちろん、焼酎初心者にもおすすめのお酒。北海道の郷土料理をはじめ、幅広い料理とマッチするので、機会があったらぜひ一度味わってみてください。麦焼酎の本場、大分県や長崎県壱岐島の銘柄と飲み比べるのも一興です。