芋焼酎の変わり種? 焼芋焼酎って知っていますか?
焼芋焼酎は、焼き芋独特の深い甘味とコク、香ばしい香りが特徴の焼いたサツマイモで造る芋焼酎です。芋焼酎ファンはもちろん、甘いお酒が好きな人からも注目されています。ここでは、風味の特徴やおすすめの飲み方、人気の銘柄まで、焼芋焼酎の魅力を深掘りしていきます。
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焼芋焼酎ってどんなもの?
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焼芋焼酎は、芋焼酎の一種です。まずは、ファンを魅了してやまない魅力的な味わいと、一般的な芋焼酎との違いから見ていきましょう。
焼芋焼酎の味わい
焼芋焼酎は、焼き芋で造る本格焼酎。焼いたサツマイモならではのコク深い甘味と香ばしい香りを特徴に持ち、原料の焼き加減によっては焦げた風味もたのしめる注目度上昇中のお酒です。
焼き芋を使って仕込むと雑味が多くなる印象がありますが、そこは造り手の腕の見せどころ。多くの蔵元では、焼き芋独特の甘味と香りを際立たせるべく手間暇を惜しまず雑味を取り除いて、焼酎初心者でも存分にたのしめる味わいに仕上げています。
芋焼酎との違いとは?
焼芋焼酎と芋焼酎の違いは、原料芋の加工方法にあります。
一般的な芋焼酎はサツマイモを蒸して仕込みますが、焼芋焼酎はその名のとおり、焼いたサツマイモを原料に使用します。ヘタを切り落とした原料芋を専用の蒸し機に入れ、蒸気で蒸し上げる芋蒸しと違い、芋焼きは表面が焦げやすく、内部にまで均等に熱をとおすのが難しいうえ、一度に大量のサツマイモを焼き上げることができません。
また、焼きすぎると雑味が出て、逆に焼きが足りないと焼き芋らしい風味を引き出せないため、焼き加減の調整にも高い技術が求められます。このように、原料芋の加工方法だけをとっても、焼芋焼酎が大量生産向きでないことがわかるでしょう。
原料となるサツマイモは、鳴門金時(なるときんとき)やベニアズマ、種子島紫芋、黄金千貫(コガネセンガン)など、甘味の強いものを使用することが多いようです。これらを炭火焼きや石焼きなどさまざまな焼き方で、焼き加減を調整しながら、より甘味と香りのある芋焼酎に仕上げていきます。
焼芋焼酎のおすすめの飲み方
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焼芋焼酎は、ストレートやオン・ザ・ロック(ロック)、水割り、お湯割り、炭酸割りなど、さまざまな飲み方でたのしめますが、独特の味と香りを堪能するなら、お湯割りや水割り、通好みの前割りがおすすめです。
お湯割り
焼芋焼酎の風味と香りを存分に味わいたい人には、お湯割りが一押しです。
本格焼酎をお湯で割ると、原料由来の香味をより強く感じられるといわれていますが、焼芋焼酎なら、焼き芋らしい豊かな香りが立ち上がり、口当たりもまろやかに感じられます。
お湯割り作りのポイントは、お湯を入れたあとから焼酎を静かに注ぐこと。焼酎を先に注ぎ、上からお湯を加えると、アルコール分が一気に揮発してツンと鼻につく刺激臭が際立ってしまいます。逆に、お湯の上から焼酎をそっと注ぐことで、お湯と焼酎がよくなじんだまろやかで飲みやすいお湯割りに仕上がります。このとき、器の中で温度差による自然な対流が起きるので、マドラーなどでかき混ぜる必要はありません。
気になるお湯割りの温度ですが、人肌よりやや温かい40~45度程度が飲みごろといわれています。焼酎とお湯の比率を6:4(ロクヨン)にする場合、お湯の温度は70度程度が適温です。沸騰したお湯は器に移し替えることで温度を下げられるので、理想の温度になるまで調整してみてください。
水割り
