ウォッカベースのカクテル「雪国」は日本が生んだカクテルの傑作
「雪国」と呼ばれる日本生まれのカクテルを知っていますか? ウォッカをベースとしたスノースタイルのカクテルで、グラスの縁にあしらわれた砂糖が白い雪を想わせます。今回は半世紀以上にわたって世界で親しまれてきたカクテルの傑作、「雪国」の魅力に迫ります。
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目次
- 真っ白な雪を想わせるカクテル「雪国」って知ってる?
- 「雪国」は甘さのなかにすっきりとした酸味が感じられるカクテル
- カクテル「雪国」を作ってみよう
真っ白な雪を想わせるカクテル「雪国」って知ってる?
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「雪国」の生まれは山形県酒田市
カクテル「雪国」が生まれたのは、今から半世紀以上も前のこと。かつて「西の堺、東の酒田」と呼ばれ栄華を極めた港町、山形県酒田市の喫茶店「ケルン」で生まれました。
平成31年(令和元年/2019年)には、「雪国」誕生の経緯や取り巻く人々の想いを描いたドキュメンタリー映画「YUKIGUNI」が全国で公開。昭和30年(1955)にオープンした「ケルン」には、今も全国各地から本物の「雪国」を求めて訪れる人が後を絶たないといいます。
神秘的なカクテル「雪国」を作ったのはどんな人?
「戦後のスタンダードカクテルの金字塔」とまで呼ばれるようになった「雪国」を生み出したのは、日本最高齢の現役バーテンダーと言われ、2020年には「現代の名工」にも選ばれた、故・井山計一氏(残念ながら2021年5月10日に95歳で死去されました)。
井山氏はじつはお酒の飲めない下戸だったそう。日ごろからアルコール類を口にしないものの、一口舐めるだけで材料の味を覚え、来店した同業者に作り方を伝授することもあったのだそうです。
カクテルコンクールで見事1位を獲得した「雪国」
カクテルコンクールで栄えあるグランプリに輝いた「雪国」は、今や海外のホテルにあるバーで提供されるほど、世代や国境を越えて親しまれるスタンダードカクテルとなっています。
そんな「雪国」が生まれた経緯は、たまたまお店のカウンターにウォッカとホワイトキュラソー(オレンジのリキュール)、ライムジュースが並んでいて、ふいに思い立って合わせてみたら完成したというもの。特別なものを使わずに完成度の高い1杯を生み出す井山氏のセンスに、驚かされますね。
そして、味わいはさることながら、どの国でも手に入りやすい材料でおいしいカクテルが作れるという手軽さも、世界に広まった理由のひとつといえそうです。
「雪国」は甘さのなかにすっきりとした酸味が感じられるカクテル
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