焼酎には賞味期限がある? 正しい保存方法は?
焼酎には賞味期限や消費期限はありません。開封・未開封に関わらず、基本的には時間が経ってもおいしく飲めます。ただ、品質は変化することがあるため、適切に保存することが大切です。今回は、焼酎の賞味期限とおいしさを保つための正しい保存方法について解説していきます
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焼酎に賞味期限がない理由
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焼酎には、賞味期限や消費期限がありません。いきなり種明かしをしてしまいましたが、多くの人が気にかけているのは、開封後のことでしょう。なかには、「数年前に開栓した焼酎は飲んでも大丈夫?」「開栓後は何年くらいもつの? 」という疑問を抱いている人もいるのでは? まずは、焼酎の賞味期限に関する素朴な疑問に答えます。
開封後の賞味期限は?
焼酎に賞味期限がないのは、焼酎が醸造酒を蒸溜して造った蒸溜酒だからです。同じく蒸溜酒であるウイスキーやブランデー、ウォッカ、ラム酒、ジンなども、焼酎と同様に賞味期限がありません。
焼酎やウイスキーなどの蒸溜酒は、蒸溜の過程で不純物が取り除かれます。細菌のエサになる不純物がなければ、腐る心配はないということです。また、蒸溜によってアルコール分を濃縮しているため、当然ながらアルコール度数が高くなりますが、アルコールには殺菌作用もあるため、基本的には雑菌が繁殖する余地もありません。
焼酎をはじめとした蒸溜酒に賞味期限が必要ないのは、こうした理由からです。
焼酎の銘柄によっては、ラベル等に「開封後/開栓後はなるべく早めにお召しあがりください」などと記載されていることがありますが、焼酎のようにアルコール度数が高い蒸溜酒は、開封後も腐ることはありません。
とはいっても、造り手が想定し得ない環境で保存した場合は例外です。腐敗したり雑菌が繁殖したりするわけではありませんが、品質が劣化してしまうおそれがあります。とくに開封後は香味が損なわれやすくなるので、正しい方法で保存する必要があります。
5年後、10年後でも大丈夫?
焼酎は、保存方法さえ気をつければ、5年先でも10年先でもおいしさを保つことができます。未開封・未開栓でもワインや日本酒のようなに熟成をすることはありませんが、風味や香りの変化は起きにくいので、安心してたのしめます。
開封して空気に触れた焼酎は、未開封のものに比べると風味や香りが変化しやすい傾向にありますが、正しく保存していれば時間が経過しても飲むことはできます。
酒造メーカーのなかには、風味が変化する前に飲んでほしいという想いから、瓶は開封後約2年、紙パックやペットボトルは開封後約1年以内に飲みきるよう推奨しているケースもあります。
焼酎の状態をチェックする方法は?
焼酎を劣悪な環境下で保存すると、「におい」「見た目」「味」などに変化が生じます。開封前なら飲める確率は上がるかもしれませんが、「日当たりのよい部屋から古い焼酎が出てきた」などという場合は要注意。飲む前に必ず状態をチェックしましょう。
【におい】
焼酎は一度開封すると香りが弱くなりますが、飲めなくなるわけではありません。しかし、ツンと鼻を突くアルコール臭ではなく、酸っぱい臭いやすえた臭いがしたときは、飲むのをあきらめてください。
【見た目】
次に、透明なグラスに注いで液体の色をチェックします。透明から琥珀色に近い色合いなら問題はありませんが、黒っぽく変色していたとしたら、劣化が進んでいる証拠。飲まずにほかの使い道を考えましょう。
【味】
においと見た目に問題がなければ、味を確認します。少量を口に含み、お酢のような味がしなければ、そのまま飲んでもかまいません。
焼酎ラベルに書かれた日付の意味とは?
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焼酎のラベルをよく見ると、日付を表す数字が記載されていることがあります。この日付は必ず過去のものになっているため「賞味期限が過ぎている!? 」とあせる人もいるでしょう。
でも、心配は無用です。焼酎のラベルに印字されている日付は、賞味期限ではなく、蔵元で瓶詰め(パック詰め)が行われた年月日。「焼酎ヌーボー(ヌーヴォー)」や「新酒」と呼ばれる、特定の時期にしか味わえない限定品でない限り、この日付を気にする必要はありません。
焼酎の正しい保存方法は?