焼芋焼酎そのものの個性を味わうなら、ストレートやロック、水割りがおすすめです。なかでも水割りは、ストレートやロックに比べて口当たりがマイルドで、アルコール度数の調整も自在。アルコールに弱い人や焼酎初心者でも肩肘張らずにたのしむことができます。
焼芋焼酎の水割りは、焼酎と水を混ぜるだけと作り方もかんたんですが、水をミネラルウォーターに、氷を市販のものに替えたり、グラスをあらかじめ冷蔵庫で冷やしておいたりと、一工夫加えるだけでもおいしさは格段にアップします。
お湯割りではお湯のあとから焼酎を加えますが、水割りでは、焼酎を先に器に注いでから水を加えるのがポイント。氷を入れる場合は、空のグラスいっぱいに満たし、その上から焼酎を注いでマドラーで軽くかき混ぜます。さらに、適量の水をゆっくりと注いで、もう一度マドラーでかき混ぜたら完成。水割りを作っている最中に氷が少し溶ける場合もありますが、新たに氷を追加すれば、見た目も味も満点の水割り焼酎に仕上がります。
なお、焼酎と水の黄金比は6:4(ロクヨン)の比率だといわれていますが、これはあくまで目安。水の割合を増やしても、焼芋焼酎の風味はたのしめるので、気分や体調、料理に合わせて好みの濃度で味わってください。
焼芋焼酎の代表銘柄を紹介
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焼芋焼酎の代表的な銘柄を紹介します。
炭火焼いも焼酎 鬼火(おにび)/田崎酒造
田崎酒造株式会社サイト
創業明治20年(1887年)、良質な水を求め、古くから焼酎造りを行っていた市来エリア(現在のいちき串木野市)に蔵を構えた田崎酒造。薩摩 七夕」で知られるこの焼酎蔵が造る焼芋焼酎「鬼火」は、主原料に鹿児島県種子島の契約農家が栽培した「種子島紫芋」を使用しています。
抗酸化物質であるアントシアニンをたっぷり含んだ「種子島紫芋」を自家製の炭火窯で約1時間かけて焼き、水分を飛ばして芋本来の旨味をギュッと濃縮。ここに上質な天然水、ていねいに作り上げた麹と混ぜて紫色のもろみを造り、じっくり仕込んでいきます。
出来上がった焼酎は、炭火焼き芋ならではの甘味を含んだふくよかな香りとまろやかな味わいが特徴。さつま揚げやきびなご料理など鹿児島の郷土料理はもちろん、煮物などとも抜群の相性を発揮します。
炭火焼きにした種子島紫芋の個性を堪能したい人には、黒麹仕込みの「黒鬼火」もおすすめ。すっきりとしたのどごしながら、焼き芋独特の香りと深いコクがたのしめる至高の逸品です。
製造元:田崎酒造株式会社
「鬼火」の商品情報はこちら
「黒鬼火」の商品情報はこちら
焼き芋焼酎 元祖やきいも/鹿児島酒造
鹿児島酒造株式会社サイト
「元祖やきいも」を手掛けるのは、鹿児島県北の阿久根市にある鹿児島酒造の黒瀬杜氏伝承蔵。「黒瀬杜氏」とは、明治末期から九州全域で活躍した、現在の南さつま市笠沙町(かささちょう)、黒瀬集落出身の焼酎職人のことで、同時期に誕生した「阿多(あた)杜氏」とともに、焼酎文化の発展と品質向上に貢献した伝説の杜氏集団として語り継がれています。
「元祖やきいも」は、「黒瀬杜氏」創設期のまとめ役であった黒瀬金次郎の三男で、「現代の名工」や「黄綬褒章」など数々の栄誉に輝いた黒瀬安光(くろせやすみつ)氏が、「和を重んずる造りから美味しい焼酎が生まれる」との信念をもと、老若男女すべての人に喜ばれる焼酎として生み出したこだわりの逸品。「元祖」の名があるとおり、焼芋焼酎の先駆けとなった1本です。
焼いた芋で仕込むという製法は、焼酎技術の基本を守りつつ「女性の方々にも楽しんで頂ける飲み口の焼酎を」と考えていた安光氏が、昭和50年(1975年)ごろに編み出し、その後何年もかけて完成させた革新技法。その根底にはもちろん黒瀬杜氏伝承の技がありました。
