万膳酒造は幻の芋焼酎「萬膳(まんぜん)」で知られるこだわりの焼酎蔵【焼酎用語集】

万膳酒造は幻の芋焼酎「萬膳(まんぜん)」で知られるこだわりの焼酎蔵【焼酎用語集】
出典 : kathayut kongmanee/ Shutterstock.com

万膳酒造は、大正11年(1922年)創業の老舗焼酎蔵です。霧島の自然豊かな山奥に蔵を構え、「萬膳」や「萬膳庵」などの名酒をていねいに醸しています。とくに「萬膳」は入手困難なほど人気。今回は、そんな万膳酒造の焼酎造りと銘柄の魅力にフォーカスします。

  • 更新日:

万膳酒造は霧島の山奥で焼酎造りを手がけるこだわりの蔵

万膳酒造は霧島の山奥で焼酎造りを手がけるこだわりの蔵

ArtTim/ Shutterstock.com

万膳酒造は大正11年創業の老舗焼酎蔵

万膳酒造は、大正11年より鹿児島県で芋焼酎造りを手がける焼酎蔵です。霧島山中の奥深く、天然のヤマメも棲息する清流・手篭川(てこがわ)付近に蔵を構え、昔ながらの製法と黒瀬杜氏から受け継いだ伝統の技を用いて、「萬膳」「萬膳庵」「真鶴(まなづる)」「流鶯(るおう)」などの個性豊かな芋焼酎を醸しています。

なかでも「萬膳」は、プレミアム芋焼酎「3M(スリーエム)」に次ぐ幻の焼酎として人気で、近年では「3M」の3銘柄(「森以蔵」「村尾」「魔王」)に「萬膳」を加えた「4M(フォーエム)」という言葉も使われるほど、入手困難になっています。なお、「3M」「4M」という呼び名は、銘柄名を英語表記にしたときにすべての頭文字が「M」であることに由来しています。

ちなみに、社名は「万膳酒造」、銘柄名は「萬膳」。読みはどちらも「まんぜん」ですが、「万」と「萬」で漢字が異なるので覚えておくとよいでしょう。

万膳酒造の歴史

万膳酒造は創業100年を迎える老舗蔵ですが、代表銘柄「萬膳」の名が日本中に轟くまでには紆余曲折がありました。3代目が他界した1969年に蔵を一時休業し、以後30年間は、酒造りは委託し、酒類の販売を行う万膳酒店の経営に注力していたといいます。

現在の蔵元で4代目の万膳利弘氏が蔵を復活させたのは、1999年のこと。四季折々の移ろいを感じられる自然のなかに「山小舎(やまごや)の蔵」を建て、3代目の弟で黒瀬杜氏の名匠・宿里利行(やどりとしゆき)氏の力を借りて、万膳酒造を再建しました。

4代目の万膳利弘氏は、叔父である宿里氏に3年間師事し、杜氏の技術を学んだといいます。そうして受け継いだ技術で、個性的で独特な味わいの焼酎を作り続けています。

万膳酒造が貫く芋焼酎造りへのこだわり

万膳酒造が貫く芋焼酎造りへのこだわり

Nishihama/ Shutterstock.com

万膳酒造のこだわり1:厳選された素材と良質な水

万膳酒造は、芋や米、麹菌などの原料や仕込み水に徹底してこだわる蔵です。商品のラベルには銘柄名はもちろん、麹米や芋の産地だけでなく、それらの生産者の名前まで明記しています。そこにはさらに、麹菌の種類や仕込み水である「霧島レッカ水」の表記もあります。

なかでも注目したいのは、霧島の恵みである「水」です。霧島連山のシラス層や火山灰土壌によってろ過された「霧島レッカ水」は、鉄分をほとんど含まない超軟水。万膳酒造の焼酎のまろやかな酒質の秘密はここにあるといっても過言ではないでしょう。

万膳酒造のこだわり2:昔ながらの伝統製法を重視

万膳酒造の焼酎を特徴づけているのは、黒瀬杜氏である宿里氏から受け継いだ昔ながらの製法です。

麹造りは製麹(せいきく)機を使わず、昔ながらの「蓋麹(ふたこうじ)法」で蔵人の手を掛けて行い、もろみの仕込みにも手間のかかるかめ壺を使用しています。

また、蒸溜には熟練の技を必要とする「木樽蒸溜機」を使用。木製の蒸溜機はステンレス製に比べると一度に蒸溜できる量が少なく、耐久性に劣るうえ、防腐剤が使えないためメンテナンスにも手間を要します。しかし、木樽蒸溜機で醸すと、木樽に染み込んだナッツのような香りが焼酎に移り、やわらかく深みのある味わいが生まれるといいます。

さらに、長期熟成する際は、蔵の隣に造ったトンネル状の貯蔵庫に保管。霧島の自然のなかで熟成され、おいしい焼酎が完成するまで徹底して管理されています。

このように、万膳酒造では、原料の選定から熟成にいたるまで、すべての工程に手間暇かけて、ていねいな焼酎造りが行われています。

万膳酒造を代表する3つの銘柄

万膳酒造を代表する3つの銘柄

kai keisuke/ Shutterstock.com

黒麹仕込みの「萬膳」

万膳酒造を代表する銘柄が、黒麹仕込みの「萬膳」です。主原料は鹿児島県産の「黄金千貫」、麹米は秋田県産の「ひとめぼれ」、麹菌は「河内菌NK型黒麹」を使用。手造り麹とかめ壺仕込み、木樽蒸溜でていねいに仕上げられたその雫は、芋のコクと甘味にナッツのような香ばしさが溶け合う唯一無二の味わいです。

「萬(よろず)の膳」で「萬膳」と名づけられた銘柄名のとおり、すべての食事を潤し、おだやかに寄り添う極上の食中酒なのです。

黄麹仕込みの「萬膳庵」

鹿児島県産の黄金千貫を黄麹で仕込んだ芋焼酎が「萬膳庵」です。麹米には秋田県産ひとめぼれ、麹菌には秋田今野商店の「吟香黄麹(ぎんかきこうじ)」を使用し、幻の芋焼酎「萬膳」と同様、手造り麹、かめ壺仕込み、木樽蒸溜といった伝統製法で仕上げられています。黄麹らしい華やかな香りと上品な甘さが特徴で、そのままでもたのしめますが、食事のお供としても活躍します。

白麹仕込みの「真鶴」

年に一度、出水(いずみ)平野に真鶴が飛来する時期に数量限定で出荷されるプレミアムな芋焼酎。入手の困難さは「萬膳」をもしのぐといわれています。原料芋に高品質の黄金千貫、麹米にあきたこまちの有機米、麹菌に秋田今野商店の白麹を用い、黒瀬杜氏伝承の技で醸した味わいは、軽快にして濃醇。飲んだあとに残る、ふわっと華やかな香りがクセになります。

万膳酒造の芋焼酎は、自然の恵みと小蔵元ならではの細やかな技が活きた名酒ばかり。どの銘柄も生産量が少なく入手が困難ですが、チャンスがあったら迷わず入手して、その独特な世界観を味わい尽くしたいものです。

製造元:有限会社万膳酒造
公式サイトはありません


【萬膳(まんぜん)】(鹿児島の焼酎)小蔵元が木樽蒸溜で醸す香り高い焼酎

おすすめ情報

関連情報

焼酎の基礎知識

イベント情報

姉妹サイト

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事