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焼酎の品質を保つには、適切な条件下で保存することが大事です。さっそく、焼酎の保存に適した条件を見ていきましょう。
未開封の焼酎を保存するには光と温度に注意
未開封の焼酎を保存するには光と温度に注意
未開封の焼酎も、保存方法を誤ると、品質の劣化は避けられません。
焼酎を保存するうえで気をつけたいポイントは「日光」と「温度」。これは、瓶入りに限らず、紙パックやペットボトルにもいえることです。
焼酎は、直射日光にさらされると旨味成分が分解してしまい、酸化したような臭いがして、独特の香味が損なわれてしまいます。焼酎の瓶に透明なものが少ないのは、こうした光を遮るためです。また、温度変化、とくに高温も焼酎の大敵なので、高温多湿な場所や、熱を受けやすいキッチン回りなどは避けたほうがよいでしょう。
焼酎の保存に適しているのは、日光が届かず、温度変化の少ない場所。床下収納や押し入れなどの冷暗所がおすすめです。
未開封の焼酎を保存する際のポイント
未開封の焼酎を保存する際、覚えておきたいポイントを紹介しましょう。
焼酎のラベルなどに「冷暗所で保存ください」と表記されていることがありますが、温度が低ければよいというわけではありません。焼酎は冷やしすぎると、旨味成分が凝固して澱(おり)が生じたり、油分が浮いてきたりすることもあるからです。
「冷暗所」とは、常温(20度程度)より温度が低く、直射日光が当たらない場所のこと。蔵元によっては「涼しい場所」と表現するケースもあるので、保存場所選びの参考にしてください。
また、紙箱や木箱に入った焼酎は、箱から出さずにそのまま保存しましょう。箱が日光を遮ってくれるので、品質が変わりにくくなります。箱入りでない場合、焼酎の瓶を新聞紙などで覆っておくのもおすすめです。
開封後の焼酎を保存するには?
焼酎は、開封して空気に触れると、香りが飛びやすくなります。直射日光が当たらない冷暗所で保存すれば、時間が経過しても飲めますが、焼酎独特の風味や香りを存分にたのしみたい人は、早めに飲みきることをおすすめします。
開封後の焼酎を保存する際に気をつけたいのが、におい(匂い/臭い)移り。においが強い食材などが近くにあると、焼酎ににおいが移って、風味が落ちてしまうことがあります。保存時は、においを発するものを遠ざけ、ボトルのキャップを確実に閉めておきましょう。
開封後の焼酎には、酸化も大敵です。保存の際はキャップをしっかり閉め、ボトルとキャップの間に隙間があるようなら、ラップをかぶせて輪ゴムで密封してしまいましょう。
とくに気をつけたいのが、人気の「無ろ過焼酎」。ろ過をしないか、ろ過を最低限にとどめることで、素材の風味を生かすように造られた「無ろ過焼酎」には、「フーゼル油」と呼ばれる香気成分が、一般的な焼酎よりも多く含まれています。しかしこのフーゼル油が酸化すると、焼酎の品質を劣化させてしまうので、早めに飲みきるのが賢明といえそうです。
余った焼酎の便利な使い道
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焼酎には賞味期限がないので、保存状態がよければ最後までおいしく飲めますが、品質劣化が気になったときは、飲用以外の用途に有効活用してみてはいかがでしょう。
料理に使う
焼酎は、料理の味をととのえる調味料としても役立ちます。日本酒や料理酒に比べて旨味が少ないため、すべての料理に合うわけではありませんが、肉や魚の臭みを消したり、肉をやわらかくするといった効果を期待できます。
なかでも牛すじの煮込みや豚の角煮、魚の煮付けといった煮込み料理との相性が抜群なので、機会があったら試してみてください。
防虫剤として再利用
開封したまま長期間放置されていた焼酎があれば、唐辛子を加えて、家庭菜園用の防虫剤を手作りしてみてはいかがでしょう。
作り方はかんたんです。余った焼酎のボトルに唐辛子を数本入れて、1週間ほど寝かせます。うっすらとオレンジ色がついたら、300倍程度に水で希釈して、霧吹きに移して完成。希釈を150倍程度にすると効果が高まるようですが、濃度が濃すぎると植物が枯れてしまうこともあるので注意しましょう。
手作り防虫剤を、ぜひアブラムシなどの害虫駆除に役立ててみてください。
スキンケア用品に使う
焼酎に、精製水とグリセリンを加えると、化粧水が完成します。また、精製水と合わせてコットンやフェイスマスクに染み込ませれば、フェイスパックに早変わり。お風呂に入れれば、入浴剤としても重宝しそうです。
ただし、芋や麦、米など、自然の恵みから造られる焼酎はナチュラルなお酒ですが、アルコールが肌に合わない人は、スキンケア用品としての使用を避けるようにしてください。
焼酎には賞味期限がないぶん、開封・未開封に関わらず、保存方法がおいしくいただくうえでの重要なカギとなります。正しい方法で保存して、ベストな状態で味わいたいものですね。