焼き芋ならではの甘い風味がたのしめますが、焼酎好きのなかには、「ほかの焼芋焼酎よりも辛口で、比較的長く飲んでいられる」という人も。さらに蒸溜した原酒を一度マイナスまで冷却し、不純物を取り除いていることから、「二日酔いしにくい焼酎」といった声もあります。
製造元:鹿児島酒造株式会社
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焼き芋焼酎 やきいも黒瀬/鹿児島酒造
鹿児島酒造株式会社サイト
焼芋焼酎の草分けとして知られる鹿児島酒造の黒瀬杜氏伝承蔵が、焼芋焼酎の元祖「元祖やきいも」の味に磨きをかけ、焼き芋ならではの風味や香りを引き出した、焼芋焼酎の雄。
主原料には黄金千貫を使用。これを昼夜問わず窯で焼き、独自の技術で、ホッとするやさしい甘さとホクホクの香りを引き出しています。
甘味やコクの強い本格焼酎は、雑味も強い印象があるかもしれませんが、「やきいも黒瀬」は「元祖やきいも」と同じく、原酒を2日間マイナス5度まで冷却し、不純物を取り除くことで雑味を軽減。飲みやすい1本に仕上げられています。
製造元:鹿児島酒造株式会社
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石焼き芋焼酎 石茜(いしあかね)/宝酒造
宝酒造株式会社サイト
ロングセラーの甲類焼酎「宝焼酎」の造り手で、芋100%の全量芋焼酎「一刻者(いっこもん)」でもその実力を見せつける宝焼酎が手掛けるのは、石焼き芋の焼酎。原料の南九州産の金時芋を、石焼き芋に使われる那智石(なちいし)でじっくり焼き上げ、黒麹を用いてかめで仕込んだこだわりの1本です。
金時芋といえば、石焼き芋やスイートポテト、天ぷらなどに使われるホクホク系の品種。上品な甘さを持つこの芋を石焼きにすると、中までしっかり火がとおって、甘く香ばしく焼き上がります。これを甘味とコクのある深い味わいをもたらす黒麹を使ってかめでていねいに仕込み、さらに独自の技術で蒸溜することで、石焼き芋本来の甘く香ばしい香りと味わいに仕上げています。
製造元:宝酒造株式会社
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焼き芋焼酎 魔界への誘い(いざない)/光武酒造場
合資会社光武酒造場サイト
「魔界への誘い」は、元禄元年(1688年)創業の光武(みつたけ)酒造場が黒麹の風味と香りにこだわり、名前のダークなイメージとは対照的に、クセのないすっきりとした味わいに仕上げた芋焼酎シリーズ。
平成6年(1994年)の誕生以来、豊かな香味と飲みやすさで人気を博してきましたが、近年は『デビルマン』や『北斗の拳』など、伝説のコミックとのコラボレーションで注目を集めました。
「焼き芋焼酎 魔界への誘い」は、じっくり焼き上げた鹿児島県産の黄金千貫を原料に、黒麹で仕込んだ焼芋焼酎。焼き芋は皮をむかずに粉砕して仕込みますが、蒸溜後は原酒をマイナス5度で2日間冷却し、油分などの不純物を手作業で除去するため、焼き芋独特の柔らかな甘味や芳醇な香味はそのままに、雑味が少ないまろやかで上品な味わいに仕上がるそう。
焼き芋ならではのほっこりした甘さと香ばしい香りに酔いしれながらも、するすると飲めてしまう、まさに魔界へ誘われるような芋焼酎。その危険な魅力をぜひ味わってみてください。
製造元:合資会社光武酒造場
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焼芋焼酎は、原料芋の種類や焼き方、製法によって個性が異なるため、銘柄選びのたのしみもひとしおです。もちろん、一般的な芋焼酎との飲み比べも一興。機会があったら、ぜひ味わってみてくださいね。